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17/47

私が出会ったもの

本日ラスト連投!


意気揚々と東の平原に出た私が出会ったのは、

狼の何とも言えない出来損ないみたいなモノだった。


普通に狼に襲われるのは多分ハードルが高かったと思う。


でもだからってこれはないんじゃないかな?


毛むくじゃらの団子から狼の頭が飛び出てる

更にはおめめがムダにパッチリつぶら。

デフォルメしようとして途中で諦めたようなシュールさが嫌悪感を感じさせる。

名前は『饅頭まんじゅう狼』



ゲーム序盤のモンスターはマスコットや看板として重要な意味を持つ。私でも考えれば分かる。


青色の軟体生物や赤い火のとかげなど可愛い系のマスコットが代表的かな、とにかく大事…なのに。


私は目の前の名状しがたき狼のようなモノにため息がでる。


天才的なクリエイターの作ったゲームなのに勿体ない…


よし戦闘っと、の前に


_____________


【Name:AZ】

種族:ハーフリング


称号:【優等生】【夢想家】


職業:【冒険者】


LV:0


HP:103

MP:104


STR(力):7

INT(知力):3

DEX(器用)5

AGI(敏捷)10

MIN(精神):1

VIT(頑強):3

SP(スキルポイント):75-(10+10)=55

VAR(拡張性):75-50=25


オリジンスキル:

雹嵐ヘイルストーム


【効果】総合AGIを三分間2倍にする。

物理攻撃に氷属性付与。

歩数に応じて脚部に雷を蓄積する。

雷は脚を使った攻撃時に解放。

雷解放にて残り時間に関わらず効果

を終了する。

クールタイム30分


【行動】詠唱必須

詠唱時に他の行動不可。

発動後は1秒以上の停止不可。

VARコスト50

_____________


短剣はもらったけどスキルを取り忘れてた。

VARも強力なオリジンスキル雹嵐ヘイルストームがあるからとりあえずステータスに割り振っちゃおう。


スキルはリストを見て選ん…多い、頑張って選ぼう。


…30分後…


_____________


【Name:AZ】

種族:ハーフリング


称号:【優等生】【夢想家】


職業:【冒険者】


LV:0


HP:103

MP:104


STR(力):10(+3)

INT(知力):10(+7)

DEX(器用):10(+5)

AGI(敏捷):20(+10)

MIN(精神):1

VIT(頑強):3

SP(スキルポイント):75-(20+50)=5

VAR(拡張性):0


オリジンスキル:

雹嵐ヘイルストーム


【効果】総合AGIを三分間2倍にする。

物理攻撃に氷属性付与。

歩数に応じて脚部に雷を蓄積する。

雷は脚を使った攻撃時に解放。

雷解放にて残り時間に関わらず効果

を終了する。

クールタイム30分


【行動】詠唱必須

詠唱時に他の行動不可。

発動後は1秒以上の停止不可。

VARコスト50


システムスキル:


『戦闘スキル』


・近接物理攻撃

→短剣術 SP10

→近接格闘術 SP20


・回避強化

→軽業 SP20


_____________


苦心しながらも割り振り終えた。


視線をステータス画面から戻すと

さっきと変わらない位置にふざけた造形の『饅頭狼』は鎮座ちんざしていた。


…やっぱり気味が悪い生き物だなぁ。


ジリジリと近づいていくと。


『エンカウント!饅頭まんじゅう狼!パッシブモンスターです。』


いきなり視界に出てきたウィンドウに驚く。

戦闘前に一応こうして警告してくれるのね。


気を取り直して斬りかかろう。


脚に力を込め駆け出す。

スキルを使ってないけど、ステータスが伸びたからかかなりの速度が出てると思う。


すれ違い様に斬りかかってみる。


スキルの影響か、なんとなく刃の立て方が分かる。料理で包丁を使うのとおんなじくらい短剣が当たり前に使えてる!


ずしゃりと肉に刃がめり込み傷つけ、削ぎ落としていく。


…切れ味が悪いね


ちょっと感触が生々しいからグロ耐性無い人は厳しそう…


「キャウンっ」


饅頭狼が痛みで怯んでる。


チャンスに私は駆け出した。


今度は刃を突き立てる。

眉間に突き立てれば倒せるでしょ。


ドスっと鈍いけど割りとすんなり狙った場所に刺せた。


目を白黒させた饅頭狼が光となって消えていく。


『戦闘勝利!10経験値 『素材:饅頭の牙』 『素材:饅頭の毛皮』を手に入れました!』


…狼じゃなくて饅頭がアイテム名にくるのね。やっぱりここの運営の感性はズレてる。



初の戦闘を無難にこなした。この平原の先に何がいるのかも知らずに。



_____________



饅頭狼 饅頭狼 ずんだ狼 饅頭狼 饅頭狼

あんころ狼 饅頭狼 饅頭狼 ずんだ狼 ずんだ狼

饅頭狼 ずんだ狼 あんころ狼 饅頭狼 饅頭狼

あんころ狼…


…つらい、食べてる訳じゃないのに気が重くなる。


たまに変異種っぽいのが出てきてくれるけど、饅頭よりも気持ち悪いデザインなのも気が滅入る。


ずんだは人工色です!って緑の饅頭狼で、気色が悪い。

斬りつけると身体にくっついてるみどりの粒が弾けて、浴びると『しびれ(微)』を与える粉を撒き散らす。


少し浴びたせいで私の強みの速さが削がれてちょっと苦戦した。


あんころもずんだと似たような造形のモンスターだっただけど、色合いが…あんまり思い出したくない色なので割愛。具体的にはチャバネ…なかったことにしよう。



まんじゅうが弱いからか数を倒してるのにレベルはあんまり上がってない。


ちょっと疲れてきた。

時間もメニュー画面によれば16時だった。

朝から戦ってるから6時間は頑張ったと思う。


街に帰ろう…



_____________


門番のお兄さんに温かく迎え入れてもらって、街に帰ってきた。


とりあえずお金がないから、

冒険者ギルドに行こうかな。


もともと一本道だから、ギルドへは

迷子になっちゃうこともなく到着した。


ちょっぴり重いギルドの重厚なドアを

開けると中にはプレイヤーがたくさんいた。


狩り場にいたときは遠目にしか見えなかったし、あんまり人がいる感じはなかった。


もしかして、狩り場は争いにならないようにサーバー分けてくれたのかな?


そんなことをチラッと思いながら、

素材の買取受付を探す。


人の集まっている場所に

看板が見えた『素材の買取 最後尾はこちら』…


先頭を見るとまた、小部屋がある。

レジスタさんの部屋だ。


疲れたからだを動かして、並ぶ。

いかにも荒くれ者ですって顔のアバターの人もいるけど、中身が日本人だからかちゃんと並んでてなんだかおかしい。


何かデジャヴを感じさせると思ったら、帰宅ラッシュの電車待ちみたいなんだ。


スマホを見るようにみんなステータスを見て時間を潰してるようだ。


私もポイントを割り振っちゃおう。

_____________


【Name:AZ】

種族:ハーフリング


称号:【優等生】【夢想家】


職業:【冒険者】


LV:3


HP:145

MP:165


STR(力):25(+1)

INT(知力):25

DEX(器用):20

AGI(敏捷):40

MIN(精神):10(+7)

VIT(頑強):15(+6)

SP(スキルポイント):20

VAR(拡張性):15-14=1

_____________


スキルは保留。レベルアップで増えたVARでステータスをならしておしまいにしよう。


まだちょっと時間が余っちゃうな。

メニューの他の項目も眺めていよう。


フレンド パーティ 設定 キャラクター インベントリ モンスター図鑑


…あ、図鑑がある!

私ってキャラやモンスターの設定とか読むの地味に好きなんだよね。


どれどれ…

_____________


モンスターNo.1番


種族:饅頭狼まんじゅうおおかみ


脅威度:最低


四足歩行の狼だったが進化の過程で脚を捨て、現在の饅頭になった。


斬殺平原のウサギ達の方が純粋に強く、四足あっても速さが全く足りていなかった。

文字通り手も足も出ない狩られる側だった為、ある時から手足をそもそも形成しない狼が生まれ始めたのが始まりとされている。


恐らく、胎児の体積の()()を減らし多産にシフトした為にその様な進化を遂げたと学会では議論されている。


実際に生まれたての饅頭狼はピンポン玉程度のサイズで、一度の出産にに30匹近く生まれる。


余り数が増えると危険なモンスターを

増やす要因になりかねない。

エサ場的な意味で。


その為、冒険者ギルドでは常に討伐依頼が出されている。


_____________


厳しいなぁ、弱肉強食って…


_____________


モンスターNo.2番


種族:ずんだおおかみ


脅威度:低


饅頭狼の変異種。

より正確にはズェンダ=オフィオコルジケプスという菌類に寄生された姿である。


元々、食物連鎖の底辺にいる饅頭狼だが、分不相応にも基本的に肉食を好む。

その為、餓死寸前まで弱る偏食個体も一定数存在する。


そうした免疫力の低下した個体に先述のズェンダ=オフィオコルジケプスという菌が寄生する。


寄生した菌は饅頭の全身を蝕み、最終的には饅頭狼の体表を胞子嚢ともいえる緑の粒で覆う。


寄生したズェンダ=オフィオコルジケプスは

早い段階で饅頭狼の満腹中枢を支配し、対象の飢餓感をやわらげる。

また、感染当初の段階では菌自身が光合成で得た養分を分け与え共存関係を築く。


しかし、それも摘出不可能な侵食度に進むまでの時間稼ぎでしかない。


身体の支配権を乗っ取れるほど侵食したズェンダ=オフィオコルジケプスは、

寄生した対象の飢餓を増幅する。


結果、攻撃でもしない限り大人しいはずの饅頭狼が人や他のモンスター、果ては同族まで襲い出す。


なぜ、このような事をするか諸説あるが

恐らく、戦闘行為による菌と肉片や血液といった養分を広く飛散させる為だとされている。


()()人間での感染例は報告されていない。


_____________


…読むんじゃなかった。

ゲ、ゲームだから大丈夫だよね…


_____________


モンスターNo.3番


種族:あんころおおかみ


脅威度:低


饅頭狼の変異種。

より正確にはアンカゥロ=ペディキュラスという寄生虫に寄生された姿である。


食物連鎖の底辺にいる饅頭狼だが、分不相応にも基本的に肉食を好む。


食うに困り、昆虫食に走る個体が一定数存在する。


昆虫類に寄生している事が多い、アンカゥロ=ペディキュラスだが寄生先が饅頭狼に補食された場合は寄生先を変更する現象が起きる。


寄生した虫は饅頭の全身を蝕み、最終的には饅頭狼の体表を虫特有のキチン質の粒で覆う。


寄生したアンカゥロ=ペディキュラスは潜伏する。初期症状として軽いかゆみが出る程度

の変化しか寄生先に与えない。


しかし、静かに身体を作り替える。


かゆみは日を追う毎に大きくなっていく。

やがて饅頭狼も、かゆみに我慢出来ず木の根や石ころに身体を擦り付け、己の表皮を削り落とす。


削り落とした部分に夜な夜な虫は特殊な卵を産み付ける。

これが体表のキチン質に育つのだ。


効果としては若干の防御力の強化の他、筋力も何故か多少増強される。


そうして、虫は強化した饅頭狼の戦闘意欲と食欲を増幅する。


結果、攻撃でもしない限り大人しいはずの饅頭狼が人や他のモンスター、果ては同族まで襲い出す。


この行動原理はまだ研究段階ではあるが、虫は饅頭狼を使って肉を集めさせている事から何か()()()()()()()()()()()としている可能性がある。


()()人間での感染例は報告されていない。


_____________


いいところに順番が回ってきたから、レジスタさんの部屋に駆け込んだ!



_____________


バァンっと派手にドアを潜ってきた私に、とても驚いた様子のレジスタさん。


「ど、どうされました?」


「饅頭狼シリーズ以外と戦いたぃでずぅ」


「えぇっと、とりあえず話を聞きましょうか?」


「あい」


私は今まで読んだおぞましい饅頭どもの記述を話す。


「…饅頭が寄生生物のいい苗床になるのは良く聞く話ですが改めて説明されると、確かにショッキングな話ですね」


私の話に嫌悪感を共感してくれて、眉をひそめるレジスタさん。


「もっとファンシーな生き物と戦いたぃでずぅ、癒してほじいでずぅ」


半泣きで、懇願するけどそんな生き物いるのかなぁ。


「うぅん…ファンシーでしたら北門ですが…あっ!」


考え込んだ素振りを見せて、何か思い当たるモンスターがいるみたい!


「?…いるんですか!」


「北門にはウサギが出てきます、本来であればレベル差があるのでオススメ出来ません。しかしながら、北門に通ってる青年がいます。もし、よろしければ一緒に挑戦されてみては?」


「行ってみます!」


食い気味に返答した私にレジスタさんは

ちょっと苦笑して返した。


「今日はもう、日も沈みますので明日行ってみられては?」


そうだった…また、明日行ってみよう。


「そうします」


「それでは、今日の冒険の成果を精算いたしょうか?」


「お願いいたします!」


「ご売却したいアイテムを提示してください。」


問われて、即ずんだやあんころの素材を手放す。


饅頭の素材は何か使い道があるのだろうか?少し残しておいた。


「これで、お願いします」


「確認いたします…ずんだ、あんころ素材はご売却でよろしいですか?」


「はいっ!」


「かしこまりました、それでは116000Gになります。」


「?!多いですね!」


「最初は初クエスト達成ボーナスが発生します。また、素材報酬に討伐報酬も含まれております。」


「なるほど…初収入。うれしいな」


「ふふ、おめでとうございます」


微笑ましそうにレジスタさんがにこりとしてくれる。


「この後は日もくれてきますので宿に泊まって回復されたらどうでしょうか?」


「そうですね…このゲーム、夜はどう過ごしましょうか?」


「飯食って寝るっ!というのが冒険者の基本になります。と言っても、プレイヤーの場合は本体は寝てるので寝なくても構いません。

しかしながら、メニューからアラームをセットして寝ると、確実にその時間に目が覚めます。朝までやることが無いなら睡眠を取るのも悪くないと思われます。」


うーん?特にやること無いし寝てみようかな。

夢の中で寝るなんて不思議な感じ。


「飯食って寝るっ!でいこうと思います。初日で疲れた気もしますし」


「かしこまりました。職業が冒険者のみの間は、ギルド二階のゲストハウスが一泊2000Gで使えます。また、宿屋及びゲストハウスはここのような一時的個人インスタンス空間になります。フレンドであっても同性でなければ部屋に招けません。」


「了解です。ゲストハウスを借りたいです。」


スッと指をレジスタさんが動かした。


「では2000G頂きます」


『システム:2000G支払いました』


「部屋は201号室になります。ギルドは門限無しで開いていますが、ロンディニアの夜道は少し物騒なのでお早めの就寝をオススメします。それでは、お疲れ様でした。」


ペコリとお辞儀されたので、返礼して返す。


「ありがとうございます。それでは、また明日。」


そうして、レジスタさんの部屋を後にした。


_____________


日が沈むまで、少し街を散策した。

夕日のオレンジ色に染められたレンガ造りの街はとても絵になった。


いい匂いのした軽食店で、魚と芋のフライ料理を食べてから私はギルドの201号室に入った。ちなみに味はフィッシュ&チップス(イギリスの代表的なファストフード)のまんまだった。


部屋は簡素な作りだった。


服をかけるフックの下にお湯が入った桶があり、隣にタオル地の布が置いてある。


これで、身体や装備をふいてねって事だろう。


私は装備を外して身体をふいて、ベッドに転がり目を閉じる。


今日1日色んな事があった。


面倒なゲーム設定を頑張っていたのが

随分と遠い日の事に感じられる。


本当に不思議なゲーム。

なんで、()()()()()()()()()()()()()()()()

まぁ、どうでもいっか。


()()()()()()、明日は北門に行ってレジスタさんの言ってた男の子を探そかな?


あ、青年としか聞いてなかった。

なんて名前なんだろう?行けば会えるかな?

とりあえずうさぎさんが可愛いといいなぁ


なんて考えてると私の意識は眠りに落ちた。


続きが気になる!

面白かった!


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