女の子Mの野望
日夜アイドルを目指すMは、来年、高校3年生の女の子だ。学校で目立つわけでもなく、男の子にもてるわけでもない。歌が上手いわけでもないし、彼女にしかないタレントを持っているわけでもない。ごく普通の女の子。
人と違うことと言えば、アイドルになりたい!という野望を強く持っているということだけだった。
それまでMは、夜寝る前に鏡の前で笑顔を作る練習、暇さえあればアイドルの曲を聞き、友達と食事をする時だって食べたいケーキをガマン、時間の許す限りスカウトがいそうな街へ行きブラブラする、何かのオーディションがあると聞くとそこへかけつける日々を送っていた。
ある日、Mがいつものように街をブラブラし、スカウトから声を掛けられるのを待っていた。賑わう通りを歩いてみたり、さりげなく誰かと待ち合わせしているふうを装い人通りが多い場所で時間をつぶしたり、街に溶け込むよう努力しながら過ごしていた。
ちょっと疲れたので、待ち合わせによく使われる銅像の前で一休みすることにした時だった。
Mの横にいた女の子が目の前にあったゴミを拾ったのだ。するとその女の子に男が話しかけてきた。
「君、芸能界とかに興味ある?」
なぜ?どうして?私の方がずっとかわいいはず!Mはあまりの悔しさにその男の前に立ちはだかり、訴えた。
「どうして私じゃないんですか!!」
すると一言・・・
「ゴミだよゴミ」
Mは返す言葉もなく、その場を後にしたのだった。
何か分からないことがあると何でも図書館で調べる。それがMのやり方だった。「ゴミだよゴミ」、その一言の意味が分からず、Mはその足で図書館に向かったのだった。




