第二話 これからの事
『わかった。勇者だとラビィといられないなら俺は勇者を辞める。』
その発言に思わず目をパチクリさせた。
──アビーは何をいっているんだ?
その疑問をそのまま口に出す。すると、答えたのは意外な回答だった。
「俺は別に魔王に興味なんてない。人類の敵とかそんな大層なことは思ってないし、ましてや倒そうとなんて全然。」
「じゃあ…なんで勇者をやってたの?」
「それはラビィを守るためだ。でも、それのせいで一緒に入れなくなるなら本末転倒だろう。」
アビーからの回答に更に困惑した。
何故そんなにも僕といたいのかが不明だったからだ。別に、アビーと一緒にいるのがヤダってわけじゃないけど僕よりも強いものなんてごまんといるし…可愛い女の子だっている。それがどうして……
「そんなにも…僕って弱いかなぁ……」
考えて、ある結論に至った。
それが僕が弱すぎて心配ということだ。無論、そんなこと心配しなくたって自分で生きていくすべは持っている!!と思う。
「はぁ〜……。ラビィに体を売るのは向いてないよ。」
またはぁと溜め息をついて、呆れた様子でこちらを見てくる。
その言葉の意図が理解できなかった。
──なんで向いてないんだろ……。
「恋愛をしたこともないやつが向いているわけがない。」
まるで僕の考えを読み取ったかのようにアビーは発言した。そして、その言葉にムッとした。
──確かに今までに恋愛をしたこと無いけどさぁ。処女で童貞だし。
と思いながらも少し、冷静になった。さっきのアビーの言葉を思い出したからである。あの『勇者を辞める』とか言う爆弾発言を。
「話を戻すけど…やっぱり勇者を辞めるのはだめだよ。世界が壊れちゃうかも……。」
「それでさぁ思うんだけど、実際に魔王から受けた被害ってなに?」
それは…と言おうとしてやめた。出てこなかったから。確かに、よくよく考えて見れば魔害からの被害はあるものの魔王からの被害はない。
その魔王という存在だけを皆が知って、悪だ悪だと騒いでいるだけのような…気がする。
「でも…魔害を操っているとか…?」
「それはないだろ。魔害とかは本能でナニかを襲っているだけだ。その被害を受けているのは人間だけじゃなく魔人もそうだしな。」
確かに…とうんうん頷いた。本当に魔王からの被害が0に等しいのだ。
「要は、魔王を襲おうとしてるのは人間の傲り。そして、勇者という直接手にかけねばならない嫌な役をすこ〜し強いやつに押し付けているだけのこと。」
「ほぉ…。」
アビーの見事な言い分にただ感心することしかできなかった。
──やっぱ、アビーは頭がいいなぁ。
「ということで、俺はラビィについていく。異議は認めん‼」
「まぁ…いいけどさぁ。」
もう、アビーのことを諦めて素直に了承した。
──こっちとしてはありがたいからいいんだけど。
それを聴いて、アビーはやった!!という気持ちを隠さないでおもむろに出していた。何がいいんだかはよくわからないけど、喜んでもらえたならいっか、と結論をつけた。
「そう言えば、エデリーたちはどうしたの…?」
僕が気になっていた事をもう一つ聞くと、あぁ〜……って感じの表情を浮かべて、
「普通に置いてきた。まぁ…ね?俺を神として扱う感じがウザかったし!よくね?」
と言い訳をしつつ答えた。
──まぁあんな事言われたし、少し清々するからいっか。
「じゃあ、お金を集めないと……。」
「お金なら、持ってきた。」
そう言ってどこにしまってたのかわからないとても大きな袋をドサッと地面においた。中からはチャリンチャリンという、聞く人が聞いたら興奮するような音を出している。
中をそぉっと見たら、銀でもなく銅でもなく金ピカな光を輝かせている金貨があった。それも袋いっぱいに。
少し呆れた目でアビーを見ると、まぁいいだろ!!とこちらの目を見ずに答えた。全く……。
「そしたら、これで当分は困らないよな!!」
「いや。僕は自分でお金を稼ぐよ。これは、アビーが稼いだお金。」
「でも、ここにはラビィが稼いだお金だって──……」
「ないよ。僕は殆ど虎の威を借る狐状態だった。自分の実力で稼いだお金はここに入ってないからさ。」
わざとニコッと笑って言った。そうしたら、少し悲しげな瞳でこちらを見てきた。
「わかった。協力するよ。このお金は、よっぽどのことがなければ使わない。それでいいな?」
「うん。ありがとう。」
ニッコリと笑って感謝を述べた。




