35 栗崎城の戦い 其の5
殿(豊田安芸守治親)の人柄なのか?
またまた強力な助っ人の登場に勇気付けられる重兵衛達…
突如、下栗城に来襲してきた多賀谷重経の軍勢を、果たして重兵衛達は退けることが出来るのか…?
それでは続きは本編をどうぞお楽しみに下さいませ…
下栗城に着くと…
何と!
関宿城主 簗田晴助様の家臣団が、簗田家の家紋の入った軍旗を掲げて下栗城の救援に来ていた!!
(確か…先々月…北条氏照の夜襲を退けたばかりではなかったか…?)
(やはり…簗田様と我が殿には何か特別なパイプがあるんだなぁ…)
「その稲妻の旗印は…まさか…御主が永田重兵衛常充殿に御座るか?!」
「如何にも…あなたは…?」
「おぉっ…これは…申し遅れました!!」
簗田家の武将らしき侍は下馬して頭を下げた…
「某、関宿城主簗田晴助が家臣 石山三河守隼人佐と申します!我が主の命により、豊田治親様が御家臣 下栗常楽寺殿を御守りせんが為、関宿より推参仕りました!!」
「おぉっ!簗田家の石山三河守隼人佐殿と申せば…籠城戦の名手とその名を轟かす御方!先の関宿の合戦でも、水海城を北条の手から守り抜いたとか…?!真に心強き御方の御助勢、この永田重兵衛、我が主に成り代わりまして御礼申し上げまする!」
「何を仰せか重兵衛殿、雷神の遣いとその名を轟かす御方と共に戦えるとは…某は果報者に御座る!」
そこへ武藏守殿が来た…
「我が殿と簗田様は宗教上の繋がりがあって懇意になられたと聞いておる…しかし、今は…この様に戦ばかりで御会いになる事もなくなってしまったと…我が殿は嘆いて居られたが…まさか…この様な形で…梁田様の御心遣い…真に真に有り難い!!」
更に常楽寺様が来た…
「いやぁ、皆様方の御厚意…この常楽寺、終生忘れは致しませぬぞっ!武藏守殿、三河守殿、そして重兵衛殿、この場を御借りして深く御礼申し上げる!真に有り難き哉…真に有り難い…」
私が言った…
「常楽寺様、どうか面を上げて下さい!常楽寺様はこの様な下妻に最も隣接している土地を長年に渡り、たった一人で守り抜いて来たのです!この様な時には皆で助け合うのは当然の事…あ…いや…三河守殿には某からも御礼申し上げまする!
さて、吉沼には白井全洞が攻めて参りましたが、小田の御屋形様から強力な援軍を頂きました故、もう大丈夫でしょう…
此方、下栗には多賀谷の嫡男・重経が参っているとか…?
袋畑には、岡野半平実房殿以下5000の大軍が押し寄せましたが…5000と言っても所詮は烏合の衆…先程、蹴散らして参りました…
恐らく…敵は吉沼か下栗のどちらか一方だけでも落とせれば…という腹積もりなのでしょう…」
「なるほど、袋畑に敵勢五千襲来と聞いたが…主たる武将も居らず烏合の衆だったとは…と言うことは……やはり…重兵衛殿の申す通り…吉沼か下栗か…ということじゃろうな…」
「下栗城も栗崎城も豊田様にとっては、各々攻防の拠点…どちらも絶対に明け渡してはならぬ大切な城に御座る!そして…それは、多賀谷殿にとっても同じこと…どちらの城も喉から手が出る程欲しい城で御座いましょう…ならば、此方は守り抜くまでに御座る!…奪うは守るよりも難し…守るは奪うよりも易し…に御座るよ!!」
「流石!籠城戦の名手とその名を全国に轟かす御方よ!!わしと重兵衛殿で多賀谷の嫡男の首を取って参ります故、常楽寺殿と三河守殿は城の守りを頼みますぞ!」
私達四人は互いに目を見合って頷いた…
石山三河守隼人佐殿とも短時間で絆の様なものが生まれた感じがした…
(向石下300、古間木300、袋畑200、下栗勢を200足して…やっとこさ1,000か…敵は恐らく3000程か…?…こりゃ、流石に分が悪いな…
周防守様の御家来衆を無駄死にさせてはならないし…
確か…宿敵多賀谷の嫡男・重経は…何れ…
御家騒動の時に白井全洞を討ち果たしてくれる筈…
ここでは無理して…その首を取らない方が…
んむむむ…どうしようかなぁ…?
此方も時間稼ぎをした方が良いのかなぁ…?)
と…その時…
「重兵衛っ!加勢に参ったぞぉっ!!」
道鎮殿と伊古立勢200が応援に来てくれた…
(勿論、源蔵も一緒だ!)
「おぉっ、道鎮殿っ!」
「相手は三千と聞いてな?!中央は政重様に任せて、わし等は御主と共に此方で暴れることにしたぞ!!」
「有り難う御座います!」
(参ったな…時間稼ぎは…出来ないか…)
「相手は三千、此方はこれで…千二百位か…?!…重兵衛と、わし等なら充分じゃな?!」
「はい!ただ…多賀谷の嫡男・重経は、中々の知将と聞き拠ります故、一筋縄では行きますまい…」
「左様か…多賀谷の嫡男が…」
すると、源蔵が言った…
「多賀谷の嫡男と申せば、未だ十六~十七の若造に御座る!我が殿が少し脅かせば、尻尾を巻いて直ぐに逃げ出すでしょう!!」
「うむ…」
そこへノブが来た…
「殿、シビック持ってきましょうか?!」
「うん!ノブ、頼む!!」
「はぁっ!」
ノブは金村台の方へ走って行きかけた…
「あっ!ノブっ!!ユウキに電話してみてっ!!」
「はぁっ!!」
「重兵衛っ!何じゃ?しびっく…とか…でんわ…とか…」
「道鎮殿、ちょっとした小道具ですよ!敵の度肝を抜いて見せます!!」
「ふむ…?」
「さぁ、参りましょう!道鎮殿っ!!」
「お…おうっ!」
「そちらに居らせられるは多賀谷重経殿と御見受け致すぅっ!某は豊田家家臣・永田重兵衛常充と申すぅっ!!それ以上当家の領内に近付くこと在らばぁっ!容赦無く御命頂戴仕るぅっ!!」
「はっはっはっはっはっ…その方が永田重兵衛常充か?!会いたかったぞ!如何にも…わしが多賀谷重経じゃっ!!それっぽっちの軍勢でぇっ?わしの命を取るだとぉっ?!噂通り…中々面白い事を申す奴よのう?!永田重兵衛常充っ…くっくっくっくっくっ…」
(なんか…今まで見てきた武将達とは一味違うなぁ…
何だろう…?…なんか…今まで映画やドラマで見てきた…あの…織田信長の様な…うつけ者…大うつけ…なんか……そんなテイストがする人だなぁ…)
なんて考えて居たら…空に雲が立ち込めてきた…
私は太刀を抜いて天に翳した…
稲妻が天空を切り裂き…
雷鳴が大地に轟いた…
私は身体が熱くなるのを感じた…
身に纏った黄金の甲冑からは火花が散り始めている…
無数の矢が飛んできた…
千代王が嘶いた…
その瞬間…
千代王と私は矢を避けて空中にフワリと浮かんでいた…
千代王の首差しからは左右に見事な羽が生えていた…
「千代王、危ない処を有り難う!」
ブルルルルッ...
私は空中から多賀谷重経のやや手前を目掛けて思い切り太刀を振り下ろした…
ドッカァァァァァァン…
多賀谷重経の目の前の土が激しく捲れ上がり砂煙が舞い上がった…
多賀谷重経は後ろに揉んどり打って倒れた…
倒れながらも多賀谷重経は叫んだ…
「放てぇっ!!」
また無数の矢が飛んできた…
私が火花散る太刀をもう一度振り下ろすと…
飛んできた矢は全て燃え尽きて真っ白い灰となりユラユラと宙に舞った…
(つづく)
関宿城主梁田晴助様の御家来衆で、籠城戦の名手・石山三河守隼人佐殿が降臨しました!
しかし、多賀谷の嫡男・重経も中々の曲者で…
重兵衛は、遂に近代兵器を投入致します…
さて、今回の私の勝手な妄想的キャスティングなんですが…
石山三河守隼人佐…松重豊さん
多賀谷重経…尾上松也さん
今回は、私、この御二人を妄想しながら執筆しておりました…
皆さんのイメージは、どの様な方だったのでしょうか?
それでは次回「つぐみ龍の伝説」…
『36 栗崎城の戦い 其の6』にどうぞ御期待下さい!
尚、当然の事ながら…この物語は完全にフィクションであります事を御了承下さいませ…。




