↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
10/27

第7話:豹馬、初回に牙を剥く

東京ドームの天井を突き抜けんばかりの大歓声の中、審判の「プレイボール!」のコールが響き渡った。

マウンド上に立つのは、荒武者ジャパンの先発・銭形豹馬。

剃り込みを入れた角刈りにニキビ面の面構えは、世界の怪物たちを前にしても微塵も怯む色を見せない。それどころか、口元には不敵で不遜な笑みさえ浮かんでいた。

「へっ……噂の超豪華打線ってやつか。どいつもこいつもデカい面しやがって……! この銭形豹馬のジャガーボールで、いきなりキリキリ舞いにしてやらぁ!」

バックネット裏や放送席、そしてベンチからチームメイトが見守る中、第1戦・表の DWA(夢の世界連合)の攻撃が始まった。

DWAの先頭打者は、1番・ライトのフォルナンド・タテスJr.。

メジャーを代表する超凄腕のファイターが、悠然と打席へと歩み寄る。

「初球から行くぜ!」

豹馬がサイドスローの軌道から腕を振る。

唸りを上げて放たれた初球は、外角高めへ猛烈な勢いで突き刺さる150km/hのストレート!

タテスJr.の鋭いスイングが空を切る――!

「おっと、いきなり150キロだ!」(放送席・羽根達徳の声)

どよめく観客席を尻目に、豹馬は続く2球目に変化球を選択した。

手元で鋭く横滑りする高速スイーパー――「ジャガーボール」だ。

魔術的な軌道にタテスJr.のバットが完全に詰まり、ボテボテのファーストゴロに打ち取られる。打球を処理した4番・達摩厳が落ち着いてベースを踏み、まずは1アウト。

「よっしゃ、ワンナウト! いいぞ豹馬!」

ベンチから井草監督や野手陣の威勢の良い声が飛ぶ。

続く2番は、俊足巧打の左打者ピート・クロウ=アーミー。

ここで豹馬は、インコースへ食い込む「銭形ツーシーム」を投じる。

バットの芯を完全に外されたクロウ=アーミーの打球は、高いバウンドを描いてセカンド方向へ。

「そこだ!」

打球の落下地点へ矢のように飛びついたのは、2番・セカンドの真木秀悟。素早く捕球すると、一塁へ正確な送球を送り、間一髪でアウトを奪う。これで早くも2アウト。

そして、東京ドームの空気が一段と張り詰めた。

打席には、DWAのキャプテンにして世界最高の巨砲、3番・レフトのアール・ジャージが向かう。

「……いよいよだな」

レフトの守備位置についている森島翔太や、ベンチの面々が固唾を呑んで見つめる。

ジャージが威圧感たっぷりに巨体を揺らし、バットを構える。その圧倒的なオーラに、通常の投手であれば気圧される場面だ。

だが、豹馬の闘志はむしろ燃え上がっていた。

(メジャーの本塁打王様よぉ……! 俺のこの腕から繰り出す軌道、生きて見切れるもんなら見切ってみな!)

豹馬が大きく足を上げ、鋭く腕を振る。

投じられたのは、この日一番のキレを誇る150km/hの高速スイーパー――「ジャガーボール」。

外角低めへのボールゾーンから鋭くストライクゾーンへと曲がり込む魔球に、ジャージの巨体が豪快にスイングを切る。

――ズバァンッ!!

「ストライク、バッターアウト!!」

捕手・若武健矢のミットが凄まじい音を立てて球を受け止める。

ジャージは信じられないといった表情で一度バットを見つめ、そして不敵に笑ってベンチへと引き返していった。

初回。

世界最高峰の怪物たちが並ぶDWAの上位打線を相手に、銭形豹馬は圧巻の三者凡退劇を演じてみせたのだ。

「見たか! これが俺の、日本の『荒武者』のピッチングだぜ!」

マウンド上でガッツポーズを叩きつけ、闘志を剥き出しにする豹馬。

大歓声に包まれる東京ドームを舞台に、荒武者ジャパンの熱い反撃の狼煙が、今まさに上がろうとしていた――。

(第8話へ続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。