*11*
夏祭りはこれで終わりですが
誰かさんが暴言まがいの発言してます。
とっても丁寧なのにどこか汚い話し方してます。
注意してください。
良らしき人に抱きしめられたまま、僕はどうしていいかわからずされるがままでいた。そしたら、後ろからどなり声が聞こえてきた。さっきの男たちだ。でも、どこかひるんだ感じがするのは、気のせいなのか?
「てめぇ!!なんなんだいきなり!!」
「おいこれ……折れてんじゃね?」
え、折れてるって、骨?え、なにそれ。どういうこと?何したら骨って折れるんだろう。折れたらすっごくいたいって聞いたことあるけど、うん、痛そうだね。さっきから痛がってる声が聞こえてるから。
「まるで、俺が悪いみたいな言い方してくれるじゃないですか。どっちが悪いか、よくよく考えて発言しやがれていうんですよ」
「なっ!!」
「こんな神社で?無防備に手を洗っていた少女をいきなり襲い、茂みに連れ込む。そこで強姦未遂ですか?いまどきありえねー犯罪の犯し方ですね。もう少し頭使って考えられないんですか?あぁ、そんな低能な頭じゃこれが精一杯ですね。すみませんね、そこまで気がきかなくて」
あの、良……介さん?こわいですけど?丁寧な言葉遣いの中にときどき混じっちゃってますよ?口調崩壊してますよ?これってマジギレ?
「お前らみたいなぐずの塊が居やがるもんだから、俺も正直迷惑なんですよね?いろいろ、とばっちりみたいなの受けてるんですよ知ってますか?知るわけねーって感じですね。えぇ、結構。骨が折れた?あれだけのことで?鍛え方が足りないんじゃないんですかね?ちょっと殴っただけじゃないですか?それとも、少女を襲うしかしてこなかったから、そんなに鍛える必要ねーってわけですか?」
「さっきから……何様のつもりだ!!」
「クソガキが、誰に向かって説教しやがってんだ!!」
「説教?これが?まだまだこんなの幼児を叱ってるに値もしませんよ?それとも、説教してほしいですか?まぁ……」
そこで、一気に周りの気温が氷点下にまで冷え込んだ気がする。もちろんその原因は良だけども。
「テメェらみたいな、魂腐りきった野郎に説教する言葉すらねーけど。だからここで……」
すっと、良の体が僕から離れた。そして、僕の横を通っておそらくあの男たちがいる方に向かって言った。恐ろしくて後ろなんか振り向けない。僕はその場に立ったままだった。だけど、良の声は鮮明に聞こえてくる。
「死ね」
冷たく言い放たれた言葉。そしてまた聞こえたあの自然界ではありえないような音。そしてあわただしく離れていく足音。どうやらあの男たちは逃げ出したみたいだ。後ろで、良が短く舌打ちしたのも聞こえた。僕に向けられたものじゃないけど、僕の体は過剰に震えた。久々に、見た。これも良なんだよね。
「……大丈夫ですか?」
「っ……」
「すみません、来るの遅いと思って見に着たらああなってたもので、こっちもびっくりし……」
振り返ったらそのすぐそばに良がいて、僕はそのまま良にしがみついた。良の体に頭を押しつけるようにして、服をつかんで。気付けば僕の目からは涙があふれてきていた。
「うっく……ひっく……っ……りょ……りょぉ……ごめ……なさ……」
「なぜ謝るんです?」
「だって……ぼ……迷惑……かけっ……ない……て、なのに……こ……んな……ごめ……なさ……」
「はぁ……」
頭の上でのため息に、僕はびくりとなる。しかし、すぐに頭に良の手が触れた。
「怪我はないですね?」
「え……うん……でも……」
「やばいところまではいきませんでしたね?」
「やばいって……足と腕だけ……だった……」
「ならよかったです……」
「良……」
「それ以上されてたら、あれだけでは済まないですから。今から追いかけてさらなる鉄槌を……」
「いっ!?」
え、あれ以上何かする気だったの!?お、恐ろしい。絶対に良は敵に回しちゃだめだと思う。
ちょっとしたからなのか、それとも良のおかげなのか僕もようやく落ち着いてきた。そしたら、足に違和感を感じて、少し良から離れて足元を見る。
「あ……」
「鼻緒が切れてますね。はしたなく暴れるから……」
「あ……あの状況で暴れるなとか……」
「まぁ、無理ですね。ちょっと歩けますか?」
「え、うん……」
良に案内されるまま、僕は歩く。やっぱり右側の下駄の鼻緒が切れたみたいで歩きにくい。そして、敷地の奥にある神社の境内に来た。そこの階段のところに僕は腰掛ける。隣には良が同じように座った。
「鼻緒が切れた方貸してください。直します」
「うん……」
右足の下駄を、良に手渡す。良はそれを慣れた手つきで直し始めた。
祭りから少し離れたここは、おどろくほど静かで。でも今はその静かさがいやだ。隣で黙々と作業してる良が気になる。でも、何をすればいいのかわからない。でも、やっぱりお礼くらいは言いたい。助けてくれたわけだし。て言うか――――僕抱きついたりしたような……。したね。うん。あのときは何が何だか、とにかく必死でパニクってたんだよね。だから、何の抵抗?もなく抱きついたわけだけど。今になったらすごく恥ずかしい。
「あの……さ……」
「なんですか?」
「あの……さ……さっき……」
「はい?」
「さっき……助けてくれて……ありがとう……ございました……」
「……ふ……くくくくっ……」
「なっ!!?なんで笑うわけ!?こっちはちゃんと……」
「いえ、まさかあなたが素直にお礼を言ってくるとは……ふふっ。思ってなかったもので……」
「僕そこまで……失礼な奴じゃない……」
「そうですかね?」
「……浴衣……汚しちゃったけど……怒られるかな……」
「静香ならそんなことはないと思いますよ。俺からもわけは言っておきますし」
「べ……べつにいい!!じ……自分でいう……。良に余計な仕事増やしたくない……迷惑……掛けたくないから……」
「迷惑……ですか」
何もはいてない右足を、左足の上に乗せて何気なく動かしていた。ちょっと親指と人差し指の間が赤くなっている。やっぱり履きなれてないからだろう。もう少しはいてたら、痛くなってくるかもしれない。帰る途中で絆創膏でも張った方がいいかな。一応、手提げの中に何枚か入っているし。うん、今のうちに張っとこう。
そうおもって、横に置いていた手提げの中を探って2枚の絆創膏を取り出す。下駄を脱いで階段の上で膝を立てて座る。
「なにしてるんですか?」
「絆創膏はろうって思ったの。足の間そろそろ痛くなりそうだし。今のうちに」
「履きなれてない人はよくそうなるみたいですね」
「下駄なんか、初めてだ」
「そうなんですか」
ぺりぺりと、紙をはがして位置を考えながら張る。少し違和感があるけど、ないとこれ以上ひどいことになりそうだから我慢する。
「こんなものですかね……」
隣にいた良が立ち上がりながらそう言った。そしてなぜか階段を数段下りて僕の下に来る。
「え……何……?」
「右足出してください」
「え……いい!!自分で履くから!!」
やめてよ!!そんな……事、しないでいいから……。
でも、無情にも良は僕の右足をすんなりと捕まえてしまう。やさしく足に触れられて、思わず僕の心臓が大きく跳ねる。心臓に触ってないのに、うるさいくらいに心臓の鼓動がわかる。静まれ……静まれ心臓……。ただはかせてもらってるだけ……ただそれだけ。
直された下駄が、僕の足に履かされる。その感覚に思わずびくっとしてしまった。その反応を見たからなのか、良が突然顔をあげて僕を見上げてきた。
やめて……見ないで……。お願いだから……。お願い……これ以上……僕の心臓、大きく……早く動かせるの……やめて。これ以上……ドキドキさせないでよ……。心臓……死んじゃうよ……。
「どうですか?きつくありません?」
「……ん……」
「そうですか。ならよかったですね。さて……どうします?祭り、まだいますか?」
「……疲れたから……帰りたい……」
「そうですか。じゃ、送っていきますよ」
「うん……」
好き。死んじゃうって思えるくらい……それくらい好き。好き。あとどれくらい言えばいい?どれくらい、示せばいい?僕はあとどれくらいドキドキして、どれくらい苦しくなって、どれくらい貴方を思えば――――貴方は僕を好きになってくれる?好き、好き。こんなにも、僕が人を好きになったのは……生まれて初めてなのにな……。
返ってきて。貴方から僕への好き――――
良介は二重人格とかじゃありません。
そこはお忘れなく!
意外とケンカも強かった良介。
文武両道って感じなんですかね?
次回から新しい章になる予定なのでまたお話はガラッと変わりますね。
まぁ、相変わらずの澪と良介ですけど。
ぼちぼち入れたい話を入れつつ頑張ります。




