拷問
もしかしたら、人によっては残酷に感じる表現があるかもしれません。
苦手な方はスキップしてください
「さあて、始まったみたいね。」と柳生さんが言う。
犯人が柳生さんのお父さんの拘束を解いた。
柳生さんのお父さんが台所に向かい料理を作り始める。
「覚悟していてください。私が前に書いたギャグ漫画の展開通りに進めば、これから私達は精神的な拷問を受ける事になります」と柳生さんが言った。
・まずはキノコオムレツ。炒めたシメジに泡立てた卵を合わせてオムレツを…
割ると程よく半熟の卵がトロリと… これ絶対美味しい
・次はハンバーグを焼いている。香ばしい美味しそうな匂いが休憩室まで漂ってくる。
・その次はカレーライス、しっかり食べたはずなのに胃袋を刺激する匂いが漂う。
犯人がカレーライスとハンバーグとオムレツを美味しそうに平らげている。
何日も食べていなかったかのように、ペロリと平らげる。
・今度はカツレツを揚げている。じゅうっと揚げる音がこちらまで聞こえてきそうな錯覚。
程よい厚さの肉に卵とパン粉をつけて、揚げたカツに包丁を入れると程よい感じの肉汁…
ソースをかけて、千切りキャベツを添え…
・オムライス。先ほど食べて、オムライスの美味しさは知っている。
旨そうに食べる犯人、間違いなく美味しいよ。
柳生さんのお父さんがあらかじめ茹でていた、スパゲティーがゆであがり。
・ナポリタン、オレンジ色の麺にピーマン、玉ねぎ、ベーコンのコントラストが光る…
犯人が泣きながら食べている。
外からは、高校の恩師らしき人が「お前は明るい良い奴だったじゃないか。相談ならのるぞ。思い直せ」と説得する声とか、「天国の母ちゃんが泣いてるぞ。まだ間に合う。まっとうに生きろ」という警察の説得の声が聞こえる。
柳生さんのお父さんがフライパンに薄く生地を引く…
クレープ生地とチョコシロップとバニラアイスで美しく盛りつけた喫茶店のクレープ
憧れの喫茶店のクレープ…
クレープまですっかり平らげた後に、犯人が柳生さんのお父さんに頭を下げた。
最初の凶相はどこに行ったのか、穏やかな表情になった犯人に
柳生さんのお父さんが外に出るよう促した。
犯人が捕まった。柳生さんのお父さんはもちろん無事だ。
精神的な拷問を受けた柳生さんと私は、グーッとなるお腹を抱えて笑った。
お昼にオムライスにアイスクリームまで食べたのに…
要が「麗子、無事か?」と叫びながら走ってくるのが見える。
要はジャージに下駄、泣いている…美形が台無しだ。そうだった要は泣き虫だった。
「大丈夫。無事だよ。要、お腹がすいた。ケーキ食べたい」
「今日は何個でも食べさせてやる」
「1個で良い。私の半分あげるから要のも半分ちょうだい」
要が嬉しそうに笑った。




