外伝2 それぞれの役目
天界は、妙な静けさに包まれていた。
「……減っている」
創造神ゼルヴァグが、低く呟く。
「信仰心が、減っている」
ラフィエル、即答。
「はい、順調に減少中です」
「なぜだ」
「魔王が有能だからです」
即答だった。
■決断(悪手)
ゼルヴァグは、ゆっくり立ち上がる。
「ならば」
「信仰税を導入する」
天界、凍る。
「は?」
ラフィエル。
「信仰を数値化し、徴収する」
「払わぬ者には加護なし」
遠くで天使がつぶやく。
「最悪の発想」
■下界
「は?」
「信仰に税金??」
「意味わからん!!」
大反対だった。
しかし——
「決定事項です」
天界からの通達。
■結果
神殿、閉鎖。
次々と潰れていく。
「やってられるか!!」
「むしろ信仰減るだろ!!」
減った。
爆速で減った。
■天界
ゼルヴァグ、愕然。
「なぜだ……」
「信仰心とは、こんなにも脆いものだったのか……」
ラフィエル、冷静。
「制度が悪いです」
「……魔王を呼べ」
しはらくして、
魔王、登場。
「またですか」
完全に慣れていた。
■八つ当たり
「貴様のせいで信仰が減った!!」
ゼルヴァグ、指差す。
「信仰を返せ!!」
魔王、数秒沈黙。
そして——
「……は?」
魔王、ため息。
「偉そうに玉座に座って」
「何もやらないから、うまくいかないんですよ」
天界、静まる。
「自分で動く」
「責任を取る」
「だから、うまくいくんでしょうが」
ラフィエル、小さく頷く。
天使たちも頷く。
めっちゃ頷く。
ゼルヴァグ、少し間を置いて。
そして、叫ぶ。
「我が動くと!!」
「悪い結果しか出ないの!!」
沈黙。
そして——
全員、頷く。
「そうですね」
一致した。
魔王、少しだけ考える。
そして、肩をすくめる。
「……じゃあ、役割分担しましょう」
「あなたは、見てるだけでいい」
「現場は、任せてください」
ゼルヴァグ、固まる。
「……いいのか?」
「その方が世界、安定します」
正論だった。
魔王は、静かに言う。
「世界は壊すより、回した方が面白い」
少しだけ笑う。
そして——
「じゃあ、仕事あるんで」
帰った。
ゼルヴァグ、ぽつり。
「……頼もしいな」
ラフィエル。
「元・敵です」
■下界
みつと和が、今日もご飯を食べている。
「これ、増えてない?」
「ちょっとだけ」
「ちょっとじゃない」
笑い声。
変わらない日常。
世界は、今日も回っている。
神は見守り。
魔王が動き。
天使が働き。
人間が暮らす。
少しズレているけど—
それでも、ちゃんと平和だった。
■END
読んでいただきありがとうございます。
新シリーズ短編も投稿してます。全四話予定です。




