転生初日、ヒロインが俺を見てくれない
はじめまして。
『俺の恋愛フラグ、全部百合に吸われてない?』を読んでくださってありがとうございます!
異世界転生した主人公が、
「これはハーレム始まったな!」
と思っていたら、隣でヒロイン同士の距離がどんどん縮まっていく話です。
でもこの作品、
“主人公がかわいそうなだけ”では終わりません。
ちゃんと冒険して、
ちゃんと仲間になって、
ちゃんと三人で笑える物語にしたいと思っています。
レンには最後まで元気に勘違いしていてもらいます。
少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです!
転生した瞬間、俺は確信した。
「勝ったな」
目の前には石造りの街並み。
空には青すぎる空。
腰には初心者用の剣。
そして何より。
「ようこそ、冒険者ギルドへ!」
受付嬢が可愛かった。
銀髪。
笑顔。
胸元がちょっと危ない制服。
完璧だ。
異世界転生。
冒険者。
可愛い女の子。
もう始まってる。
人生の黄金ルートが。
俺は胸の内で静かにガッツポーズした。
ありがとう神様。
前世ではコンビニバイトとソシャゲ課金しかしてなかった俺にも、ついに春が来た。
「冒険者登録ですね? お名前は?」
「レンです」
「レンさんですね。では適性測定を行います」
水晶に手を置けと言われ、従う。
すると、水晶が淡く光った。
周囲が少しざわつく。
「風属性適性、高めですね」
「え、強い感じですか?」
「珍しいです。速度強化系の魔法と相性が良いので、前衛向きかもしれません」
来た。
絶対強いやつだ。
スピード系主人公とか人気出るに決まってる。
しかも風属性ってなんかモテそう。
俺はもう未来を見ていた。
酒場で女冒険者に囲まれながら、
「やれやれ……また俺なんかやっちゃいました?」
とか言う未来を。
「では、最初のパーティ募集はこちらをご覧ください」
受付嬢が掲示板を指さす。
そこには大量の紙。
討伐。
採集。
護衛。
そして初心者向けパーティ募集。
俺は歩き出し――その瞬間。
「……あ」
誰かと肩がぶつかった。
黒髪の少女だった。
短く切った髪。
鋭い目。
背中には細身の剣。
たぶん俺と同じくらいの年齢。
「悪い、大丈夫?」
「…………平気」
声、低っ。
でも綺麗だった。
クール系だ。
これは来たかもしれない。
異世界転生で最初に出会う無口美少女。
どう考えてもメインヒロイン枠。
俺が話しかけようとした、その時。
「ミア!」
別の女の子が駆け寄ってきた。
柔らかそうな金髪。
白いローブ。
いかにも回復役ですって感じの少女。
「急にいなくなるから心配したよ」
「……ごめん」
すると黒髪の少女――ミアは、少しだけ表情を緩めた。
え?
今。
笑った?
俺には真顔だったのに?
「怪我してない?」
「してない。大丈夫」
距離、近いな。
いやまあ、仲間っぽいし普通か。
うん普通。
全然普通。
……なんか自然に手握ってるけど。
「そちら、新人さんですか?」
金髪の少女がこちらを見る。
近くで見るとかなり可愛い。
柔らかい雰囲気で、目元も優しい。
これは聖女系。
間違いない。
「うん。今日登録したばっか」
「私、フィアって言います。こっちはミア」
「……よろしく」
ミアは短く頭を下げる。
なんか塩対応気味だけど、
こういう子って後からデレるんだよな。
知ってる知ってる。
ラノベで読んだ。
「もしよかったら、一緒に初心者依頼どうですか?」
フィアが言った。
俺の脳内でファンファーレが鳴る。
来た。
パーティ結成イベントだ。
絶対ここから始まるやつ。
剣士ヒロイン。
聖女ヒロイン。
そして俺。
はいハーレム編成完成。
「ぜひ!」
食い気味で返事した俺に、
フィアはふふっと笑った。
「よかった。実は前衛が足りなくて困ってたんです」
「任せて。俺、強くなる予定だから」
「予定なんですね」
フィアが笑う。
ミアはじっと俺を見て――
「……軽そう」
「初対面で!?」
でも悪くない。
こういう辛辣ヒロイン、
あとから絶対距離縮まるやつだ。
俺はまだ知らなかった。
この世界で一番強い魔法が、
炎でも雷でもなく。
“女の子同士の特別な空気”だってことを。
第1話読んでくださってありがとうございました!
レンはまだ、
「これはラブコメの導入だな」
くらいにしか思ってません。
たぶん次回も思ってます。
でも読者だけは気づき始めています。
「あれ……この空気、レン入る隙間なくない?」って。
ミアとフィアの距離感を、
じわじわ育てながら、
レンにもちゃんと居場所のある物語にしていけたらと思います!
次回はたぶん、
初クエストでレンがかっこつけます。
たぶん失敗します。




