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カモミール〜逆境の中で咲く花〜  作者: くろくまくん


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9/9

A区画の依頼

ニゲルはエミリアと食事をした帰り道、


気になることを聞いた。


その日の晩は風呂に入ることもせず、


そのまま寝てしまった。



◯登場人物


ニゲル

24歳。闇属性。

中央都市リーウルスのC区画の雑貨屋で働く。


エミリア

38歳。光属性。

ニゲルと同じく、リーウルスのC区画のマッサージ店にて働いている。

 エミリアさんと飲みに行ったその日の晩は、お風呂に入ることもせず、そのまま寝てしまった。


 酔いでしんどかったこともあるけど、それよりも、なんだか彼女の香りをまとったままでいたかったのもあるかもしれない。


『光の女に気をつけろ』


 うーん……まぁこれは僕の考え過ぎなのかな。ちょうどエミリアさんと食事に行ってた時だから尚更そう意識してしまっただけかも。


 てか、彼女が何か僕のことを察知してるとも思えないし、例えばそれを探るために近づいてきているとか、そんなこともっとあり得ない。


 そういえば彼女はマッサージ屋さんで働いていると言っていた。光属性持ちの人達は割と多種多様な仕事をしている気がする。もちろん人によって違うとは思うけど。


 光の力を道具にこめるような事をする職人のような仕事もあれば、リアルタイムで光を扱うような、演劇や音楽演奏の演出など、そういう演出家としての仕事をする人もいるらしい。


 エミリアさんの場合は、人の身体を癒すための光なのかな。マッサージの他にお肌のシミやシワを無くす、光治療というのもやっているようだ。凄く本格的だな。彼女が年齢に比べて凄く若くて綺麗なのもその効果もあるのかな。


 雑貨屋のカウンターでぼーっとしていたら、コンタクトが来た。


「うん、なに〜?」


 僕は気怠けだるく答える。


『ニゲルさん二日酔いですか? まだ少し先の話なんですが……今回はA区画の依頼です』


 お、珍しいな。前にも話したかもだけど、この街リーウルスには三つの区画がある。僕の住むC区画は主に平民が住み、図書館のあるB区画は商業施設や飲食店、それに携わる人達が住む。そして、今回の依頼があったA区画は、貴族や権力者が住む区画である。


「あ、そうなんだ。まぁまぁ久しぶりだよねA区画の依頼。なんかあったの?」


 僕はやる気があったわけじゃないんだけど、なんとなく興味本位で聞いてみた。


『えー、あまり詳しくは今のところ言えないんですが……王国騎士団絡みですね』


 王国騎士団。いいじゃないか。


 まるで本の世界だ。王国騎士団の腐敗を正す。


 僕は適当に相手と話してコンタクトを切った。時間はお昼の手前くらいだった。図書館に行くには少し早すぎる時間だな……


 すると滅多に来ないお客さんが入ってきた。


「わっ、ホントにいた。やっほ〜」


 そのお客さんはエミリアさんだった。


「えっ! エミリアさん! どうしたんですか急に?」


 昨日の帰りに会いたいとは思っていたけど、まさかこんなに早く会えるなんて。


「え、どうもしないけど、急に来ちゃマズかったかな? 昨日ニゲルくんがお店の場所教えてくれたでしょ、ちょうど近くを通ったからニゲルくん居るかなと思って寄ってみたの」


 え、それってちょっと期待してもいいんだろうか。


「全然マズくないです! むしろ嬉しいです。あ、ごめんなさい昨日の夜、お風呂入ってなくて……汗臭かったらすみません……」


 何を言ってるんだ、僕は。


「あははっ、ニゲルくんって面白いね。ん、全然臭くないよ。というか、ニゲルくんって仕事をしてる時も、普段と全然変わらないよね」


 え、仕事。今のことかな。そりゃ店もヒマだから気を張ることもないもんね。


「え、え。まぁこの通りお店も暇なので……あ、エミリアさんはこれから仕事なんですか?」


「そうそう、今日はお昼から仕事なの。あ、そろそろ行かなきゃ、ごめんねゆっくり出来なくて。ニゲルくんの顔を見れてよかったわ」


 彼女は申し訳なさそうに急いでお店を出た。


 僕も。僕もエミリアさんの顔が見れて嬉しいよ。



◇ ◇ ◇



 店も暇なので、お昼からは図書館に行くことにした。


 前に借りた本はまだ読めてはいなかったが、図書館のいいところはたまにぶらぶらしていると掘り出しものの本があったりするところなのだ。僕がちょこちょこ図書館に通う理由はそれでもある。


 この本を借りたい、と目的を持っていくこともあれば、なんとなく背表紙を眺めながら物思いにふけることもあったり。


 図書館内に、本をその場で読めるような机と椅子も備えられているから、時間がある時はそこでゆっくり過ごすこともある。


 王国騎士団絡み……先ほど聞いた言葉が頭に浮かんできた。


 元々A区画絡みの仕事はBやCに比べてかなり慎重にはなる。今回のような王国騎士団絡みの場合は、難易度も更に跳ね上がるだろう。もしかしたら単独ではなく、複数人数で当たることになるかもしれない。


 こんな時は、現実とは離れた、架空の世界の物語でも読むに限る。それも飛び切り楽しくて、ワクワクするようなやつだ。


 僕は、世界を救う勇者が、実は物語の黒幕だという内容の本を手に取った。


 その本のタイトルは【光と闇】だ……



ニゲルにもたらされた、A区画の依頼、王国騎士団絡みとは何か。


そんな中、急に訪ねてくれたエミリアのおかげで、


機嫌が良くなるニゲルであった。

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― 新着の感想 ―
仕事場にいきなり好きなひとが現れたらテンション上がっちゃう気持ちわかります……笑。 ニゲルくんかわいいですね(´ω`*) 本のタイトル『光と闇』、そして内容も含めてなんだか気になりますね……。 くろく…
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