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page 8 -年の差ー

海憂と俺の、2人の気持ちが通じ合った日から何日か経った。

もうここにバイトに来てからどの位経ったかな?


2人で買い物に出かけたその日に俺たちは初めてのキスをした。

俺はその日からなおいっそう、今までいじょうに彼女のことを好きになっていた。

彼女をいつでも自分のそばにおいて、彼女のことをたくさんたくさん抱きしめたい。

彼女の唇にもっと触れていたい。

どうかしてるかな?俺?仕事も失敗ばかりしている。情けないな・・・。


「おい!拓斗!」

「あ〜雅弥、お前この忙しい時にどこいってたんだよ!」

「わり〜わり〜、ちょっとな・・・」

「まったく、冗談きついぜ!」

「へへへ・・・お前に紹介しておきたい人が居るんだよ]「俺に?」「うん」「お〜い、こっちこっち・・・」


「こんにちは〜」

「こんちは〜」そこには見たこともない女の子がちょこんとお辞儀をしていた。

「おい、雅弥〜誰だよ、あの子?」俺は雅弥の腕を引き寄せた。

「へへへ・・・とうとう出来ちゃった、俺の彼女」

「彼女〜?いつのまに〜、でも、けっこうあの子かわいいじゃん」

「だろ〜、あ〜でも、拓斗、お前、彼女を誘惑なんかするんじゃね〜ぞ!」

「なに、ばかなこと、言ってんの?」「俺だって、彼女くらい・・・」

「え〜お前にも出来たの?まじで〜いつのまによ〜」

「いや、違う違う、うなもの出来てね〜よ」「ほんとか〜?」

「まじで!」俺はなんだか慌てふためいていた。


俺だって本当は言いたい、声を大にして言いたい。俺の彼女は海憂だって。

海憂にまじで惚れました・・・。なんて言ってみたいって。

でも、なんとなく雅弥に気が引けて俺はその言葉を飲み込んだ。

海憂と俺の2人の秘密にもしておきたかった。なんでその時、そう思ったんだろう?


「あ〜あらためて紹介するね、こいつ、拓斗って言うの、俺の同級生」

「こんちは〜古坂拓斗って言います」

「はい、私は山本美咲っていいます、よろしくです」

なんか雅弥にはつりあわないようなおとなしめの子だなぁ〜。

「彼女さ〜明るくって優しいのよ、どことなくみゆうさんみたいな感じだと思わない?」


なにいってやがる、海憂とは似ても似つかないぞ!俺はちょっぴり腹がたった。


「なんかさ〜彼女と俺ってさ〜価値観が一緒っていうかなんか運命感じちゃったりしてるんだよね〜」

「お前、恋愛ボケしてんじゃね〜の?」

「なんだよ〜その言い方・・・なに、怒ってんだか!」

「怒ってなんかね〜よ!」

「そうか〜?ま、いいや」

「拓斗〜雅弥く〜ん!」海憂の声だ。俺は1人ドキドキしていた。

「海憂さ〜ん」

「こんちは〜」

「ちは〜っす!」

「海憂さん、今日も海?」「うん、そうそう」

「頑張りますね〜」「まぁね〜あれ?彼女どなた?」

「あ〜紹介します、俺の彼女の山本美咲さんて言います」

「お〜い!みさき〜」

「こちらは、みゆうさん、プロサーファー目指してんだぜ、かっこいいべ〜」

「へ〜そうなんですか、すご〜い」

「あら、そうなの、雅弥くんも隅におけないわね〜」ケラケラと海憂が笑った。


なんか、すごく若い子だ〜18歳位かな?拓斗とおない年か・・・。


「山本美咲と言います」

「あ、そうなの、かわいい名前ね〜、よろしくね!」

「なんかさ〜彼女とはおない年のせいか、みょうに気があっちゃって〜」

「やっぱタメ年だと楽しいっすよ〜」

「そう?そうかもしれないわね・・・」


おい、雅弥、よけいな事、いうな! 今、お前、完璧地雷踏んだぞ。空気が読めない男だな!

俺があせりながら、どのタイミングでこの言葉を言おうかと考えているうちに海憂の顔色がみるみると変わっていくのがわかった。


「んじゃ、俺、そろそろ店戻るわ〜」

「お〜、あ〜雅弥〜!」

「なに?」

「おめでとう〜〜〜」

「なんだよ気持ちわり〜、でもありがとな!」


雅弥はめちゃくちゃに嬉しそうな顔をして美咲って子と手をつないで店の方へと歩いて行った。

そんな2人の姿を見て俺は正直羨ましいと思った。

俺も海憂と手をつないで堂々と俺の女で〜す、なんて言ってみたいとそう思っていた。

そんな俺の気持ちを知ってか知らずか海憂がぽつりと言った。


「なんで、だまってるの?私とのこと、みんなには言いづらいの?それって私が年上だから?ね、拓斗、どうなの?」

「なんで、なんでそんなこと言うの?海憂?」「だって・・・」

「そう、思ってんの海憂だけなんじゃないの?」

「俺はそんなこと、1度も言ってないし、正直、海憂のこと、年上だからなんて思ってなんかない」

「もう、いいよ・・・もう、何も言わない・・・」海憂は海へと走って行った。


海へ走っていく彼女の手首にはターコイズブルーの青いブレスレットが光っていた。

俺がプレゼントしたやつだ。ちゃんとつけていてくれたんだ・・・。


俺は、小さくなっていく彼女の背中をただ見ていた。今日の海憂はどこかへんだ。

いったいどうしたんだろう?

そんなに年の差って関係あることか?お互いが信じあってりゃそれでいいんじゃねぇのか?

俺の頭の中でそんな言葉がクルクルと駆け巡っていた。










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