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(4)7年前の回想 ミフユ PART5
(承前)
近江先生は竹田グループと南田グループを贔屓にして面白い調べごとを彼らにやらせるように誘導した。そして面倒な下調べで丹波山グループと古城グループの9名に当てられた。自然と近江先生への不満が出てくるのは当然の結果だった。
6月下旬。ミフユは給食の後で同じ研究会の子に呼び止められた。
「古城さん、ちょっと話があるんだ。廊下に来てくれる?」
ミフユはこれが呼び出しで喧嘩って漫画とかにある奴ねなんて事を冗談半分に考えたけど無論そんな話ではなかった。
その子は人の通りがない校舎端まで行くと廊下の窓を開けて手すりから身を乗り出した。そして何か踏ん切りをつけると振り向いた。
「古城さん。郷土研究会のやり方ってどう思う?」
単刀直入な質問。私たちの悩みの種。そして、
「私達と丹波山さんのグループだけ貧乏クジかな」
「だね。こんな事続いていいの?時間を無駄にしてると思うんよ」
そう言うと彼女は笑った。
「だから、相談があるんだ。古城さん」




