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*19*


 いくらインドアな僕といえど、街に繰り出そうと思う日だってあるわけだ。まぁ、今日発売のゲーム買いに行くんだけどね。いくらなんでも学校じゃゲームは買えないから。こんな寒い時期に出かけるのも、目的がなきゃしないから。

 外出届を出し、学校の門をくぐって外に出る。此処から町までどうやっていくかな。学校から少し離れたところにバス停があってそこからバスに乗るか、30分くらい歩いていくか。30分もかかるのはめんどくさい。なんて、門の前で考えてたら見覚えのある顔が見えた。あれは確か……キス魔に迫られてた1年。


「あ」


 どうやら向こうも気付いたらしい。軽く会釈して挨拶してきた。


「こんにちわ!あのときは本当にありがとうございました!!」

「もう、平気?」

「はい!あれ以来特に接触されることもなくなりました。今度からは気をつけます」

「それがいいよ。君も出かけるの?」

「そうなんです。あ、そういえばさっき外出届出してたら、あの人も出してたんです。僕あわてて逃げてきたんですけど、もしかしたら……」

「げっ!あのたらし……。貴重な情報ありがとう」

「いえ、あじゃあ僕もう行きますね」

「うん」


 ああ、元気だな。こんな寒いのに、何であんな元気なんだろ。僕もう一枚着てくるんだったって後悔してたんだけどな。って、こんなことしてる場合じゃなかった。早くしないとキス魔が来るって言ってたな。

 僕もあわてて門から町へと出発する。バスなんか待てない。もしかしたらキス魔がバスに乗ってくるかもしれない。そんなことになったら逃げらんない。それ最悪。というわけで、バス停をスルー……。

 バス停でまたしても知り合いの姿を発見。構わず後ろから抱きついた。


「夕貴、おはよぅ」

「うわっ!?れ……澪先輩!?おはようございます」


 しっかり防寒してバスを待っていた夕貴は、僕だとわかるとにっこり笑ってあいさつしてくれた。なんて癒される後輩だろう。でも、此処で時間を費やすわけにはいかない。一緒にバスに乗っていきたいけど……。


「夕貴はおでかけ?」

「そうです。澪先輩もですか?」

「うん、まぁね。じゃ、僕そろそろ時間だから」


体育と逃げる時以外めったに走らないけど、今逃げてる最中だから全速力で僕はその場を後にした。……夕貴は大丈夫だよね。食べられちゃったりしないよね……。でも夕貴に手を出したら多分この学園じゃ生きていけなくなると思うな。相手はあの生徒会長だしね……怖……。うん、たぶん大丈夫。そう自分に言い聞かせ、僕はゲームのために街へと急いだ。


***   ***   ***


 

 狙っていたゲームは、何とか無事手に入れることができた。ゲームソフトが入った袋を携えて、僕はあと少しだけ街をふらつくことにした。こんなことでもない限り本当に出かけたりしないからね。なんか自分で言ってて悲しいんだけどね。でも寒い季節は絶対、家に閉じこもるからさ。ほぼ寝てるから冬眠してるみたいだって前にお母さんに言われたな。寒いと眠くなるんだよ。仕方ないよね。

 最近来てなかったけど、やっぱり多少店は違ってるな。新しく出来てたり、逆に潰れてそこになかったり。シャッターが下りてる店が目立つかな。なんか寂しい。


「----!!」

「~~~~~!!」


 寂しいのにどこかうるさいって言うか……。前方にうるさい連中を発見した。何あれ、すっごく柄悪そうな人たちと、一見サラリーマンかと思うような人たちが言い争ってるんですけど。ケンカ?あれなんかやばいよね。関わりたくないな。よし、このまま通り過ぎよう。


「おらぁ!!」


 なんて掛け声が聞こえたんですけど。本格的にケンカし始めたっぽい。あれ、今日ってこんな薄暗かったっけ?あれ、今日って一日中晴れだって天気予報言ってたけど、やっぱり当てにならないってことかな。なんて思って、上を見上げた時だった。人の背中が降ってきたのは。


「え、……えぇっ……ええええええうぶっ!?」


 僕はそのまま、その背中の下敷きになった。僕は目の前が真っ白になった。

インドア派なのは私もですが


それにしても澪は結構マイペースですね。

そしてまた何かに巻き込まれてます。

これからいろいろな事がわかってくると思いますのでお楽しみに。

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