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⑮ 下栗・袋畑の戦い (中編)

常陸の不死鳥・小田氏治の与力衆の1人、豊田治親と石毛政重兄弟、またその家臣団で原外記・与五郎親子、飯岡道鎮等を守る為…


今回は強大な商売金坊の兄弟の弟、虎蔵と対決する重兵衛!


苦戦は免れそうにありませんが…


更にパワーアップする愛馬・千代王と共に、自身の力にも戸惑いながら、仲間達の為に奮闘いたします!


しかも、今回は…遂に、あの…飯見大膳殿が登場して参ります!


それでは、どうぞ本編をお楽しみ下さいませ…

千代王(チヨノオー)と私は袋畑城に到着した…


既に北側は、多賀谷の軍勢に包囲されていた…


「政重様、遅くなり、申し訳ございません!」


「おぉっ、重兵衛!下栗は大事ないか?!」


「はい!手強い奴は始末して来ました!!そろそろ、御本家からの軍勢も参る頃かと!」


「よしっ!良うやったぞ重兵衛!!しかし…あの馬鹿でかい商売金坊とやら…何とかならぬか?!」


「はぁっ、あ奴は…弟の方で、虎蔵とか申す者…」


「あの様に馬鹿でかいこん棒を振り回されては、誰も近づくこと適わぬ…」


「時を稼ぎましょう!あの様に巨大なこん棒を振り回して居れば、いくら怪力とは言っても、へばって参りましょう?!」


「うむ…」


「某が、囮になり、時を稼ぎます!」


「重兵衛…無理をするなよ!」


「はぁっ!」


「政重様っ!伊古立より精鋭百名、只今御加勢に推参仕りましたぁっ!!」


「おぉ、掃部、良う来てくれた!これから重兵衛が虎退治を致す故、皆、ここで待機じゃ!」




虎蔵のこん棒は、熊蔵のそれより更に一回り程、大きく見えた…


同じように、鉄の鋲が無数に打ち込まれていて、鉄環の巻き金がグルグルと巻き付けられている…


「ぐっふっふっふっふっふっふっふ…金ぴかの甲冑ぅっ!おめぇが噂の永田重兵衛だなぁっ?!ぐっふっふっふっふっふっふっふっ…」


「如何にも…某、豊田安芸守治親(とよだあきのかみはるちか)様が家臣、永田重兵衛常充である!下栗城にて熊退治をした帰り道、袋畑城には虎退治に推参仕った…」


「なっ…熊退治って…まさか…おめぇっ…」


「左様、熊蔵殿は下栗城で、大切なこん棒と一緒に、白目を剥いて、おねんねしておるぞ!」


「おっ…おめぇっ…兄じゃを殺ったのかっ?!」


「さぁな、ただ、他人様(ひとさま)の土地に勝手に入り込んできて、無意味に馬鹿でかいこん棒を振り回して、某の甲冑を寄越せ等と無礼な事を申すもんでな、御主等の大将の方へ、こん棒もろとも放り投げてやったら、こん棒の下敷きになって、血を吐いて、動かなくなった処までは、見届けてやったのだがな…」


「おっ…おめぇっ…ほらばっか吹いてんじゃねぇどぉっ!!」


「袋畑にも馬鹿でかい虎が出たと聞いてな、直ぐに此方に参った次第に御座る!」


「己れぇっ!永田重兵衛ぇっ!!ぶっ殺してやるぅぅっ!!!」


虎蔵が巨大なこん棒を振り回し始めた!


ブンブンブンブン…


規則的なリズムである…


私は、タイミング良く3歩踏み込んで、縄跳びを跳ぶ要領で、規則的に回ってくるこん棒を避けて見せた…


「流石、重兵衛じゃ!虎蔵を煽るだけ煽っておいて、こん棒を振り回させながら体力を奪う策略じゃ!」


私は、虎蔵に巨大なこん棒を相当降らせてから、一際高く飛んだ…


そして、キョロキョロと私を探している虎蔵の頭上に、ストンッ、と舞い降りた…


「おぉっ!」「おぉっ!」「おぉっ!」「おぉっ!」…


敵味方問わず、どよめきが起こった…


「てっ…てめえっ!な…なめやがってぇっ!!」


虎蔵は激しく頭を降った…


私は直ぐ様、虎蔵の顔面にフェイスロックを仕掛け、両足を虎蔵の胴体に巻き付けてから、首を左側へ思い切り捻ってやった…


「ぐげぇっ…」


虎蔵は呻いて、膝を着き、白目を剥いて、口から泡を吹きながら、地面に倒れた…


「つ…強ぇぇっ!」「強過ぎるっ!!」「あの…虎蔵を…」「いとも簡単に…」「やはり重兵衛様は雷神様の御遣いだっぺ!」「んだ…間違いねぇ…」「雷神様の御使いだぁっ!!」「んだんだっ!」………


戦場は静まり返っていた…


私は政重様の元へ戻り、片膝を着いた…


「良うやった重兵衛!あとは、わし等に任せておけ!」


「はぁっ!しかし、多賀谷の本隊が下栗から此方へ向かって来るやも知れません!某は、一旦、下栗へ戻り、吉沼勢を引き連れて参ります!」


「相分かったぁっ!無理はするなよ重兵衛っ!!」


「はぁっ!」


「袋畑の衆に、石毛の強者共っ、そして伊古立の精鋭達よっ!抜かるでないぞぉっ!!下妻の者共を一歩たりとも、この袋畑の地に入れてはならなぬぞぉっ!!!」


「おぉぉっ!」「おぉぉっ!」「おぉぉぉぉぉっ!」




私と千代王(チヨノオー)は下栗城に戻った…


下栗勢と吉沼勢と御本家の軍勢が、威勢良く勝鬨(かちどき)を上げていた…


「えいっ!えいっ!おぉぉぉぉっ!!」

「えいっ!えいっ!おぉぉぉぉっ!!」

「えいっ!えいっ!おぉぉぉぉっ!!」

「えいっ!えいっ!おぉぉぉぉっ!!」


豊田勢四百を御本家から率いてきたのは…何と…あの…飯見(いいみ)大膳(たいぜん)…殿…であった…


「重兵衛殿、袋畑は如何した?!」


「はぁっ!袋畑の北側は、多賀谷勢に囲まれて居りまするっ!石毛勢と伊古立勢を合わせても袋畑は六百…敵は恐らく…倍の千二百!何とか御本家様の援軍を賜れればと…戻って参りました!!」


「相分かった!重兵衛殿、我等と吉沼勢を合わせれば…六百!袋畑とあわせれば…千二百!勝ったも同然じゃ!共に参ろうぞっ、重兵衛殿!」


「有り難う御座います!」


(この方が…あの…飯見大膳(いいみたいぜん)殿(どの)…なのか…?)


「豊田と吉沼の勇者達よ、聞いてくれっ!我等は、これより、袋畑を侵略せしめんとする下妻の下郎共を成敗しに参るっ!今こそ我等の勇ましさを世に示す時ぞっ!!さぁっ、豊田・吉沼の勇者達よっ!いざっ!!共に参らんっ!!!」


「おぉぉぉぉっ!」「おぉぉぉぉぉっ!」「おぉぉぉぉぉっ!」「おぉぉぉぉぉっ!」「おぉぉぉぉぉぉっ!」


(この方が…本当に…あの…飯見大膳…?)


「重兵衛様が居れば負けねぇベ!」


「んだ、重兵衛様が居れば百人力だっぺ!」


「んだんだ、重兵衛様っ、一緒に行ぐべっ!!」


「何を仰る?又兵衛さん!皆さんが居てくれるから某は安心して働けるのです!!」


「いやぁ、しかし、雷が鳴って稲妻が走ったっけぇ、重兵衛様の甲冑から火花が出たっぺよぉっ!あん時ゃぁ、おったまげたぞなぁっ?!本当に雷神様かと思ったっぺよなぁっ!!」


「んだんだっ!おら達には雷神様が付いてっとぉっ!」


「わっはっはっはっはっ!」「わっはっはっはっ!」「わっはっはっはっはっ!」「わっはっはっはっはっ!」…


飯見大膳は、兵達と仲良く談笑している重兵衛を見ながら、何とも言えない…何か懐かしい友人に突然出会ったような…不思議な感覚に囚われていた…


「永田重兵衛常充殿…不思議な力を持っている男だ…」



豊田勢400名、吉沼勢200名、合計600名が袋畑に到着した時は、未だ、虎蔵は、地面に伸びたままであった…


が、やがて、ヨロヨロと巨体を揺すって、起き上がろうとし始めた…


何とか、自陣に戻ろうと、(もが)いているようである…


が、力尽きたのか、また…動かなくなった…


豊田勢1200 VS 下妻勢1200…


両軍は睨みあったままである…


と…その時、政重様が私に言った…


「重兵衛、悪いが、あの者を敵陣へ、送り返してやってくれ!」


「と…虎蔵を…で…御座いますか?!」


「うむ…」


すると、大膳殿が言った…


「折角…倒した相手を…何故…敵陣へ?…(とど)めを…刺された方が…良いのでは?」


「うむ…あの様に弱った者を成敗するのは、当家の(なら)わしに(あら)ず…きっと、兄上も同じ様に申される筈……重兵衛、頼む、行って参るのじゃ!」


「はぁっ!」


私は虎蔵を抱え起こして、負ぶってやった…


そして、多賀谷勢の陣まで虎蔵を連れていってやった…


虎蔵は、無言だったが、私を見つめている目には涙が滲んでいた…


「虎蔵殿、元気になったら、また、戦場(いくさば)で会おうぞ!」


そう言い残して、私は自陣に向かった…


「何と正々堂々とした奴らなんじゃ?!」


「敵ながら天晴れな奴らじゃ!!!」


相手陣営から、感嘆と溜め息が漏れる中…


「永田重兵衛常充殿とお見受け致す!某は多賀谷家家臣・渡辺長門と申す!此度の事、礼を申す!しかし、当方、これより、そちらへ攻め入る所存故、決して容赦は致さぬっ!!」


私は振り向き、渡辺殿に一礼して、自陣に戻った…



政重様が、私の肩を叩いて迎えてくれた…


「しかし、御主の馬鹿力には、いつも呆れるよのう?!」


すると掃部殿が言った…


「真、その、黄金の甲冑を身に付けると、重兵衛殿は別人に変わられますなぁ?!」


そして、大膳殿が言った…


「政重様、敵が参りますぞ!」


「うむ、皆、配置に付いてくれ!!」


「はぁっ!」「はぁっ!」「はぁっ!」



渡辺長門殿の号令で多賀谷勢が攻め混んできた!


その背後には、いつの間にか、多賀谷政経と白井全洞の軍勢が後詰めに入っていた…


その数およそ600程か…


豊田勢1200 VS 多賀谷勢1800…


袋畑城の西側に豊田・伊古立連合500、東側に石毛・吉沼連合500、正面には袋畑勢200が陣取った…


多賀谷勢1200が正面から束になって襲い掛かって来た!


豊田勢は、西と東から挟み込みながら、多賀谷勢を押さえ込むことに成功していた…


「重兵衛、ここはわし等に任せて、御主は敵陣へ斬り込めっ!どうやら多賀谷政経と白井全洞が何か馬鹿でかい物を運んで来たようじゃ!!」と政重様。


「はぁっ!」と言って私は千代王(チヨノオー)と共に、ごった返す敵の集団の外側へ出て、一気に敵陣目掛けて斬り込んで行った…


その時、また、雷鳴が轟き、稲妻が天空を切り裂いているのが見えた…


ドォォォンッと、敵陣近くに雷が落ち、私の甲冑からは、またも、火花が散り始めた…


愛馬・千代王(チヨノオー)の身体にも異変が起こっていた…


漆黒の馬体の筋肉が、更に隆起してきて、体高も一回り大きくなっている様に思えた…


首差しからは、翼のようなものが生えてきて、少し宙に浮かんでいる様である…


私は、渡辺長門殿と、その横で苦しそうに佇む虎蔵の姿を横目で睨みながら、更に敵陣深く斬り込んで行った…


やがて、巨大な滑り台の様な物が見えてきた…


兵達が、木の滑車をグルグルと回しながら丸太を次々に上へ、上へ、と持ち上げている様である…


(んっ?!…まさかっ?!…)


私の額から一筋の汗が流れた…


その時、私と千代王の方に向かって、勢い良く巨大な丸太が次々と転がって来たのだ…


千代王と私は、先ず最初の丸太を飛び越えて見せた…


そして、2番目の丸太を飛び越えた時、弓矢が飛んできて私に命中した…


が、黄金の甲冑が跳ね返してくれた…


千代王と私はフワリと宙に舞った…


正にその時、稲妻が空中で私の甲冑に当たり、角度を変えて、巨大な滑り台に命中した…


滑り台は、木っ端微塵に砕け散った…


吊り上げられていた丸太は四方にバラバラと転がり始め、多賀谷の後詰めの兵達は次々に丸太の下敷きとなっていった…


「くそうっ…永田重兵衛めえっ…」と、白井全洞殿。


「ど…どうなってるんじゃ?あの者は…いったい…」と、多賀谷政経殿。


多賀谷勢の後詰め隊は総崩れとなった…



一方、政重様は…


「でかしたぞっ!重兵衛っ!!……豊田・石毛・吉沼・伊古立の勇者達よっ!多賀谷の後詰め隊は重兵衛が蹴散らしたっ!!安心して目の前の敵を叩くのじゃっ!!!」


「おぉぉぉぉっ!!」「おぉぉぉぉっ!!」「おぉぉぉぉっ!!」「おぉぉぉぉっ!!」「おぉぉぉっ!!」…


「重兵衛様が踏ん張ってんだ!おら達も頑張っぺよ!」


「んだなぁ、目の前の奴、一人ずつ、やっつけっぺ!」


「うんだ、重兵衛様が居れば、おら達は負けねぇべな!」


逆サイドでは、飯見大膳殿率いる豊田勢と、伊古立掃部(いごだつかもん)殿率いる伊古立勢が奮闘していた…


「多賀谷の後詰めは総崩れだそうじゃ!こ奴らを片付けて、早う一杯やろうじゃないか?!豊田・伊古立の精鋭達よ!!」


と大膳殿が、御味方達を鼓舞した…


「おぉぉぉぉっ!!」「おぉぉぉぉっ!!」「おぉぉぉぉっ!!」「おぉぉぉぉっ!!」「おぉぉぉっ!!」…


豊田勢、一気に盛り返す…



しかし、その時、虎蔵が息を吹き返したように、丸太を掴んで立ち上がった…


「うごあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!渡辺様ぁぁっ!行っても良いんだべかぁぁぁっ?!」


「うむ、頼むぞ虎蔵!蹴散らしてやってくれっ!!」


「うっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


突如、虎蔵が丸太を振り回して、豊田・伊古立勢に襲い掛かって来た…


「うごあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!飯見大膳殿は何処じゃぁぁぁっ?!おら達を片付けて一杯やるじゃとぉぉぉぉっ?!おもしれぇぇっ!やって貰おうじゃねぇかぁぁぁぁっ!!」


豊田・伊古立勢が、次々に虎蔵の丸太の餌食になっていった…


「ぐっふっふっふっふっふっ…飯見大膳殿ぉぉぉっ…見ぃ付けたぁぁぁぁっ!!おらはあんたの首を貰って一杯やるどぉぉぉぉぉっ!!!」


「大膳殿を守るのじゃぁぁっ!!」


そう掃部殿が叫ぶと、勇敢な伊古立の精鋭達が虎蔵目掛けて次々に襲い掛かって行った…


「うるさい蝿達だなぁぁっ!ほれっ、皆、纏めて潰しちゃうぞぉぉぉぉっ!!ぐっふっふっふっふっ…」


勇敢な伊古立の精鋭達は、一瞬にして、皆、敢えなく虎蔵の丸太の前に、撃沈されてしまった…


「己れぇ…虎蔵、わしが相手いたすっ!」と掃部殿…


「おろっ?未だ、うるさい小蝿が、居るようじゃのうっ?」


「己れっ、わしを小蝿と申したな?!わしの名は豊田家家臣・伊古立掃部(いごだつかもん)じゃ!己れのような化け物、これより先、一歩も通さぬっ!!」


「ぐっふっふっふっふっふっ…おもしれぇっ!でも…ぐっふっふっふっ…通っちゃうよぉっ?!おらは…」


虎蔵が丸太を思い切り振り下ろしてきた…


掃部殿は、スルリッ、スルリッと、身を躱していく…


「ぬおぉぉぉぉぉぉぉっ!こざかしい蝿じゃのぉぉっ?!」


「御主は、馬鹿でかいだけで、動きがとろいのう?!」


「何じゃとぉぉっ?!この小蝿がぁぁぁぁっ!!」


怒り狂った虎蔵の巨大な丸太が地面にめり込んだ…


その瞬間、掃部殿の名刀が、キラリと光って、虎蔵の丸太を見事、真っ二つに斬って見せた!!


「おぉっ!」「おぉぉっ!」「おぉっ!」「おぉっ!」


戦場(いくさば)が一瞬、どよめいた…


が…


丸太の半分を抱え上げた虎蔵が、ニヤリと笑って、思い切りそれを掃部殿目掛けて投げつけた…


グチャッ…


何とも嫌な音がして、丸太の半分が、掃部殿の腹部に命中した…


「当たったぁぁぁぁっ!うるさい小蝿に命中したどぉぉっ!」


掃部殿の傍に大膳殿が駆け寄った…


「掃部殿っ!掃部殿っ!!しっかりいたせっ!掃部殿っ!!」


「だ…大膳…殿…申し…訳…御座…ら…ぬ…」


伊古立城主・伊古立掃部殿は息を引き取った…


「己れ虎蔵っ!この化け物がぁっ!!」


大膳殿は、そう叫んで、虎蔵に斬り掛かった…


が、大膳殿の腕は、虎蔵の太く、長い腕に捕まれて、身動きが取れなくなってしまった…


「ぐっふっふっふっふっ…飯見大膳殿ぉぉっ!捕まえたぁぁっ!!」


そこへ、袋畑城主・袋畑右京殿が颯爽と登場した!


「己れっ!虎蔵っ!!其が相手いたす!大膳殿を離せっ!!」


「ぐっふっふっふっふっふっ…まぁた、うるさい小蝿が飛んできたのう?!」


そう言って虎蔵は、右京殿の方を向いてから、手を離して大膳殿を逃がした…


右京殿は両手に1本ずつ太刀を持って構えた…


二刀流である!!




政重様の処へ、逆サイドからの伝令か来た…


「政重様に申し上げます!伊古立城主・伊古立掃部様討死!!、以下伊古立勢も多数討死!只今、袋畑城主・袋畑右京様が虎蔵と対峙しておりますが苦戦中!願わくば御助成賜りたく推参仕りましたぁっ!!」


「な…何じゃとぉっ?!掃部が…相分かったぁっ!!重兵衛を遣わす故、何とか、もうしばらく持ち堪えよっ!」


「ははぁっ!御免っ!!」 


伝令は走り去った…


「重兵衛っ!!」


「はぁっ!政重様。」


「御主は、これより、西側へ参り、大膳と右京を守るのじゃっ!!」


「はぁっ!」


「誰かっ、唐崎へ参り、援軍を頼んでくれっ!!」


「それも其がっ!」


「うむっ、頼むぞっ!重兵衛っ!!」


「はぁっ!」



私は千代王(チヨノオー)と共に唐崎城へ急いだ…


「修理殿ぉぉっ!」


「おぉっ!重兵衛殿っ!!」


「袋畑に援軍をと政重様からの伝言に御座るっ!!」


「おぉっ、相分かったぁっ!唐崎勢が直ぐに参ると、政重様にお伝え下されぇっ!!」


「有り難う御座います!御免っ!!」


「唐崎の強者共(つわものども)よぉっ!手筈通りじゃっ!!我等はこれより袋畑の応援に参るっ!今こそ唐崎勢の勇ましさを見せる時ぞっ!!」


「おぉっ!」「おぉぉっ!」「おぉっ!」「おぉっ!」


私は馬上で修理殿に会釈し、袋畑に戻った…


「政重様!直ぐに唐崎勢が参ります!!」


「相分かったっ!早う大膳と右京の処へ参れっ!!」


「ははぁっ!!」



私と千代王が逆サイドへ回り込んだ時…


掃部殿の遺体が運ばれてきた…


私は千代王から降り、両手を合わせて拝んだ…


「何と言う…掃部殿ぉっ…先程まで…一緒に…笑って…話されて…居たのに…何と言うことかぁっ……掃部殿ぉっ…掃部殿ぉっ……どうか…安らかに…御眠り下されぇっ……この敵は…必ず…この…永田重兵衛常充が…獲ってみせます…」


「重兵衛様ぉっ!お急ぎをっ!右京様が危のう御座るっ!!」


「相分かり申した…。」


そう言って、私は千代王を預け、右京殿の処へ向かって行った…


その時も、また、稲妻が天を切り裂き…雷鳴は地に轟き…私の黄金の甲冑からは激しい火花が散り始めていた…。


(次回につづく)

大切な仲間を守りきれなかった重兵衛…


悲しみに暮れる間もなく、多賀谷との戦いが続きます…


次回は、いよいよ、商売金坊との決着戦です!


今回の夢の妄想キャスティングは…


飯見大膳…遠藤憲一さん!


飯見大膳と言えば、この物語のキーパーソンの1人です!! 


遠藤憲一さんなら、この難しい役をきっとこなしてくれる筈…


皆さんは、どんな方をイメージしたのでしょうか?


それでは、次回、つぐみ龍の伝説、「下栗・袋畑の戦い(後編)」に、どうぞ御期待下さい!

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