君と手を繋ぐ未来10
「うーん、気になるって言うかほっとけない…可愛い方かな?」
朗が気になる女性の話をする事に華は泣きそうだった。
「何?どうしたんだよ?ほら、皆、写真撮ってるぞ?」
遠くでそれぞれに写真を撮っている。
「鈍感…」
そう言うのが精一杯で、好きだと言えない自分に情けなくて涙が出る。
「あ~また泣く、泣き虫…だからガキだっつーの」
朗は華の手をギュッと握る。
「だからほっとけないんだよ華は、すぐ泣くしさ、バーカ!気になるのはお前だよ!」
片方の手で頭を撫でられ華は驚いて顔を上げた。
「お前、化粧取れてるぞ、全く」
朗は微笑む。
「何て言ったの?」
鼻声に近い声で聞いた。
「なんかさ、華が凄く気になる…一緒に居て退屈しないしさ……側に居てくれると安心する」
「それは…アタシが好きって事?」
「悪いか?」
偉そうに答える朗に華はようやく笑う。
「そうやって笑ってろ!笑った顔が華は1番可愛いんだから」
華はぽろぽろと涙を流し頷く。
「……ほんと、泣き虫」
朗は華の頬を触り涙を指先で拭う。
「泣き虫なとこも好きだよ華」
優しく微笑まれて華は更に大粒の涙を零す。
「華は?」
分かっているくせに聞く朗。態度では分かっていても言葉ではまだ聞いていない。
「……すき……です」
涙でぐしゃぐしゃな顔で告白されて朗は華を抱き締めた。
「もうすぐ給料日だから、どっか行こう…何かおごるから考えてろよ」
「うん…何でもいいの?」
「いいよ」
「フルコース」
「却下!」
「焼肉」
「却下」
「お寿司」
「却下」
「もう、じゃぁどこならいいの?」
朗は考えて、「ロジック」と答た。
「なによ、それじゃぁ、いつもと変わらないじゃない」
華は笑った。
華が笑う…今はそれだけで幸せになる。
この小さな手をずっと未来も離さないでいたい。
そう思う。
未来で待っていてくれたのは泣き虫だった華だ。
二人手を繋いでマキコの元へと歩く。
ずっと、ずっと…未来もきっと…。
完結