第三話 美味しい洋食店
その後は、冒険者で稼ぐという形で収まった。 そして、体を売ろうとしてた事で、一時間程怒られた。最終的には『二度とそんなことは言いません。』という念書を書いだぐらいだ。
──全く…心配性なんだから。
と少し呆れると、アビーはこちらを半目になって見てきた。なんとなく、意味がわかるような気がするが、そうすると負けたような気分になるのでわからないふりをした。
知らぬが仏というものだ。
「じゃあ、まずは飯を食いに行こう。」
「お金は──」
「飯は生きていくうえで必要なもの何だからよっぽどのことだろ?」
ニコッと明るい笑顔で言われ、えぇ…となっているところを無理矢理連れて行かれた。
着いたところは、洋食屋さん『ボルーミーノ』。自分は来たことの無いお店だったが、アビーは知っているようでお店の人と和気あいあいと喋っている。
それがなんだか微笑ましくて、見てるこっちの頬が緩んでしまう。
「そっちの坊ちゃん。注文はなんだい?」
女将さんに突然話しかけられ、慌てて注文票を見た。
昨日まで、何も食べてなかったためお腹はペコペコだ。どれも美味しそうに見えてしまう。だけど…と冷静になり、そこから『オムパン』と『クリームチャウダー』を選んだ。
「それで勇者様は、幼馴染を追いかけて来たってわけかい?」
「そうだ。俺の大切な幼馴染を捨てられるわけがない。」
どうやら、現状のことについて話しているみたいだ。
──アビー…少し恥ずかしいからやめてくれ…。
と何故か、僕の頬が熱くなった。
それを女将のエリーさんがみて、豪快に笑った。
「な、なんで笑うんですか?」
「そりゃ、いやぁ…!!」
笑うだけで理由は全く教えてくれなかった。同じようにアビーも困惑している様子で少し安心した。
「すまんね。ちょっとおかしくってさぁ。ほい、勇者様はモネストローネとバンバーグ。坊ちゃんはオムパンとクリームチャウダー。」
おぉ〜と目の前の美味しそうなご飯につい、よだれを垂らしてしまう。
いただきますと挨拶をしてから、口いっぱいに放り込んだ。
──世の中にはこんな美味しいものが存在していいのか?
思わず疑ってしまう程に美味しい食べ物が次々に口の中に吸い込まれていき、10分もかからずに食べ終わってしまった。
「おかわりください!!」
大きい声で言ってしまったのは不可抗力だ。我慢ができなかった。
「はいよ!!」
とエリーさんも嬉しそうに答えて、よそってくれた。
そちらも、すぐに食べ終わってしまったが流石にお腹いっぱいだったのでそこでやめた。
アビーの方も食べ終わったみたいで、エリーさんに美味しかったと伝えて『ボルーミーノ』をあとにした。
「さて…食べ終わったことだし、冒険者協会に行くよ!!」
「あぁ。そうだな!!」
──でも…ちょっと待てよ。僕はまだいいとしてもアビーは勇者として大分顔が広まっている。そのまま行ったらバレるのでないだろうか。
「よし、アビー。少し、こっちに来て。」
「……? なんだ?」
人通りの少ないところに寄せてから、アビーの身なりを変える。
長い髪はいつもポニーテールのとこからお団子に変えて、端正な顔立ちはメガネをかけさせ……と、色んなことをし、多少は勇者の面影があるけど詳しく見ないと、わからないぐらいには変装ができた。
「これは……なんのつもりだ?」
「目立たないために。そのまんまだと注目されちゃうでしょ?」
「確かに…そうだな。」
「あと、名前もこれからは…アビリーに変えるよ。そのまんまだとバレちゃうからね。これからは僕もアビリーって呼ぶし。」
「あぁ、了解!!」
二人で確認し合ってから、冒険者協会に向かう。
横にいるのがアビーだとは分かっていてもいつもと見た目が違うので少し違和感を感じた。それと同時に、もうアビーは勇者ではないんだ。という、嬉しいような悲しいような複雑な心境が胸でざわついた。
「何だ?そんなジロジロ見て。」
「いや、なんでもないよ。」
すっと下を見てから言う。
「楽しみだね。」
と。




