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第34話 レベル爆上がり。


「アニカ、ハッカ飴ある?」

「あると思います。……ありました。どうぞ」

「なんじゃユウト、お主が選り好みか?」

「いやいや、お前達がちょっと(選り分けて敬遠する程)苦手だって言うから、俺が貰ってるんだよ」


 俺が全部食べてやるわけにはいかないが、騒ぎの元は少なくしておかないとな。


 今、俺達は50階層の“巣”でゆっくりとくつろいでいる。

 昼食自体も遅めだったし、食後の休憩時間も長く取って昼寝をした。

 なんせ朝から3,000の魔王軍と51階層のロックリザードを相手していたからな。


「さて、ひと眠りして頭も冴えた所で、……どうするか、今日?」

「我はユウトに任せるぞ?」

「アニタも~」

「……わ、私はもう1つ下に行きたいです」


 おっ! アニカが自分から意見を言うなんて珍しいな。


「ほう、何か理由があるのか?」

「この巣はこじんまりしてて、みんなの距離が近くて好きなんですけど……。人がいっぱい死んでるので……出そうで……」

「ん? 出そう? って何が?」


 アニカは何か歯切れが悪く、恥ずかしそうにしている。


「おばけだよ~。お姉ちゃん、お化け怖いの!」

「こら! そんなにはっきり言わなくてもいいでしょ!」

「ふっ、はっはは。そうか、アニカはお化けが怖いか」

「モンスターは大丈夫だったんです。魔石になったし、ユウトさんやアニタが持っているので。――でも、ここにはお墓を作りましたし……」


 ああ、“馬鹿”の時は朝だったし、そのまま進んだからな。


「そうかそうか、ふふっ、わかったよ。じゃあ52階層をきれいに片づけて、そこで泊まることにしよう」

「ありがとうございます! 私、頑張りますから!」




 という事で、俺達は52階層へ下りて来た。


「51階層よりちょっとだけ暑くなってないか? マグマらしきものも増えている気もするし」

「そうじゃの。じゃが、寒いよりは良かろう。今までが快適過ぎだったのじゃ」



「じゃあ、行ってくるよ。ミケ、2人の事は頼んだぞ」

 

 俺は1人で奥に向かう。まあ、蓋をして奥から狩って行くだけだがな。

 今回はアニカとアニタには俺の魔法は一切使わず、自分達の魔法と力でモンスターを倒していってもらう。


 と、言うのも――



 名前 : ユウト ババ

 レベル: 51

 スキル: S・聖剣技〈10〉 SS・魔法大全〈9〉

      A・言語理解 A・魔力回復‐大‐ A・使用魔力低減‐大‐ C・察知〈9〉 


 名前 : アニカ クマル

 レベル: 49

 スキル: A・言語理解 A・強靭〈7〉 C・槍技〈8〉 C・光属性魔法〈7〉

      C・察知〈5〉


 名前 : アニタ クマル

 レベル: 49

 スキル: A・言語理解 A・感知〈7〉 C・短剣技〈8〉 C・無属性魔法〈8〉



 ミケはレベル52となり、Cランクスキル【察知】が〈10〉になってBランクスキル【探知】〈1〉になったそうだ。

 アニカとアニタは一気に9もレベルアップし、俺とミケに至っては10以上も上がっていた。


「以前も言ったと思いますが、ダンジョン攻略と魔王軍との戦闘をしていますから……、要はSランクやAランクのダンジョンを2つ同時に攻略しているようなものなのです」


 ニアが興奮気味にまくし立て、更にアニカとアニタ、ついでにミケも、成人前のヒトがレベル50近いなんてことはカストポルクスでは有り得ない事だと続けた。


「ミケなんて生後8日? 一週間ちょっとだろ?」

「こら! それを言うでない!!」


 はははははははははははは



 ――という事があって、アニカ達にもダンジョンモンスターなら2人の力だけで倒してもらおうという事になったのだ。

 万万が一に備えて、ミケには自分でも狩りつつ見守ってもらう事にした。


 モンスターはロックリザード、岩の様に硬い鱗と先端に岩がついた尾が特徴のトカゲ型モンスター。51階層で経験済みで、腹部が弱点なのでひっくり返せば楽だ。

 そして、鋭い針を纏って、丸まると直径1mほどの球体になって転がって攻撃してくるヘッジホッグ。

 ヘッジホッグに関しても腹部が弱点なのだが、アニカ達が初見の相手にどう対応すべきかを体験してもらうために弱点を伝えていない。



******アニカ



 よし! 私とアニタで頑張るぞ!


「ねぇアニタ、ブーストは使えるようになったんだよね?」

「うん! でもすぐ切れちゃうよー。アップは長いけど」

「それでいいわ、何回も使っていれば熟練度が上がって長くなるって、ユウトさんが言ってたし」


 私は自分とアニタに《ライトフィルム》で防護膜を張って、ロックリザードには《ライトバインド》で動きを止めてひっくり返して倒す。

 アニタには私にも《フィジカルブースト》を掛けてもらう。


「ヘッジホッグがいたら、教えてね。どうやって倒すか一緒に考えよ?」

「うん!」



「お姉ちゃんくるよ~、右から!」

「わかった!」


 ここまでロックリザードを10体くらい倒して来たけど、ヘッジホッグは初めて来た。

 右にある岩陰からゴロゴロと転がって来る。


「速いね! 《ライトウォール》」


 ヘッジホッグがぶつかって、ゆっくり転がっている所に《ライトバインド》。


 キシャーーーーッ!


「止まったけど、どうしよう? アニタ」

「まん丸だね~、でも、クルッてなってるところにすきまがあるよ」

「本当だ! そこに攻撃してみようか?」


 普通に斬ったりしても、針が邪魔だし、効いていないみたい……


「ちゃんとそこを狙わないとダメね。スキルも使わないと……」

「じゃあねぇ、見てて~、すくりゅ~しょ~っと!」


 ギャン! フシューーーーーッ!


「効いてるみたいね」


 私もしっかりと狙って貫通撃を刺し込む。


「えいっ」


 ピギャーーー!


 結局私とアニタだと、合わせて4発攻撃しないと倒せなかった。

 転がって来るのを止めて、ライトバインドで固定して……だから、時間は掛かっちゃうけど確実に倒していこう。


「このやり方で頑張っていこうね、アニタ。また来たら教えて!」

「うん! がんばろ~!」



******ユウト



 俺もアニカ達も、無事に狩り終えてキャンプ地をつくる。

 巣の形がいいという事で、50階層と同じく壁に作ったのだが、問題は暑さ。

 風属性の《ストームドーム》を巣を囲う様に設置して暑さを凌ぐ。


「内側は風の音もしない。……不思議だな」


 快適になった所でアニカは寝床の準備をしている。


 トントン!


 肩をトントンされたアニカが振り向くと首の無い人間がいる。まあ、ミケが頭を隠してるだけなんだけど……


「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

「ひっかかった~! お姉ちゃんがひっかかった~♪」

「やったのじゃー! キャー! じゃとー、はっはっは~」


 この後、ミケとアニタがこっ酷く叱られたのは言うまでもない。


お読み頂きありがとうございます。

長編小説です。

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