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【書籍2巻まで発売中&コミカライズ連載中】公爵夫人に相応しくないと離縁された私の話。  作者: 池中織奈
番外編

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お茶会への参加 ②

「クレヴァーナ様、ごきげんよう」

「お会い出来て嬉しいです」



 にこやかな笑みを浮かべて、お茶会の参加者達が挨拶をする。美しいドレスを身に纏う彼女達を見ながら、私も笑った。



 私の笑みを見て、参加者達が湧き立つ。私の笑み一つでこんな風に嬉しそうにされると嬉しいけれど、彼女たちの期待通りのことが出来なければどうなるんだろうと思わなくもない。

 私は自分を証明すると決めてから、ずっと一生懸命事を進めてきた。幸いにも上手く行くことの方が多かった。もちろん、失敗することもそれなりにあった。それでもどうにか修正していくことは出来た。

 その証明が上手く行ったからこそ、この方達は私に微笑みかけているということを私は知っている。




 私がクレヴァーナ・シンフォイガとして、悪評だらけのままだったら近づいてこない人もきっと沢山いただろう。そう思うと、上手く出来て良かったという気持ちになる。

 だってそうじゃなかったら出会えなかった人が沢山いるのだ。それはもったいない話だから。




「ごきげんよう。私も皆様とお会い出来て嬉しいわ。お茶会は久しぶりだから、至らないこともあるかもしれないけれどよろしくお願いするわ」



 私はお茶会にそこまで参加するわけじゃない。どちらかというと、研究をしたり、政策を進めたり、本を読んだりすることの方が多い。ただだからといって、お茶会などに全く参加しないというのも違うと思っているので、社交の場には顔を出している。



 数少ない参加したお茶会やパーティーでの出会いがきっかけに、政策に繋がったりすることもある。

 人と人の繋がりは、とても大事なものだ。私はいつまでもそれを大切にしたいとは思っている。

 『花びら』の中にも、過去を切り捨てようとする子は居た。自分は特別な存在になったから、他の人に構っている時間はないなんて言い放った子には、他の『花びら』達が注意しているようだ。少なくとも私は、過去を恥じてはいない。



 なかったものにしようとか、そんなことは全く考えていない。それはあくまで私の考えで、人に強要するものでもないからそこまで口出しはしないけれど。

 私はどんな相手だって、私が関わりたいと思う人に関わっていくようにしたいのだ。

 そう思っているからお茶会で少しだけ他の参加者たちと距離がある方にも話しかけるようにはしている。



「あなたもお話に混ざりましょう?」


 今回のお茶会で、あまり誰とも会話を交わしていない少女が居た。平然とした態度には見えるけれども、その目が不安そうに揺れていることは分かった。


「クレヴァーナ様、彼女は……」




 私の周りにいた貴族夫人の一人が私に何かを言おうとする。それを私は目で制した。



 おそらく私に進言をして、関わらないようにさせる方がいいと思っているのかも。でも私はお茶会に参加する人たちの情報はある程度頭に留めている。

 どうして貴族令嬢が少しだけお茶会で居心地が悪そうにしているかも情報としては知っている。

 だけどだからといってその情報を鵜吞みにして、彼女自身を知ったつもりになる気はない。

 周りから聞かされる情報も不要。私が直接話して、思って感じたことが全てで、それでいい。



「あ、えっと」

「そんなに緊張なさらないで大丈夫よ。私は折角参加したお茶会だから、様々な方とお話をしたいの」

「は、はい」



 びくびくした様子を見て、少しだけ何とも言えない気持ちになった。視線を彷徨わせて、落ち着かない様子だ。

 私の方から話しかけられたことで、周りからよからぬ対応をされるかもと心配しているのかもしれない。



「あなたのご実家は有名な染料がとれるのでしょう? よかったらその話を聞かせてくれないかしら?」

「クレヴァーナ様、私の実家についてご存じなのですか?」

 驚いた顔をされる。誰でも自分の家のことを褒められたり、話を聞きたいと言われれば会話をしてくれるだろうかと投げかけた言葉は正解だったみたい。

「ええ。知っているわ。直接赴いたことはないからあくまで知識としてだけだけどね」



 私がそう言って笑いかけると、令嬢の緊張は少しだけほぐれた様子だった。意気揚々と自分の領地について語ってくれる。

 領地のことも、家族のことも好きなんだろう。そのことがよく分かる。



 ならばきっと、彼女に関する悪い情報はもしかして誤解か何かなのだろうか? そこまで本格的には調べていないから憶測でしか分からない。

 誤解ではなかったとしても、何かしらの事情があってのことだろうなとは話していて分かった。




 その噂に関することは、一切本人には聞かなかった。向こうから話してもないことを話題に出すのもどうかと思うし、“お茶会で私と話した”という事実だけでも流れている噂などを反転させることはきっと出来る。



 まだちょっとした火種になるかもしれない問題でしかないのだから、私が手を出して大事にするのも違うと思うもの。

 私が彼女と楽しく話しているからか、他の参加者達も次第に会話に混ざってきた。


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