プロローグ
深夜にモルドレンを出発し、行けるところまで歩き続けた。
夏至が近いのか、空は間も無く東から蒼ざめていく。
そして、夜明けごろ。
ロッジを広げ、全員収容。
緊急のため、女性陣は2人でひと部屋。
オレたち野郎どもは、協力しようにも図体がデカいからな。
特にユーリは長身だ。
申し訳ないが、それぞれひと部屋で寝かせてもらった。
が、感謝とか考える間もなかった。
横になるなり、眠りに落ちる。
全員が目を覚したのは昼前。
そろそろ太陽が南中する頃。
オレたちは、ただ歩く。
アテのない旅に出てしまったのだ、致し方ない。
メルリはまだ目を開けない。
寝息を立てているので、最悪の心配は無いようだが。
そのメルリは今。
目を開けぬまま、グランディールに背負われている。
「すまん、グランディール。代わろうか?」
「いや、大丈夫だ。 …フフフ」
「ん? 何がおかしい?」
「いや、アナタがワタシに気を使うこともあるのだな、と」
「…オレをなんだと思ってる…?」
「ガサツな人かと」
「…それは間違ってないな…重くないか?」
「乙女に体重の話が厳禁だぞ?」
「あ、ああ、そうね、そう」
…オレが押されているだと?
「重くはない。いや、むしろ軽いくらいだ」
「子供の体重が分かるほど背負ったことがあるのか?」
「昔、近所や親戚の子供なら。彼女の肉付き具合からすると、という話だ。我が子を抱いたり背負ったり、そういった女性としての喜びを知る前に、こちらへ来てしまったからな」
気まずい。
余計なこと、言っちまったかな…
「そうでもない。それにアナタとて同じ境遇だろう。お互い様だ」
「そうかね…」
どうしてこう、オレの周りにはこんなに心が強いヤツばかりなんだろう?




