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第二十話 腹黒令嬢は人形剣士の為に腕を振るう

シュヴェアートが国王シルトの為に子ども時代を捧げさせられたと知ったシャイデ。

次なる取り組みは……?


どうぞお楽しみください。

 ……準備はできた。

 さて、これまで食べ物さえ与えられた物だけで暮らしてきたシュヴェアート。

 これにはどう反応するか……?


「シャイデ様。何か御用ですか」

「はい。今日は焼き菓子をお持ちしましたの」

「そうですか」


 これまでシュヴェアートに持って行っていたのは、とりあえず何かを差し入れしておけば良いか程度のものだった。

 しかしこれまでおそらく菓子を食べるのは、陛下の毒見で一口程度。

 たとえどれ程高級な菓子でも、それでは味は分からない。

 だから思う存分食べられるよう、たくさん作った!

 砂糖、小麦粉、牛乳に牛酪バターをたっぷり使った、しっとり系焼き菓子を一口大で二十個!

 ……こんな贅沢、可能なら私が味わいたい……!


「ではいただきます」

「どうぞ召し上がれ」


 じっと見つめるシュヴェアート。

 匂いを丹念に嗅いでから口に入れた。

 毒見係として、初めて食べるものに警戒をするのは当然ね。

 さて反応は……?


「……」


 無反応……。

 口に合わなかった……?

 果物を入れた爽やかな味の方が良かったかしら……。

 それとも歯ごたえのあるものの方が……?


「……あの、よろしければもう一ついかがですか?」

「よろしいのならばいただきます」

「ど、どうぞ……」


 気に入らない訳ではない……?

 それとも私が勧めたから仕方なく食べているだけ……?


「……あの、お口に合いますか?」

「口に合うとはどういう事ですか」

「えっ、その、お、美味しいと思うかどうかなのですが……」

「美味しいとはどういう事ですか」

「え……」


 ここまで分からないものなの……?

 子どもの頃から『美味しい』という言葉を使わないまま生きて来たなんて……。


「そ、そうですね……。もう一度食べたいと思う気持ちが、美味しい、という事でしょうか……?」

「そうですか。でしたらこれまでシャイデ様から頂いた食べ物は、全て美味しいです」

「は……」


 な、何よそれ……!

 お世辞!?

 でもそんな事言う性格じゃないし……!

 ……そう言えば最初の差し入れも「また持って来て欲しい」とか言っていた気が……。

 本気って事!?

 ……いや、落ち着け私。

 シュヴェアートは毒味とは言え、王宮の食事を日頃から味わっているのだ。

 私のだけ特別ではないはず。

 あくまで今は「私の菓子が口にあったか」を聞いたから、私の差し入れた物に対する感想を答えただけ。

 ……「他に美味しいものはありますか?」と訊いたら……。


「……ありがとうございます。ではそれは全て召し上がって頂いて結構です」

「ありがとうございます」


 ……まぁわざわざ訊く事もない。

 表情を変えずにお菓子を口に入れるシュヴェアート。

 あ、少し分けてもらうつもりが、すっかり忘れていた……。

 まぁ良いか。

 美味しいと言ってもらう人に食べてもらう事が、作り手の幸せだから。

読了ありがとうございます。


シャイデの餌付けに本腰を入れ始めました。

さて、どうなる事か……?


次話もよろしくお願いいたします。

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