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第10話

「食欲があまり無いとの事でしたので、軽めのものを中心に用意しました」


 翌日の昼休み、私達は再びあの校舎裏で落ち合った。今日は敷物を敷いて、持参したお弁当を広げる。


【・・初めての食事が弁当・・?】


 むっ・・。ちょっと張り切り過ぎちゃいましたか?


【一般的に女性が男性に手づくりのものを送る行為は、わざわざ手間をかけた事を示し相手への好意をアピールする為だと言われている。また二人の仲を周囲へ認知させる、言わばマーキングの様な行為】


 いや、ただ人目を避けてるだけなのですが。カフェテリアに行きたいけど、取り巻き達に見つかると面倒な事になりそうなので。


【それにこれは天然の精力剤と名高いブロッコリーではないか・・まさか俺は、誘われているのか?】


「これは私ではなく家のシェフが作ったものですから! 安心してお召し上がり下さいませ!」


 慌てて手作りを否定した。ブロッコリーがそんななの知りませんよ。今日も考えすぎが酷いです、殿下(涙)


 殿下の心の声に耐えきれず、また途中で逃げ出してしまいそうなので、早速ではあるけど、私は気になっていた事を聞いてみた。


「ユリウス殿下は何故私のことを・・」


 好きなんですか? と聞くのはさすがに恥ずかしすぎる。


「こ、婚約者に選んで頂いたのですか?」


 頬を蒸気させながらもなんとか切り出すと、ユリウス殿下はあの温度の無い黒い瞳を、じっと私の方へと向けた。無言の気まずい空気が重くのしかかる。や、やはりこんな事を聞いてはいけませんでしたか?


「・・・・花をくれただろう」


「え?」


「窓の縁に置かれた花を見つける度、心が癒された。次はいつ届くのだろう。それを待つのが、あの頃の俺の唯一の楽しみだった」


「え・・」


 

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