22エレラ&コレス
エレラの店、は前の店でもう使用しているから、違う名前がいい。
でも、考えも出てこない。
「エレラ&コレス……?」
どうせずっとこの店に居続けるだろうし。
驚きもなにもない名前になる。
店に意外性なんていらないと思うし、商品だけで充分目立っている。
名前に拘らなくてもいい。
「おれは構わない。お前に後々不都合にならねぇか」
「だって、めんどくさ過ぎて。考えるのめんどい」
「どれだけ面倒なのかわかった」
微かに口角を上げて笑みを浮かべる彼は、嬉しそうに言葉を募る。
「なら、エレラ&コレス」
「わかった。略称はエレラの店でいいよね」
「前のまんまじゃねえか」
「まーね」
面倒だもん。
多分店の名前は忘れちゃう。
コレスもわかったわかったと言う。
めんどくさいということを理解してくれた。
「で、注文のやつどうだった?」
「反応はよかった。言われた通り、特許登録させておくように言っておいた」
「おお、ありがとう。特許の方が一番気になってたから」
「最近お前から頼られる。もっとやってほしいことがあれば言え」
「店を開店させるまでくらいだと思うよ」
だって、そこまでくらいだろう。
あとはギルドで、注文書を取りに行ってもらうくらい。
コレスはまた残念そうに目を伏せた。
エレラは困るばかり。
いやあ、意地悪とかじゃなくて本気で食事の食材を買ってきてくれとしか、それくらいの頼みぐらいしか思いつかない。
それに、この街に少し住んだらまた違うところに行きたいしなあ。
ってなわけな、話を彼に伝えた。
「また変えるつもりだから、距離が遠いところから注文を取るつもりはなかったんだな」
「そう」
頷いて答えをさらに押す。
「次のあてはもうあるのか」
あと、送金距離の問題が解決しないのでやれない。
「まだ」
決まってないで首を振る。
コレスは笑みを深めて、こくりと頷く。
頷くついでにエレラの顔を見つめる。
「どこがいいかなあ」
「火山の国がある。そこには温泉が湧きやすいから、毎日入れると聞いたことがある」
とんでもない情報に飛びつく。
「行ったことあるの!?」
「ない。氷が降る国と年間降水量が多い国はあるが」
「そういうところもいつか、言ってみたい」
「おれのSランク特権ならどこでも入れる」
「そんな特権あるんだ?」
ファンタジーものでは定番な設定だ。
本当にあるなんて。
「いざ、災害級の魔物、モンスターが現れたら即座に駆けつけられるようにな。国境を越えるために審査を待ってて、国が滅びるなんて本末転倒ってやつだ」
自分よりも現代言語使いこなしてる。
コレスはこちらに教えられることがあることが嬉しいらしく、少しワクワクしていた。
彼の言う通り待ってたら国が滅びるかもしれないのに、そこで時間を取られては呼ぶ意味がないとなる。




