ブカブカで不格好って駄洒落かよ
駄洒落だね。これは確定的に明らか。
「マコと言ったか? 俺を一体どこへ連れて行く気だ」
今もなお、よくわからない道を突っ走るマコ。時には山に登り、時には激流の川を渡る。その幾たびにも命の危険を感じさせる旅は、果てしなく続くかに見えた。
「みえた!」
マコは指をさす。
場所は山の頂。その切れ目からわずかに光が漏れ出す。
そう、朝日だ。
マコが俺に見せたかったのはこれだったのか。
「やめろおおお、俺は太陽には弱いんだあああ!!!!」
俺は思わず叫ぶ。
そう、俺は日の光を浴びるとサングラスを掛けないとまともに歩けないのだ。光に弱い。
圧倒的に弱い。転売ヤーとは闇に住まう生き物だからだ。
「あー、楽し」
「俺は全然楽しくないいいい」
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ジョゼは十二勇士が一人、英柱のジェームズに連れられてとある屋敷に来ていた。
座敷牢に入ると、奥に垂れ幕がかかっており、例のあの人が鎮座しているのが影越しにわかった。
そしてその垂れ幕と入り口までを縦一線にお互いが向かい合うようにして国十二勇士達が座っていた。
G12柱要国会議だ!!
この突然開かれる謎のお遊戯会は、主に例のあの人の気分で執り行われる。出される料理がそれはまた絶品なので、十二勇士の集まりはほどほどに良い。
一番手前に座っていた中柱がこちらを見る。
「あー、来たあるね、ジョゼ。お前の席ねーから!」
「こらこら、シェンファン。それを言うなら、『貴方の席は隣です』だろ。まだ日本語がうまく話せないのか。いい加減慣れないと、例のあの人にどやされるぞ」
「済まないあるね、ビッチワイフ」
「俺の名前はマイクだ、シェンファン」
中柱のシェンファン。頭にシニヨンを付け、目じりを赤く染めているいかにも中華人っぽい女性だ。服装も例にもれずチャイナドレス。しかし侮ることなかれ、彼女は中国4000年の歴史の粋を極めた拳法の使い手なのだ。あの竜宝仙に師事していたというのだから、その強さは計り知れよう。
それを軽くいなすのが米柱のマイク。とても筋肉質で、常にサングラスを掛けている。彼の金髪は
光の加減で乱反射してくるため、目に毒だ。その輝き加減は他の追随を許さない。
米国からやってきたと噂されているが真実のほどは定かではない。本人の最近の悩みは、運転免許証を無くしたことらしい。再発行すればよろし。
後の残りの十二勇士は……。
露柱、伊柱、仏柱、豪柱、日柱、西柱、独柱、荳也阜縺ョ邨ゅo繧柱は、欠席みたいだな。
先ほどまでいた英柱のジェームズも帰ったようだ。
どうせなら食べて行けばいいのに。
あ、今日は魚かー。そりゃジェームズは帰るわけだ。
露柱、豪柱、西柱は中柱のシェンファンと同じ女性だ。正直十鮫月に対抗するのに女性ではかなり大変になると思うが、彼女たちはそこらの下手な隊員など物ともしないほどの強さだ。此処にいてくれたら華やかだったのになあ。
「さて、G12柱要国会議を始める」
例のあの人の号令でこのお遊戯会は始まった。
印柱ジョゼ、中柱のシェンファン、米柱のマイク。三人の緊張感が増した。