俺が無茶すると、二人とも怖い
今回は少しシリアス寄りの救出回です!
レン、
またしても無茶します。
そしてミアとフィア、
かなり本気で怒ります。
つまり、
だいぶ大事にされてます。
その依頼は、
夕方に飛び込んできた。
「子供が森で行方不明?」
ギルド内がざわつく。
受付嬢が険しい顔で頷いた。
「採取に入ったまま戻ってなくて……捜索隊を出します」
「場所は?」
ミアがすぐ聞く。
「北西の森です。ただ最近、《ブラッドベア》の目撃情報もあって……」
嫌な名前来た。
絶対強いやつ。
「危険ですので、無理は――」
「行く」
ミアが言った。
フィアも頷く。
「助けたいです」
二人とも迷いがない。
俺は小さく息を吐いた。
「……だよな」
まあ。
ここで止める選択肢、
最初からない。
⸻
森は薄暗かった。
夕方のせいで視界も悪い。
「こっちに足跡」
ミアがしゃがみ込む。
フィアが不安そうに辺りを見る。
「怖がってるかもしれませんね……」
「早く見つけよう」
俺は剣を握り直した。
しばらく進む。
すると。
「っ……!」
小さな声。
木の陰。
そこに、
泣きそうな顔の少年がいた。
「いた!」
「大丈夫!?」
フィアが駆け寄る。
少年は震えていた。
「ま、魔物が……っ」
その瞬間。
森の奥から、
低い唸り声が響く。
ズシン。
重い足音。
木々の間から現れたのは、
巨大な黒い熊だった。
赤い目。
鋭い爪。
「《ブラッドベア》……!」
フィアの顔が青ざめる。
デカい。
今までで一番デカい。
しかも明らかに強い。
「フィア、子供連れて下がって」
ミアが前へ出る。
「レン、援護」
「了解!」
熊が咆哮する。
空気が震えた。
次の瞬間。
突進。
「速っ!?」
巨体なのに速い。
ミアが剣で受け流す。
でも重い。
「っ……!」
押される。
まずい。
俺は風魔法で加速し、
横から斬り込んだ。
ガキィン!!
硬っ。
全然通らない。
「レン下がって!」
ミアの声。
熊の腕が振り下ろされる。
避けきれない。
その瞬間。
白い光が身体を包んだ。
フィアの補助魔法。
身体が軽くなる。
ギリギリ回避。
「助かった!」
でも。
熊はすぐ次の攻撃へ入る。
まずい。
長引く。
フィアは子供を守りながら魔法。
ミアも押され始めてる。
なら。
「レン!?」
俺は走った。
真正面へ。
「こっちだクマ野郎!!」
熊が俺を見る。
赤い目。
怖い。
でも。
今ならいける気がした。
風を纏う。
加速。
俺は木々の間を駆け回った。
熊が追ってくる。
「レン戻って!!」
フィアの叫び。
ミアも顔色を変える。
でも。
これでいい。
二人なら。
今なら。
「ミア!!」
フィアの魔法陣が輝く。
白銀の光。
ミアの身体が一気に加速した。
次の瞬間。
黒い閃光みたいな斬撃。
熊の動きが止まる。
一拍遅れて、
巨大な身体が崩れ落ちた。
静寂。
「はぁ……っ、は……」
俺はその場へ座り込む。
生きてる。
マジで危なかった。
すると。
足音。
ミアだった。
無言で近づいてくる。
怖い。
なんか怖い。
「……レン」
「はい」
「バカ」
「すみません」
即謝罪。
ミアは珍しく、
本気で怒ってる顔だった。
「死んだらどうするの」
「いやでも、あれしか――」
「それでも」
声が少し震えていた。
その後ろで、
フィアが泣きそうな顔をしている。
「ほんとに、心臓止まるかと思いました……」
あ。
これ。
本気で心配させたやつだ。
俺は困ったように笑う。
「ごめん」
すると。
フィアがぎゅっと俺の服を掴んだ。
「次やったら怒りますからね……!」
「今回も怒ってるだろ」
「怒ってます!」
ミアは小さく息を吐いた。
それから。
ぽつりと言う。
「……でも、助かった」
不器用な声だった。
俺は少し笑う。
「お役に立てて何よりです」
「調子乗るな」
「理不尽!」
でも。
二人とも、
ちゃんと俺を見てくれてる。
それが少し嬉しかった。
第12話ありがとうございました!
レン、
ついに“守られる側”だけじゃなく、
ちゃんとパーティを支える動きができるようになってきました。
もちろん無茶はしています。
かなりしています。
でも今回、
ミアもフィアも本気で焦ってました。
恋愛感情とは違う。
けれど、
「失いたくない」と思うくらいには、
レンはもう二人にとって大切な仲間なんですよね。
そしてミア。
怒る時ほど感情が分かりやすい。
次回は少し静かな回!
戦いのあと、
三人が初めて“本音”に近い話をします。




