理不尽な道のり
お読みいただいてありがとうございます。
タコーは濡れ衣を着せられました。
王族が関係していて、逃げようがありません。
ですが、タコーは比較的お気楽です。
その話は、先に進むと少しお見せすることに。
ではでは~
討伐隊は大公都に帰還することになった。
近隣から馬車を借り受け、併せて山賊のいなくなったことの通達がなされた。
馬車隊の最後尾に縄で繋がれた二人が引きずられるように歩いていた。
「アニキー、馬車に乗ってよー」
「タコー様、一時でもわたしの背にお乗りください」
「ヘインリー卿!このオークとケンタウロスは咎人の仲間ではないのですか!」
「殿下、その嫌疑は晴れております。お二方とも身元は確か。仲間ではございません」
「フン」
虫の居所の悪い王女殿下をなだめる近衛騎兵ヘインリー。
爵位はまだ継承していないが侯爵息女として、またアイハイロード王家への貢献を認められて、名誉子爵の爵位を下賜されている。
『コッカ様、申し訳ございません。殿下の御前にて御意向に抗うわけには参りませぬゆえ』
王女に聞こえないよう小声で謝罪する。
「いいんですよ、ヘインリー【卿】」
「すみません、すみません」
コッカも事情は理解しているが、了承してるわけではない。
板挟みの騎兵はまるで中間管理職のように振り回されている。
「隊長ー、アニキと交代ー。じゃないとボクも歩くよー」
「ココモ殿、どうかお止めください。お二方に国が滅ぼされてしまいます」
こっちも馬上のジャルーンが必死で食い止める。それほど孫煩悩のお二方らしい。
「ココモー、俺のことは気にすんなー、引っ張ってもらってるから、結構楽なんだぜー」
隊長と騎兵の立場を理解しているタコーは、取るに足りないかのように振る舞って見せる。
しかし、枷がこすれて皮がめくれ、血が垂れているのを隠していた。
コッカは匂いでわかっていたが、タコーの考えを察し、控えていた。
「フフカ、大丈夫?ごめんなさい」
「ミルが謝ることじゃないよ、オイラは大丈夫。頑丈だけが取り柄のオークだからな」
「フフカ」
「ミル」
仲睦まじいふたりを見て、ココモは少し憧れた。
「おー、おー色男、若いっていいねえ。隊長さん、若者タちを見習えよー」
「そうだー、見習えー」
「ココモ殿、出会いが無くてですねー。貴様は、余計なことを言うな!」
「おーおー、ココモがいるだろ。ガンガン行けよ。案外うま、おごっ!」
タコーの腹にかわいい拳が食い込む。
タコーが名前を呼んだ後、続く言葉でココモが馬車から跳躍し、お見舞いした一撃だった。
「アニキ、次はもぐからね!」
「もいだら誰かが悲しむだろうな」
「え、///。バカ」
一言の残すと走る馬車にひらりと戻るココモだった。
ヘインリー子爵は、王女の悪意のある嘘を確信し、嘆くしかできなかった。
囚われていた女たち、人質だった身分の高い男たち、山賊の生き残り。
それぞれ意味の違う傷を負っていた。
= = = = =
川沿いで野営の準備を始め、当番兵が食事の用意をする。
数ヶ所で火が焚かれ、調理が始まる。
身分が違うため、食事の内容も違ってくる。
大雑把に貴族、平民、罪人に区別できた。
移動中のため、食材に限りがある。
貴族においては、主菜、副菜、スープ。平民には、主菜、スープ。罪人には端切れの粥。
ミルがフフカとタコーの食事を持ってきた。
タコーは、罪人と同じ食事、というより餌だった。
王女を肉欲の虜にしたオークに止めを刺した以上、この場では仕方がないことはタコーも理解していた。
「まあ、こんなもんだろ」
ふと食事を持ってきたミルに目をやると別の器を持っていた。
(ほー、一緒に食事をするつもりか。ここは年長者が気を利かせてやろう)
「そういや、隊長が罪人は器を持って食事をすると鞭打ちとか言ってタなぁ」
「「え?」」
ふたりはその言葉にぎょっとする。
罪人である二人は手枷を嵌められて匙を口に運べない。したがって、器から直に啜るしかないのだが、タコーは一計を案じ、それをできなくした。当然鞭打ちは嘘である。
「タだ、誰かに食わしてもらうのはお咎めなしなんだと」
ミルもフフカも罰の鞭打ちが頭から離れないため、何も思いつかない。
「くく、誰かに食べさせてもいいんじゃないか?え、色男」
「オ、オイラ、そんな。ミル、スープが冷めるから先に」
「・・・」
「罪人は、残飯なら食ってもいいらしい。お嬢さん、残飯の心当たりはないか?」
「!」
「あーあ。寂しい俺はあっちで食ってくるわ」
タコーにそそのかされ、ふたりは水入らずで食事を分け合って食べ始めた。
仲睦まじいふたりを見ないように粥を食べようとしたとき、声がした。
「アニキー、みんなでごはん食べよう!」
「タコー様、お一人でお食事とは水臭いです」
ココモとコッカが食事を持ってきた。
粥を見るとふたりは不機嫌になり愚痴をこぼす。
「むー、やっぱり。予想はしてたんだよ。アニキは罪人じゃないのに」
「あの女、どこまで愚かなのか」
「いいって、いいって。腐ってないだけで充分だよ」
「じゃあ、ボクが食べさせてあげる。はい、あーん」
「いいよ、恥ずかしいだろ」
「えー、あっちに負けてられないよー」
「わたしたちも見せつけないと負けてしまいます」
「お前たちは何と戦っているんだ?」
「あのー、皆様もご一緒にどうでしょう?」
空気を読んだオークが気を使って、持ち掛けてきた。
なかなかの気配り上手だ。
タコー達が快諾し、5人で分けあって食べることになった。
いかがでしたか?
この話、食事のシーンが多いです。
まあ、筆者の才能の無さがさせているのが原因ですが、一日のうちの調理時間は、昔の人ほど、バカにできない割合を占めていると思われます。
まあ、そんな感じで、ゆっくり時間の流れる話だと思って、生あたたく見守ってください。18禁の方では、夜の営みもちょこっと書く予定です。
次話をお待ちください。




