57妖精にヒモ。背負子で背負われる
コレスが妖精達と温泉を調査するというので、ついていく。
妖精を解き放ったら逃げるのではないだろうか。
「紐つけてみたら?」
「紐」
「異世界じゃ小動物の散歩するとき、脱走しないようにリードっていう道具で繋いどくの」
「それにする。数が多いのがめんどくさいが」
彼はそういって一匹一匹に繋いで行く動作をする。
本当にペット化計画が進行していっていた。
「愛し子に見えるなら、その紐見えちゃうけど」
「ただ、妖精を体に纏わり付かせて喜ぶやつに負けることはない」
誰が怒ろうと敵ではないのだと、言い切る。
そうじゃないんだけど、変に一強だし事実だからそれ以上言えない。
確かに愛し子になにを言われようとも無視する人だから、大丈夫そう。
温泉のありそうな箇所を、重点的に探す。
妖精達も張り切っているらしい。
朝も同じように食べ物を出したから。
コレスとエレラの朝食と同じものだ。
試しに、蜜なし蜜ありのミルクを出してみたら、蜜ありの方が集まりがいいみたい。
そこは人と同じ味覚なのか、魔力で作ったからか。
「なんか、とっても可愛く見えてきた」
妖精が食べるところは見られないけど、空になったものを見るのは嬉しくなる。
「そうか?お前が言うなら可愛く思えてきた」
「思い込みさせ過ぎじゃ?そこは分けようよ。さすがにかもしれないで思うのは無理だと思うよ」
「別にいいだろ?可愛くないと思うより」
「はぁ、うーん?妖精は紐繋がれて不機嫌?」
「楽しんでる」
「ぽ、ポジティブ!普通嫌じゃない?」
「遊んでると思ってる」
「遊んでる?不思議な感性だね」
水筒を二人とも持ち、カラカラと音をさせて登る。
因みにコレスの背中におぶられている。
椅子みたいなものを背中につけてもらって、それを頼んだ。
めちゃくちゃ喜んでいる。
これで、モンスター討伐に連れて行かないようにという、約束させてね。
「この椅子いいな」
「背負子っていうんだって」
背負子はショイコと読む。
「お前をこうやって持ち出せるとは」
「荷物とか乗せて登る用だから、そういうふうに使える。便利でしょ?」
「毎回やりたい」
「見つけたらもう登らないからなぁ」
「他にも原水を見つけておく。どうだ?」
「王族に盗られないのに、二つ以上確保しとくって」
「……背負いたい」
「連れて行きたい気持ちはわかるけど。いや、行きたくないし。次移動する時とかも使うから、もう背負わないことはないだろうし……なんとも言えない」
上り切って妖精達に導かれる。
やはり、魔力を感じ取れ水源も把握できるみたい。
凄く順調。
「凄い!見つけたのっ」
嬉しくて踊りたくなる。
「よかったな。掘るか」
「うん。私も掘る」
「やめとけ、死ぬぞ」
「半熟卵と同じ扱い!?」




