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雷哭ノ桜花戦記 ― 奪われた鍵を求めて  (表)  作者: 田舎のおっさん
第4部

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第5部 第10話(表)

――止まる線


 前線は、動いていなかった。

 止まっている、というより――

 止められている。


 桜花は、前列の横を歩く。

 足音は揃わない。

 だが、散らばらない。


     ◇


「……踏み出さないな」


 矢上が短く答える。


「踏み出せません。

 後ろが、

 詰まっています」


     ◇


 桜花は、前を見る。


 敵は来ない。

 だが、引かない。


 線の向こうで、

 互いに動けなくなっている。


     ◇


「止まると、

 人は考え始める」


 桜花の声は低い。


「考え始めると、

 余計なことをする」


     ◇


 一人が、前に出た。


「……進め、という命令は?」


 桜花は、即答しない。


 視線だけを向ける。


     ◇


「進むな」


 桜花は言った。


「止まれ。

 それが今の命令だ」


     ◇


 ざわめきが走る。


 不満ではない。

 不安だ。


     ◇


「前に立った者は、

 止まる責任を負う」


 桜花は続ける。


「勝手に動けば、

 後ろが崩れる」


     ◇


 一人が、拳を握る。


「……いつまで」


 桜花は答えない。


 答えは、

 前にないからだ。


     ◇


 桜花は、矢上に命じる。


「前列は交代制だ。

 疲労を回せ」


「折れた者は、

 後ろに下げろ」


     ◇


「守るな。

 立たせろ」


 矢上が、短く応じる。


「はっ」


     ◇


 前線は、止まったままだ。


 だが、

 止まっている線ほど、

 重い。


 桜花は前を見据えた。


「……ここが、

 境目だな」

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