ツンデレ妹って感じだ
更新頻度遅くてすみません。
あとコミケ受かりました。
…………。
……。
児童館の外で亜理亜を発見し、何発かのローブローをくらった後に少し(・・)彼女と話をして、俺たちは三人の待つ打ち上げ会場に戻っていった。
その際にぐるりと大学内を見回してみたけど、もはやこの児童館以外に明かりの灯った建物は無く、片付けの進捗も勘案して今夜はこのまま作業を切り上げようかと考えていた。
「ああ、おかえり。それとお疲れ様二乃舞さん」
「おかおつー」
片付け会場もとい打ち上げ会場では円城と至流が最大限のくつろぎ体勢で迎えてくれた。二人とも割とフリーダムな性格だし俺も適当人間なので気にならないが、明らかに教育厳しめな亜理亜は大層眉をピクピクさせていた。隅っことはいえここ売り場内だしな。
「はあ。円城さんもすっかりこいつらに毒されましたのね」
「無礼講ということで、ね。二乃舞さんの分も残してあるからどうぞ」
仕方なさげに亜理亜はコートを脱ぎ、円城の隣に腰を下ろした。どこで着替えたのか亜理亜は私服だった。白いセーターがいかにも清楚で上品といった感じである。
俺は元の至流の隣、円城の左隣に座り、再びチーム白シャツを結成した。
「そういえば奈留は?」
俺はブルブルと震えながらもう一人の私服女子の行方を問う。温かい屋内に入っても体の震えが止まらないあたり、結構長い間外にいたことが実感できた。そういった素振りを見せない亜理亜が強いのかそれとも育ちの差か。
「ユーリン¥が外出て割とすぐ後に出ていった気がするけど」
「え……」
思わず驚嘆の声が漏れる。どこに何をしに行ったのかは不明だが、もし同じタイミングで外に出ていたのなら、先ほどの俺と亜理亜の様子を見られていたかもしれない。とっさにそんな最悪のシチュエーションが脳裏に浮かんだ。一方の亜理亜は厳しい顔つきで床を見ている。
「コンビニにお酒でも買い足しに行ったんじゃないかな。ストロング酎ハイというハイパーボールを」
「また意味不明なことを言う」
円城を諫めながらも内心の不安は消えない。コンビニに行くなら俺たちのいた入り口を通るか搬入口の方から出るしかないが、今の時間はあちらは薄暗くて女の子は避けるだろう。いくら少し変わっているとはいえ根は小心者なのだから、やはりありえない。
「一応連絡してみますわね」
俺がそう決断するよりも早く、亜理亜は自身のスマホを取り出して連絡を試みようとした。
……ちょうどその時。
「さ……寒い」
俺たちとは別の方角から真っ青な顔をした奈留が戻ってきた。元々色素の薄目な顔だったが、今はもはや青白くて少し不気味なくらいであった。
「……体力も無いのにこんな時間に外に出るからよ」
「ん、ああ二乃舞さん来てたんだ。そっか、悠里が迎えに行ったんだね」
近づくまで亜理亜の存在に気づかなかったらしい奈留は、その場ですぐに思考を展開して俺の外出の理由を導き出した。この感じだと俺たちのことは見ていないのかな。思わず胸をなでおろす。
「遅かったじゃん奈留っち。お酒買いに行ったのかなって噂してたけど」
「……え、私そんな荒々しいイメージ?」
多少のショックを受けつつ、奈留はコートを着たまま亜理亜の隣に座り込んだ。癖のある猫毛が風で乱れていたので亜理亜が甲斐甲斐しく手で直してあげている。
奈留と亜理亜は大学で(正確には引きこもり中の俺の部屋で)顔を突き合わせて以来ウマが合ったようで、たまに二人して出かけることもある仲である。亜理亜は真面目かつ豪快な性格で、奈留は大人しいけどたまに埒外なので組み合わせ的に取っ散らかりそうだが何か波長が合うようだ。
「ちょっと夜風に当たろうと思って校内散歩してたらほぼ一周しちゃってたの」
「いい年してそういうことするの止めなさいよね」
「……あはは、さっきも言われたよ」
(さっき……?)
そんなやりとりあったけなと少し考える。けれど俺ももう今日は疲れ果てていたので記憶に自信がなかった。
一通り髪をとかしてあげた亜理亜の口調は少し姉の気分のように感じられる。そういう意味ならお互い一人っ子なので奈留も妹っぽい感じだしウィンウィンじゃないか。
「ほら悠里も来なさい。裾が埃だらけですわよ」
「いいよ、なんでこのタイミングで」
高校時代から続く多分に不本意な俺のイメージはいい加減払拭したいところである。
そうこうしている内に俺の震えも収まり、五人では少し狭いテーブルを囲んで打ち上げその二が開始された。ここでようやくカップアイス投入である。
「寒がってたのにアイスは食べたい不思議」
「ほんとな」
円城よりそれぞれカラフルな色をしたアイスのフレーバーの説明が入り、『一番ぶっちゃけた人から選んでいく』という大学生らしいノリで順番にアイスを選んでいった。
その最中に再び俺は震えが止まらなくなってしまい奈留は卒倒するのだが、それはまた別の話。




