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40.楚




 すわえは言った。

 ぼくが大仙人様と一緒に仙界に上がって行く時に。

 いつでも遊びに来ていい。

 もしもぼくたちが居なくなったとしても、子孫たちがおまえと一緒に遊ぶから。

 待っている。

 おまえは独りではない。

 覚えておいておくれ。

 ずっと、ぼくたちが居る事を。











「ねえねえねえ。いつになったら一緒に遊んでくれるの?」

「けひっ。まあ、待てって。俺っちの仲間があんたと一緒に遊びたいって言ってるからよお。今はそっちに向かってんだよ」

「そうなんだ。だから、こんなにガタゴトしてるんだね」

「そうだ。激しく揺れ動くからよ。あんたたちが、怪我をしないようにその箱の中に入ってもらってるんだ」

「そうなんだ。やっぱり、すわえの子孫も優しいね」

「けひっ。そうだよ。俺っちはご先祖様と一緒で、とってもとっても優しいんだ。ほら。まだ時間がかかるから、寝ていろよ。おれっちの仲間たちが待っている場所に着いたら、めいっぱい遊ぶんだからよお」

「うん。そうだね。そうなんだけど。わくわくして眠れないなあ」

「そりゃあそうだろうなあ。しょうがねえ。俺っちの特製のお香を焚いてやる。これを嗅げば、すぐに眠れるぞ。着いたら起こしてやるから安心しろ」

「うん。ありがとう!」


 疾走感が激しく、大きく揺れ動くほろ馬車の中。

 ほろ馬車に備えられている木の椅子に腰をかけていた來凱らいがいは、胸に収めていた渦巻き型のお香に火を点けて、一段下がっている場所で、いばらが寝そべる竹の檻の中へと放り投げた。

 火事にならないように特殊な素材で作られたその渦巻き型のお香から、か細く青い煙が立ち上り、甘い匂いがくゆる。


「けひっ。流石はあんたが用意したお香だ。効果は覿面だな」


 即座に眠りこけるいばらを見下ろしていた來凱らいがいは、真向かいの木の椅子に座る心槍しんそうへと視線を向けた。


「この虎がそなたを信じているからこそ、お香の効果も覿面になるというものだ」

「お互い様って事か?」

「そういう事だ」


 にやり。

 來凱らいがい心槍しんそうは不敵に笑ってみせたのであった。











(2024.3.25)




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