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バトルリターンズ  作者: にくじん
序章 始まり
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1話 『バトルリターンズ』の世界にやってきた!

あるネットゲームを始めようとしていた。その名も『バトルリターンズ』―――



俺の名前は武田新(たけだあらた)、大学一年で今は春季休業中。その真っ只中にこの新作ネトゲが正式スタートされたので始めるにも丁度良かったのだが、やるきっかけとなった最も大きい要因がこのゲームの売り、“戦略性”であった。


―――事前に調べた情報によると、このゲームでは狩りにパーティを組むのが必須らしく必ず四人で狩場に出なければならないらしい。まあ狩場という呼称は相応しくなく、ダンジョンと言ったほうが正しいか―――四人で毎回ボスを討伐しに行くミッションに挑むような感じだ。モンスターハンターみたいな感じかな………


ただダンジョンに行くたびに四人は『職決め』をする。つまり一つの職に固定されるのではなく、その時その時で選んでいくタイプだな。またダンジョンに入った時点で皆のレベルが1となり、ダンジョン内でレベル上げをしていく感じとなる。その辺りの職決め、レベル上げが戦略性を謳っている要因らしい。



―――今ゲームをダウンロードしている最中だが、容量が大きいらしくなかなか完了しない。正直このゲームがスタートするのを心待ちにしていたので、早く終わってくれと心の中で嘆いた。まあその分クオリティの高いゲームだと言うことで――自分を納得させた。



……そういえば公式サイトで初めから選べる職業を調べられたな、そう思ったので一応調べておくことにした。始まったばかりなので皆が初心者とはいえ、職ごとの役割を熟知していた方が序盤を円滑に進められるからな………



どうやらダンジョン内でのみ存在する「レベル」という概念の他に、このゲームの進捗具合を表す「ランク」というものがあるらしい。これを上げていくことによって新たな職が解放されるとのことだ。


そして一番初めのランク1から選べる職業は七つ――タンク、ウォーリアー、アサシン、アーチャー、メイジ、ヒーラー、ピーラーであった。


まあ他のネトゲもやったことあるので大体の意味は分かるが、一応一つ一つ確認していくか………



まずタンク、『パーティの守りの要』。味方から敵の攻撃を逸らしたりする。

ウォーリアー、『場を制圧するパワー』。初心者向けと書いてあるので扱いやすいのだろう。

アサシン、『一瞬で倒すことができるバースト性能』。ただボス戦では役に立たなさそう。

アーチャー、『パーティのダメージ源』。遠距離からひたすら削る役かな。

メイジ、『高い魔法攻撃力に豊富なCC(クラウドコントロール)―状態異常』。これも初心者向けかな。

ヒーラー、『パーティの回復源』。回復だけじゃなくシールド貼りなどサポートもできる。

アルケミック、『火力とサポート性能を併せ持つ』。メイジとヒーラーの中間かな、難しそう。

……他の職は「???」と黒いシルエットで隠されている。自分の目で確かめろということか。


―――まあこんな感じか。一通り読むとパーティ四人のうちタンク、ヒーラーは必須っぽいな………あとの二枠は自由ということでダンジョンによって変わるのかな…? ただ物理攻撃職と魔法攻撃職のバランスは考えなければならなさそう………


あと近距離職はNEAR、遠距離職はFARと呼ぶらしい――まあそのまんまだな。NEARはタンク・ウォーリアー・アサシン、FARはアーチャー・メイジ・ヒーラー、アルケミックは装備によって変わると書いてある。FAR及びNEARで物理職と魔法職が決められるのではなく、例えばアーチャーは物理職だしアサシンもスキルによっては魔法職になるらしい。ただFARは基本的に受けが弱いので、NEARとFARもパーティ構成において重要になってくると書いてある。まあ、ゲームが進んできたらその辺も考える必要が出てくるだろうな………



―――そんなことを考えているとダウンロードがやっと完了した。俺は自分の名前を音読みにした“シン”をPN(プレイヤーネーム)にし、興奮と共にゲームをスタートした―――。



―――――



「ここか―――。」


そう俺はパソコンの前で独りでに呟いた。綺麗なグラフィックは俺を魅了させ、画面に映し出されたもう一人の自分は滑らかに運動している、そんな最新のゲームならではのクオリティであった。



とりあえずチュートリアル的なガイドを進めていくよう促された。今自分がいる『始まりの街ハジマリ』に配置されたNPC(ノンプレイヤーキャラクター)に話をしに行ったりする、よくあるゲームの開始だ。


本来ならばゲームに慣れるためだけの若干面倒くさい作業なのだが、俺は完全に楽しんでいた――というより自分の期待に応えてくれたグラフィックに対して感謝の念を込めながらプレイしていたのかもしれない、それほど満足感のいくゲームのできであった。

そして淡々と進んでいき、ついにダンジョンに出発するところに行き着いた。



「ダンジョンに出発します。パーティ募集及び参加をしますか?それともAIと出発しますか?」


―――恐らく四人集まらない時間帯の救済であろうAIとの出発―実質ソロもあったが、俺はパーティに参加することにした。このゲームは四人の連携が取れるかどうかが後々物を言うし、とりあえずフレンドを増やしたかったというのもある。大学の知り合いでネトゲするような人はいなさそうだし、共に攻略する人を誰でもいいので欲していた。


『メニュー』から『パーティ―ハジマリ』を調べた。するとどうやら自分と同じ境遇らしいパーティ名が数多く見受けられた。現在19時、土曜日というのも相まって人が多いのだろうか。



「チュートリアル募集」という名前の、一人しかいないパーティに参加した。なるべく一人しかいないパーティに入ろうとしたのにも、親交を深めやすいようにと考えがあったのだ。


ダイ:こんにちは~

シン:こん


その他よくある会話をし、フレンド追加していいか尋ねると『いいですよ~』と許可を得た。相手の名前はダイ、まあ状況的に当たり前だが今日から始めた初心者らしい。名前や口調的に男かな?

――どうやらダイも攻略する仲間を求めていたようで一緒に進めましょうと提案してきた。勿論断る理由もないので快く許諾した、むしろ此方が望んでいたことだな。


ダイ:このゲームよく分かんないけど、職があるの?

シン:そうだよ


ダイに先ほど蓄えた職の知識を披露した。ただ職業を羅列するだけとくどいので、例えばこういうのがあるよ~ということで簡単に説明した。


そんなことをしているうちに三人目が参加してきた。名前はxメイx、女の子かな。『初めてなんでミスったらすみません><』と言ってきたが、それはこっちもそうだよということで笑い合った。「初めて」がネトゲ自体のことだと気付いたのは後のことだったが……。まあこの時点では非常に空気が良かったのだが、その状況もすぐに一変した。



四人目、名前は――†最強戦士†。名前的にもうアレなのだが、非常に態度が悪かったのである。挨拶をしないのはまだしも、『早くしろ』だの攻撃的な言動をとってきた。このゲーム、ダンジョンに転送するには送ってくれるNPCのそばに四人が集まらないといけないのだが、正式スタート日というのもあって人が多く密集していたため、メイがそのNPCをなかなか見つけられなかったのだ。


当然パーティ内の空気はピリピリしていた。マップにパーティメンバーが緑の点で表示されているので、そこに行けばいいことを伝えていたが、その最中にも『遅い』だのなんの………


そんな発言にダイはキレていたが、会話するだけ無駄だったのでスルーした方がいいと宥めておいた。メイは謝りつつもやっとNPCに辿り着いたらしく、自動的にダンジョンに転送された―――。



―――――



「職を選んでください。」


―――転送されたのは広い草原、いかにもチュートリアル的な場所だった。俺たちがいる所とモンスターがいる所には何か結界のようなものが貼られていて、四人が職を決めたら結界解除される仕組みっぽかった。


メイ:これ何でもいいんですか?

シン:一番初めだし何でもいいと思うよ~


メイは慎重に俺らに聞いてきた。まあ初めてのネトゲだし仕方ないだろう………


ふと職業選択画面に『ジョブランク』というのがあるのに気付いた。レベルとは別で、その職業をプレイするごとに上がっていくものだろう。ゆえに特定の職業しかやらないというのもアリなのか――というよりその方がパーティに貢献できるか。ただパーティ構成も重要なので柔軟に選べるよう満遍なくジョブランクを上げていくというのも手か。



ダイ:俺ウォーリアーってやつやるわ


ダイはウォーリアーに決めたらしい。決めた途端に街モード(武器防具を装備していないアバター状態)から戦闘モードに変身した。恐らく俺と同じ初心者用防具一式と初心者用ソードを手に持っている。そして練習といわんばかりに剣を振り始めた。


今気付いたが†最強戦士†もウォーリアーにしていたらしい。まあ名前からもそうだが、職業選択に「初心者にオススメ」と記されているのでまあ被るのは仕方ないだろう。

メイは迷っていたようだが、アーチャーに決めたようだ。女の子っていうのもあるし近距離職は好まないのがそれに決めた要因だろう。


俺は――自分の優柔不断振りがここで発揮され非常に悩んでいたが、メイジに決めた。前やってたネトゲでも魔法職極めてたし、このゲームでもそうするかと考えたのだ。



―――ウォリ、ウォリ、アチャ、メイジ。四人の職業が決定された瞬間に目の前に映し出されていた結界が解かれ、「戦闘開始です」とアナウンスが入った。


すると自分のキャラクターのある方向に矢印が表示された。他の三人からも自分のに出ているだろう、恐らくそちらの方向に進んでいけばダンジョンクリアできるということらしい。



他の三人にそのことを伝えると納得したようで、なら矢印の方向に行こう!ということで走り出した。


正直今のところ普通のネトゲだが、進めていくにつれ難しくなってくるだろうな………

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