街中にて
ところ変わって冒険者組合前!
冒険者組合と言うからにはその建物も大層何のと考えたのだが、ところがどっこい、そうでもなかった。
周りには一般的な一軒家と何ら変わらない家が建っているし、冒険者組合自体も民家を二つつなげたほどの大きさだ。
しかも二階建て。
どうやら、この世界は俺が思っていた以上に世知辛いようだ。
まあ、その確認ができただけでもいいとしよう。
はてさて、そんなこんなで冒険者組合の目の前でまたされている俺だが、そうれはもう人目を引いてやまない。
通りのご婦人さんも、少年少女もこちらを遠目から見る限り。
なんというか、こう、落ち着かない。
どうやら彼女たちは町でも国でもそれはもう有名な三人組らしく、そんな三人が降りてきた、大きな馬車はきっと何かあるはずだ、適な、そんな感じの視線を向けられていると感じるのは、気のせいか?おい?
そうしたただなかでも、まだ隣にノリスがいればましだったろう。
何故ならあいつは、可愛いからだ。
いや、外見が可愛いだけでこれと言って誇れる特徴は特にないのだが、いやむしろいつも面倒なことになっている。
何故今になって、なんてことが十回以上あったのは記憶にがっちり染みついている、
新しいもので言えば。
『ちょっと当夜、どうしてこんなのに変形させたの?こんな馬車この世界にあるわけないじゃない』
だとか、後で、アリア辺りに聞いたら、なんと存在しないらしい。
これほど大きく、馬が引けるほどの重量となると、木より軽く丈夫な、アダマンタイトを使わなくてはいけないらしい。
曰く、これを作ったからには、国の国庫はすっからかん。
それなら先に言えよ。
とは、ついさっき喉元まで出かけた言葉である、
だってそうだろ?世の中、あの時こうしておけば、なんて腐るほどある中、未然に防げそうな出来事を数度にわたって、ヤッチマッターだよ。
こっちがアチャー、だよ。
そんなわけで、速く終われと祈りながらの居心地が悪い中の待機であった。
「待たせたな、当夜殿」
本当だよ、後数分来なかったら、このまま置いてったぞ。
「そう意地悪なことを乙女に言う物でもないぞ?」
コイツは、恐らくそう言う視線になれているから言えるのだろう。
こちとら一般人なんだよ。
「我々が注目されていると言う事は、それほど我々が活躍し、それを多くの者が認めてくれている、と言うことだ」
まあ、お前たち三人の冒険者稼業にとっては喜ばしいことなんだろう。
ああ、そうさ、お前たちだけが注目されるなら、ここまで不平不満は言わないさ。
「問題はな、そんなお前たちを運んだだけの俺が、なぜこんな気持ちを抱かねばならんのか、と言うことだ。」
「む?まあ、そうだな。事実だけを述べるなら、我々三人は美少女であり、憧れの最上級冒険者、出で立ちも確か、おまけに実家は金持ちだ。そんな我々に近づきたいと思うものはかなりの数存在する。そして我々は誘いをことごとく断ってきた。故に、我々三人が連れてきた初の男に興味があるのだろう。」
つまり結局この三人が悪いという事になるわけだ。
「まったく、傍迷惑だっつうの」
「申し訳ございません。この様な迷惑も帰還しだい、迷惑料として払わせていただきます」
「当夜、懐小さいぞー。もっと心を大きくもとう!」
「そうよ当夜、人に押し付けるのは良くないわ。あなたもイケメンになればわかるはずよ!」
コイツは何を言っているんだ。
イリアにクリスがアドバイス的な事を言っていた後に、望み薄なことを言われても。
そも、ここは異世界よろしくで白人、褐色系しかいない。
アジアンなど皆無なのである。
まったく。
「いいから、用事はすんだのか?」
「はい、お待ちいただきありがとうございました。本国への連絡もかぶせて行ったので、大丈夫だと思います」
「そうか、じゃあ行くぞ」
俺は、そそくさと視線から逃げるように馬車に戻った。
そうさ、俺にはこういう役回りがあっている。
別に、異世界主人公よろしくで活躍もする必要ないし、ハーレムを作る必要もない。
はたまた、力を持つこともない。
このままでいいんだ。
今のところ穏やかに進んでいる旅路だ。
どうか、これ以上の面倒は起きないことを願いながら、俺は馬車を走らせるのだった。