表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生した俺は資産50億円を使い切りたいのに、リターンのせいで全然0にならない  作者: 鏡まやたか
第2章 ガルドリア王国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/34

第33話 投資先

獣闘儀が幕を閉じたあと、熱狂の余韻を残したままの王都とは対照的に王城の中は不思議なほど静まり返っていた。


その一室に、サーニャ、レイ、エリシア、ミレア、そして他の面々が集まっている。


「……はぁ、私が国王か。本当にいいのかな」


重い椅子に腰掛けたサーニャは、深くため息をついた。

先ほどまで闘技場で見せていた姿とは違い、どこか現実に引き戻されたような表情だった。


「大丈夫です。あの場にいた全員が、あなたを王として望んでいました」


ミレアが静かに言う。


「それに……これから決めなければならないことは山ほどあります。統治方針、制度の見直し、人員配置……」

「うぅ……」


言葉を重ねられるほどに、サーニャの頭は下がっていく。


「……今日はもうやめとけ」


レイが口を挟んだ。


「無理に今考えてもロクな答えは出ない。頭が回ってる時にやれ」

「……そう、だね」


サーニャは小さく頷いた。


「今日は休む。明日から、本気で考える」


その言葉に、その場の空気が少しだけ和らぐ。


やがて各々が解散し、それぞれの部屋へと戻っていく。

その途中で、エリシアがレイに歩み寄った。


「これから……私たちはどう動きましょうか」

「……というと?」

「サーニャ様とミレア様は、この国に残る形になりますよね。そうなると……これまでのように旅を続けるのは難しいかと」


レイは一瞬だけ考え、肩をすくめた。


「……そうだな。今夜ゆっくり考える」

「分かりました」


それだけ言うと、エリシアは静かに頭を下げ、その場を離れていった。



深夜。


レイは一人、部屋で椅子にもたれながら天井を見上げていた。


その時だった。


視界の端に見慣れた表示が浮かび上がる。


「……来たか」


軽く目を細める。

まず表示されたのは、エリシアそしてヤコウ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

エリシアLv.6

投資額金貨45枚

評価額金貨49枚

前日比+金貨2枚

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ヤコウLv.2

投資額白金貨1枚

評価額白金貨1枚+金貨3枚

前日比+金貨3枚

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


評価額の上昇、前日比の増加。

いつもの変化だ。


そしてレイの視線が、次の人物へと移る。


それを見た瞬間、レイの目がわずかに見開かれた。


「これは……なるほどな……」


驚きはあったが、それ以上に自身のスキルに感心していた。

レイはそれ以上何も言わず、ゆっくりと目を閉じ、眠った。



翌朝、サーニャの部屋に再び全員が集まっていた。


「まずは、国民に安心してもらうために式典を開こうと思う」


サーニャが口を開く。


「祝いも兼ねてね。この国は変わったって、ちゃんと見せたい」


全員が頷く。


「それと――新四天王の発表もする」


その言葉に、空気が少しだけ引き締まった。


「私が考えているのは、ルミナ、ミレア、ルーカス(見習い)……それからゼルド」


「……ゼルド?」


レイがわずかに眉を動かす。

他の面々も同様だった。


「うん。獣闘儀のあとに声をかけたんだ」


サーニャは迷いなく続ける。


「行く当てもないって言ってたし、それに……この国の過去を知ってる人間は、できるだけ残しておきたい」

「……なるほどな」


レイは納得したように頷いた。


だが、その横で震えている者がいた。


「ぼ、ぼぼぼぼくに……四天王なんて……無理です……!」


ルーカスだ。

顔は青ざめ、声は震えている。


「大丈夫だよ」


サーニャは優しく言う。


「弱き者の立場だったからこそ分かることがある。君を信頼してくれる人は大勢いる。君は必要なんだ」

「で、でも……」

「まずは見習いだから気楽にやってよ。それに、必要なことはゼルドが教えてくれるからさ」


その言葉に、ルーカスは余計に怯えた。


その様子を見て、場に小さな笑いが生まれる。

重くなりすぎていた空気が、少しだけ和らいだ。


「それから――」


サーニャは視線を巡らせる。


「エリシア、シツジ、新四天王のみんなには、この国の今後についてこれから協議したいから協力してほしい。式典の準備も含めて」

「承知いたしました」


エリシアが静かに答える。

他の面々もそれに続いた。


その時だった。


「……ひとつ、話しておくことがある」


レイが口を開いた。

視線が集まる。


「もう分かってると思うが――サーニャ、ミレア。お前らとの旅はここまでだ」


静かな声だった。


「……さすがにそうだね」


サーニャはすぐに受け入れた。

ミレアも黙って頷く。


「目的は達成した。それに――」


レイは少しだけ間を置く。


「お前らは、俺の投資先から外れた」

「……え?どういうこと?」


サーニャが問い返す。


「簡単に言えば、お前らはもう“個人が自由に扱える対象”じゃなくなったってことだ」


レイは続ける。


「国王と四天王。つまりこの国そのものに影響を持つ立場になった。そうなると……それは“社会的資産”扱いになる」

「社会的資産……?」

「個人の意思だけでどうこうできない存在。国や社会に属するものは、投資対象にならない」


昨夜の通知を思い出しながら言う。


「だから、今回サーニャもミレアも対象外になったんだ」


数秒の沈黙。


「……なるほど」


サーニャが静かに頷く。


「ただ――勘違いするな。投資対象じゃなくなっただけだ」


その言葉に、わずかに空気が緩む。


「仲間じゃなくなったわけじゃない」


サーニャが、小さく笑った。


「……うん、分かってる」


ミレアも、静かに頷く。

それで十分だった。


話し合いは終わり、それぞれが動き出す。


サーニャたちはそのまま今後の具体的な方針について議論を始めた。

その場を離れたレイの元へ、ヤコウがやってくる。


「兄貴、次はどこ行くんや?」

「……エリシアとも話したんだが次はドワーフの国だな」


レイはあっさりと言った。


「サーニャたちが抜けた今、俺たちは自分たちを守るためにも武器や防具を揃える必要がある」

「なるほどなぁ」

「本当は、この国で新たな戦闘員を見つけられればいいが、今のこの国に水は刺せないからな」

「それなら、当面はワイの護衛騎士でええやろ」

「ああ。助かる」

「ほな、準備せなあかんな」


軽く手を振りながら、そのまま去っていく。


さきほどドワーフの国といったとき、ヤコウの顔が少しひきつったように見えたレイはその背中を黙って見つめていた。

 

次の目的地――ドワーフの国。

そこに何があるのか。


そして、ヤコウが見せたあの一瞬の表情の意味とは何なのか。

次の話で第2章完結です!!

ここまでお読みいただきありがとうございます。


引き続き楽しんでいただけるよう頑張りますので、評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ