22.岩家守
「あ。お帰りなさい!燧乎様!」
燧乎の岩にて。
岩家守は燧乎を笑顔で出迎えた。
この岩家守、爬虫類の家守から妖怪へと変化、過酷な修行を経て霊獣となって、今は燧乎の弟子として、燧乎を師と仰ぎ、共に修行をしているのであった。
身体は小人である燧乎より二回り小さく、姿形は爬虫類の家守のままであるが、日常では心掛けて四足ではなく二足で歩行しており、また、爬虫類の時も妖怪の時も夜行性であったが、今は昼行性になっていた。
「ただいま。岩家守。栞太はどうだ?」
「はい!一生懸命歩いています!」
「そうか。そろそろ休憩にするか」
「あ!じゃあ、わっちが桃を取ってきます!」
「おう。任せた」
「はい!」
駆け走って行く岩家守を見送ってのち、燧乎は栞太の元へと向かったのであった。
ああ、やっぱり、若いってのはいいねえ。
そりゃあ、生きとし生けるものはすべて、何年何十年何百年生きていようが放てる眩さはあるってもんだが。
やはり、若さゆえに、放てる独特の眩さがあるってもんで。
あの眩さを見ていると、老いらくの己の身も熱くなって、また一皮むけた新しいやる気が生まれるってもんだ。
燧乎は目を細めて、栞太の修行を見つめていた。
重い身体を必死で動かしている。
滂沱と汗は流れ落ち、衣で隠れておらず露わになっている身体の部分は真っ赤になっていた。
苦しいだろうに、栞太の表情には苦悶だけではなく、晴れ晴れともしていた。
身体が疼いた燧乎は修行したくなったが、己を諫めて栞太に休憩時間だと声を張って知らせたのであった。
(2024.3.16)




