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「にゃーお」

「……にゃ?」


 気付くと、見知らぬ和室にしかれた布団で寝ていた。僕のおなかの上の布団に、真っ黒い毛並みの猫がいる。い草のいいにおいがする畳。掛け軸の前には、菖蒲の花が活けてあったりして、どこかの旅館の一室みたいな部屋だった。さて、ここはどこだろう。枕元には僕の携帯と買ったゲームが入った袋。よかった、ゲームは無事だ。じゃなきゃちょっとキレるよ?うわ、しかも浴衣きてる。男ものだけど、着替えさせる必要あるの?ていうか僕の服はどこ行ったの?

 なんて思ってたら、ふすまが静かに開いて男が一人入ってきた。うっわ、この現代にこうも和服が似合う男ってのも珍しい。20代後半くらい……いや30代はいってるかな。その人は、僕の上にいた猫を優しく抱き上げた。あれ、この人の顔どっかで……。


「あ!さっきの……」


 柄悪そうな人たちとケンカしてたサラリーマン風集団の一人だ。スーツ着てたから勝手にサラリーマンって決めつけてるけど、こんなサラリーマンいたらすごい素敵だと思う。こんな人が上司だったら仕事がんばれるな。


「先ほどは俺らの事情に巻き込み申し訳ありませんでした」


 そういって、その人は猫をよこに座らせて、僕に向かって土下座してきた。布団の上で上半身を起したまま、僕はしばらくあっけにとられる。なに、この状況。え、どうすればいいわけ?にしても、イケメンが土下座するとかしちゃダメな気がする。そして横の猫に違和感が……。むしろ僕の方こそごめんなさい。今度はUターンします。というか、この状況ってなに?僕どうすればいいの?


「えっと……とりあえず顔上げてください。それに僕の方もなんか悪かったんだと思いますし……」

「いえ、ほかの方の迷惑になりうることをしていたという自覚が足りませんでした。結果、貴方を巻き込んでしまった。けがはないようですが、ご気分はいかがですか?」

「え、いや、なんともないです」

「それはよかった。そうでなければおやっさんに怒られるところでした」

「おやっさん?」


 というか、こんな大人じみた人が怒られるの想像つかないんだけど。良が怒られてるのも想像つかないな。僕はしょっちゅう怒られるけどさ。だらしないとか、さぼるなとか……。


「あの、なんか倒れてから面倒見てくださったみたいでありがとうございました。これ以上ご迷惑になるのもあれなので、これで失礼します。あの、僕の服は……?」

「それなら汚れてしまっていたので洗濯を」

「へ?あ、ありがとうございます……」


 ってそれじゃあ帰れないじゃん!!僕ゲームしたいんだよ!!せっかく手に入ったのに……何の拷問だよ……。


「お詫びといってはなんですが、どうぞ夕飯を食べていってください。こんな時間ですし」

「こんな時間……えっ、もう!?」


 時計の針は8をさしてさらに半分たっている。つまり、20時半過ぎ。やば、学園戻んないと、めんどくさい罰則が……。でも帰れないじゃん。どうすればいいわけ?


「もうすぐ用意できますのでそしたらお呼びします。どうぞそれまでくつろいでいてください」

「はぁ……」


 うなづく以外に何かあったと思う?とんとん拍子で決められ、どうしようかとも思っていたところに別の男がやってきて、夕飯の支度ができたと告げた。これはもう、夕飯をごちそうになるしかないのかな。

 数分後、僕はあのとき何が何でも帰ればよかったと後悔するのだった。

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