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第6話

 鬼の形相で私を睨みつける、あの冷酷な黒い瞳────。


 こ・・怖すぎ。絶対に逆鱗に触れました。蛇に睨まれた蛙とはこの事でしょうか。恐怖で身体が震えて、動けません。

 


 その時、視界に浮かんだ「心を読む」ボタンの存在に気づき、私は夢中でそれを押した。最悪の結末を回避できる糸口が見えるかもしれない。するとすぐに、頭の中にあの声が流れ込んでくる。


【・・・・かわいい・・】


 ・・・・え?


【眩し過ぎていつも直視すら出来ないというのに、突然間近で手を差し伸べろだと? 随分と簡単にものを言ってくれるではないか。もう少し免疫をつけてからでないと、呼吸困難で死に至りかねない危険な行為だぞ】


 ん? これ本当に殿下の心の声ですか? か、かわいいって、初めて言われ・・いやいや今はそうじゃなくて、そんな事で死んだりしませんよ? 馬鹿なんですか?


【まずい。緊張で手が震えて・・こんな程度の事で動揺していると知れたら男の恥だ。絶対に悟られてはならん】


「・・この俺に命令しようなど、随分と傲慢な事だなクローディア・・王家よりもユンヴィの方が上だとでも言いたいのか」


 想像を絶する下手くそ!!


 馬鹿なんですよね? チート無しじゃ絶対に好かれてる事に気づけませんよ? あまりの天邪鬼ぶりに仰天した私の口から、思わず本心がこぼれ落ちてしまった。


「そういう態度とったら普通嫌われると思いますよ?」


 言ってしまってから、しまった! と思ったがもう遅い。ユリウス殿下はその整った眉目により一層力を込めた顰め面で私を睨みつけ────サッとその右手を差し出した。


 うわぁ、文句言ってすみません・・。ですがそのお顔、何とかなりませんかね・・? 


「あ、ありがとうございま・・」


 言ってしまった手前、戸惑いながらも私は、その殿下の日焼けのない白い手に自らの手を重ねようとその手を伸ばした。もう少しで手と手が触れ合う、ユリウス殿下の声が頭に響いてきたのはその時だった。


【叱られてしまった・・。意外と気が強いんだな。今までの妄想では俺が攻める一択だったが・・逆に攻められる、というのも有りかもしれん。これは今日からしばらく、はかどりそうだ。しかも触ったりなんかして大丈夫か? 歯止めが利かなくなりそうで恐ろしい】


 何か嫌な予感を察知して手を止めた。身体が一気にぞわっと総毛だつ。妄想・・? 攻める攻められるって? 《《はかどる》》って、一体何の話をして・・?


【焦るな。あと二年・・二年何事もなく進めば、公式に彼女は俺の物になるんだ。世継ぎを残す事は国をあげての命題。つまり義務となる。そうなれば俺が彼女とどんな淫蕩に耽ろうと、咎める者などいなくなるのだからな。その時こそ、俺のこの何百夜にも及ぶ妄想を解放させる時】


 嫌・・


【君を誰の目も届かぬよう宮の奥に閉じ込め、逃げられないよう鎖で繋ぎ、そして・・考え得る恥辱の限りを尽くし、君がどんな声で鳴き、どんな淫らな表情をするのか、汗ばむ肌の味や匂いも、その全てが知りたい────】


「やっぱり無理ですぅぅぅぅ!!」


 私は一目散にユリウス殿下の前から逃げ出した。


 な、なんて事を考えて・・

 やっぱりあの方は真正の変態です! ついていけません!



 

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