page 7 -KISS-
海憂からの突然の誘いに俺は驚きながらも彼女と2人で一緒にいられるっていう事が妙に嬉しくっていつになく自分の心のテンションが上がっていると感じていた。
海の家 潮騒からさほど遠くないところにパーキングがある。
海憂はせっせとそこへ歩いて行った。俺も彼女に遅れまいと必死に彼女を追いかけていた。
歩くのはや〜。でも、そんな小さな時間さえも今の俺には宝物だ。
彼女のちょっと華奢な背中が愛おしくてならなかった。
このまま、後ろから抱きしめたい。俺はそんな妄想を勝手にふくらませながらなんかひとりあせっていた。冷静になれ!オレ!!
「ささ、乗って乗って!」
「この車にですか?」
「そうよ〜これは私の相棒!」
「失礼しま〜す」
そこには海の色に似た綺麗な青い4WDの車があった。いかにも彼女らしくシンプルでなんのかざりっけもないけれどどこか小洒落た感じの車だ。
車に乗り込むと彼女の匂いがした。
「拓斗、私の隣に乗れるなんて幸せもんだぞ!」
彼女はそう言って舌をペロッと出して笑った。こいつ、最高!おっと、何を考えてるだ・・・でも、やっぱ、いい女だ〜。
私ってば、何、言ってんだろ?大胆な事、言ちゃったなぁ〜。でも、本気で言ったんだぞ!拓斗! なんてね・・・私のほうが幸せなのかも・・・。
国道をしばらく走ってから小さなサーフショップに着いた。
なんかどこか暖か味のある店だ。店の中に入るとそこには、オレンジ、青、赤、黄色等々色とりどりのボードが所狭しと飾ってある。
かわいいTシャツや、ポロシャツ、ウエットスーツなんかもセンスよく飾ってある。
あのTシャツ海憂に似合いそう・・・また妄想が始まってしまった。やべぇ〜。
「ねぇ〜拓斗、どのボードがいいか選んで!」
「なんで、いきなり、俺、ボードの事なんてあんまわかんないっすよ」
「いいのいいの、どの色がいいかだけ選んでくれればいいから〜ねっ!」
「は〜」最初にここの店に入ってから1つだけ気になっていたボードがあった。
素人の俺でもいいなぁ〜って感じるボード。それは、青色のボードだった。一口に青といっても色々種類があるけれど
そのボードの青い色は表現しようがないほどに綺麗な色をしていた。
「俺は〜これがいいと思うんですけど〜」
「えっ?これ?」
「はい」
「へ〜拓斗、センスいいね〜実は私もこれがいいなぁ〜って思ってたのよ」
「そうなんすか?」俺はすっとんきょんな声を出していた。
でも、海憂と趣味が合ったなんて俺には快挙だ。なんか、みょうに嬉しい。気持ちが暖かくなった。
「んじゃ、これにしよっと!これに決〜めた!」海憂はいつになくはしゃぎながらそのボードを小脇に抱え店の奥へと入って行った。
なんか嬉しいな〜拓斗と趣味が合ちゃった。うふふ・・・。私はそのボードをかかえて一人微笑んでいた。
手持ち無沙汰になった俺は店の中を見て回っていた。
その時、俺の目の前に飛び込んできた綺麗な青い色の石で作った指輪とブレスレットがあった。
<ターコイズブルー(トルコ石)ターコイズは魔よけの石と言われています。
持ち主に危険が迫ると、身代わりとなって石が割れたり、色が変化したという伝承が多くあります。
なぜか、ターコイズの不思議な力は人に与えられることによって倍増するといわれていて、大切な人への贈り物とする宝石といわれます。特に、愛する人から贈られたターコイズのリングは、絶大な守護力を発揮すると言われています。>
魔よけの石か・・・。今度プロテストがあるって海憂が言ってたな。
俺はそこにあった指輪とブレスレットのどっちを買おうか悩んだけれど
指輪はちょっとガラじゃね〜か!っと思いそのそばに置いてあったブレスレットを選んだ。
「お待たせ〜」海憂が店の奥から出てきた。
俺は、いま買ったそのブレスレットをポケットの奥へとしまいこんだ。いつ渡そうかなんて考えつつ・・・。
それから俺たちは海沿いのファミレスに寄り込んでランチを楽しみつついろんな話をした。
学校の事、海の話e.t.c...その一つ一つの話に俺たちは笑いあい真剣に話をしたりして盛り上がっていた。
そんな楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
「んじゃね!」海憂が言う。
「はい」
俺がそういって車を降りようとしたら
「拓斗〜今日は付き合ってくれてありがとう!」そう言いながら俺の肩を引き寄せ彼女は俺の頬にキスをした。えっ?
「今日のお礼!」海憂は照れたようにそういった。
そんな海憂が愛しくって俺は自分の指で彼女の唇に触れた。そして、彼女のその唇にキスをした。
一瞬、びっくりした海憂の身体をきつく抱きしめながら俺は言った。
「海憂、愛している・・・海憂・・・」
「拓斗、初めて私の名前呼んでくれたね・・・。」彼女の頬から涙があふれていた。
俺は彼女の涙をぬぐいながら
「これ・・・」今日、あの店で買ったターコイズブルーのブレスレットを渡した。
「えっ?いいの、もらっていいの?」
「うん、海憂のために買ったんだ」
「あ、ありがとう、嬉しい、大事にする、これ拓斗だと思って大事にするね」
「拓斗・・・」
「うん?」
「私も拓斗のこと、あ・い・し・て・る」
「まじで・・・?」
「うん・・・」
そして、俺たち2人はお互いを抱きしめあいそして2度目のキスをした。
遠くで波の音がかすかに聞こえていた・・・。




