第19話 沈んだメイズ
「あ、そういえば。」
急にセイちゃんが言ったのでみんなびっくりしたみたいだ。
「どうした?セイ。何かあったのか?」
コウちゃんが聞いた。
「いや、大したことじゃないかもしれないけど…。メイズも他もそうだけど、次はいつ入れるようになるんだ?」
セイちゃんのその言葉にみんながハッとした。クリアできなかったときその部屋がどうなるのか?次に入れるのは何分後か?部屋の内容について考えていたからすっかり忘れていた。
「セイ。いいところに気がついたな。忘れてたよ。みんな、手分けして確認しよう。」
「うん。わかった。」
「は~い。」
「おう。了解。見てくる。」
コウちゃんの指示を聞いてみんながそれぞれの部屋に向かう。みんな自分が最初に入った部屋に向かったので、僕とメイちゃんもテレパスに向かった。ドアの前に立ったとき、中で起きたことを思い出して顔が熱くなった。かなり恥ずかしい…。メイちゃんをちらっと見ると、笑顔でこっちを見ていた。
「開けてみるね?」
メイちゃんがうなずくのを見て、僕はドアを開ける…?開け…、開かない…。
「開かない…。何で?メイちゃんわかる?」
メイちゃんが笑顔でノートに何か書いている。僕はそれをのぞきこむように読んだ。
「1階もクリアできないと水が流れ込んできて部屋に入れなかったから、たぶんここも水とかで開かないんだと思うよ。どこかにライトとか時計とかでわかるようになってないかな?」
「1階ってそうだったんだ。」
僕がそう聞くと、メイちゃんはこっちを見てうなずく。僕はドアをはなれて見てみた。するとドアの上にデジタルのタイマーみたいなものが見える。そこには9分と表示されている。
「あと9分で開くってこと、だよね?」
メイちゃんは「たぶん」とうなずいた。
「お~い。みんな~。見たら戻ってね~。」
ユウちゃんの声が響いた。
「ドア&キーはもう確認したの?」
僕が聞くとユウちゃんの声が響いた。
「したよ~。コウちゃんが~。」
仕事が早い…。僕たちはみんなのところに戻った。
「どうだった~?」
ユウちゃんが僕たちにに聞いたので答えた。
「テレパスはドアが開かなかった。で、ドアの上にデジタルで9分って出てたよ。」
「そっか。じゃあミラー、ドア&キー、テレパスの3つは入れくなるんだね。時間もたぶんゲームオーバーになってからだいたい10分間だね。」
ケンちゃんがそう説明した。ということは…
「メイズは違うの?」
僕が聞くとコウちゃんが笑顔で答えた。
「メイズは部屋には入れるけど水に沈むパターンだったからな。タイマーもたぶんゲームオーバーになってから、だいたい15分くらいだと思う。」
「じゃあ今見に行ったら沈んでる迷路が見えるの?」
「ああ、見える。他の部屋はまだ開かないし、見ておくか?」
コウちゃんが聞いた?僕だけじゃなくみんなに聞いた。
「そうだね。見ておきたいな。」
ケンちゃんがうなずいて、そう答えた。
「僕も見ておきたい。何か思い付くかも。」
僕もそう答えた。
「私はいいや~。さっき見たから~。」
「あたしもさっき走って見てきたから待ってるよ。何か発見したら教えてくれ!」
ユウちゃんとセイちゃんは行かないらしい。
「メイちゃんは?」
僕が聞くとメイちゃんは笑顔で口を動かす。
「いく。もちろん。」
「うん。わかった。」
「キュウ。メイは何だって?」
いきなりコウちゃんに聞かれたびっくりした。コウちゃんにはメイちゃんの口の動きは見えなかったのかな?
「メイちゃんも行くって。全部で4人だよ。」
「そっか。了解。じゃあ行こう。」
そう言ってコウちゃんが笑顔で歩き出した。何か意味がありそうな笑顔に見えたけど…。気のせいかな?
メイズのドアを開けると廊下がのびていた。そしてその先のドアを開けると、コウちゃんの言ってた水没したメイズが目の前に現れた。
「すごいね。水没。」
僕の感想、たぶんケンちゃんもメイちゃんもおなじ感想だと思う。確かに水に沈んでいる。
「これ…、迷路の真ん中で時間切れになったらどうなるの?溺れるのかな…?」
僕が不安そうに言うとコウちゃんが答えた。
「よくみればわかるけど床は水に浮くんだと思う。だから帰りはキュウたちが言った迷路の上を歩いてくればいいんだと思うぞ。」
確かにコウちゃんが指摘するように僕たちの見える範囲は床が見えている。溺れずに済みそうだ。
トン、トン。
ふいに僕の肩を小さな手がたたいた。
「どうしたの?メイちゃん。」
メイちゃんを見るとノートに何か描いている。たぶん大まかな迷路の絵。そして鉛筆で手前の迷路を二つの四角で囲った。そして、その横にこう書いた。
「たぶん迷路は三つか四つに分かれてるよ。手前と奥の間に一本、それと手前の右と左の間に一本不自然にまっすぐな壁があるから。」
「ほんと?どこ?」
突然のメイちゃんの指摘。僕はびっくりしてメイちゃんの指差す方を見た。その指差す先には確かに不自然に一直線の壁がある。
「すごい。メイちゃんすごい!よく気づいたね。」
メイちゃんは嬉しそうに微笑んだ。
「コウちゃん、ケンちゃん。ちょっと。」
僕は二人を呼んでメイちゃんの発見を説明した。二人とも目を丸くしている。
「確かに!見える!そうだ!最低でも三つには分かれてる!すげーなメイ!」
「うん。迷路自体は細かいから解らないけど、スタートは左の迷路、その次は右の迷路、それから奥に続いてると考えられる。これなら攻略方法も考えやすい!メイ。お手柄だね!」
二人の喜び方がどれだけすごいことをメイちゃんが発見したかを表していた。
「よし。すぐにユウとセイに報告しよう。」
コウちゃんが走った。僕たち三人も追いかける。二人の前に戻ったときにはコウちゃん以外は苦しそうだった。ユウちゃんたちはそんな僕たちを見て不思議がっていた。でもメイちゃんの発見を聞いた瞬間、僕たち以上に興奮していた。
「すご~い!その発見は本当にすご~い!」
ユウちゃんは明るい声で「すご~い」を連発している。
「すごいな!メイ!」
セイちゃんはそう言ってメイちゃんの頭をなでた。メイちゃんもうれしそうだ。
「よし。ケンの言ってた攻略法とメイの発見、この二つは大きい。メイズが開くのを待って、挑戦しよう。」
コウちゃんの言葉にみんながうなずいた。僕は少しゆっくりしようと思い、パズルの台に寄りかかっていた。すると、
「なあ、メイズが開くまで何分くらいあるんだ?その間はどうする?」
そう聞いたのはセイちゃんだった。ケンちゃんが時計を見て答える。
「メイズが開くまであと9分くらい。時間的にも今日はそれで終わりだね。あとパズルは一日一回でいいみたいだ。」
「そっか。じゃあ、あと9分は何かするか?何もしないのか?」
「自由時間でいいだろ。ここにいてもいいし、一階に行ってもいい。ただ時間には帰ってきてくれ!」
コウちゃんはセイちゃんの問いにそう答えた。それを聞いたセイちゃんはうなずいてから言った。
「わかった。じゃああたしは一階に行ってくる。3分前くらいには戻るよ。」
そして階段に向かって走り出した。と思ったらいきなり僕の方へ走ってきた。セイちゃんは僕の腕をいきなりつかんだ。そして、
「キュウ。少し話があるから一緒に来てくれ!行くぞ!」
そう言ったあと、僕の言葉を待たずに走り出した。僕の手を引いて。
「どこ行くの?」
ようやく僕の口から出た言葉にセイちゃんは何も言わずに走っていく。
僕は訳がわからないまま走った。本当にわからないまま。何もかもわからないまま。




