4-9 忍者は変態?
ユイリが段々天然系になってる様な……。そして魔女さんは意外にもグルメだったという話?
「す、凄いね……忍者って。戦闘も魔法も出来て、遺跡でも全然大丈夫だし……」
ポンコツと呼ばれる自分とは余りにも違う……アイシャの言葉にはどことなくそんな響きが含まれている。
「そうでもないんですよ~。やっぱり戦いは戦闘の専門職の方が一流ですし、魔法はまた別の担当が居ますから。
ただ、専門職はその道に特化してしまっているので、あの時はボクが選ばれたんです。
そこそこ平均的に出来るからという事で」
にこにこと言われても、アイシャは暗い表情のままで。
「てゆーか、忍者みたいな特殊な奴らと比べて、劣ってるとか言い出しても意味なんてないぞ。
アイツらは”変態人種”なんだから。今の時代の人間が追いつこうたって土台無理な話なのさ」
溜息と共に吐き出す様に、魔女は話す。
「エ、エリザベス様ぁぁぁ~?! 変態ってヒドイですよぉぉぉ」
何気にヒドイ言われ様に、ユイリが涙目になっている。だが、今のはアイシャを慰めた……のか? もしかして。
「だぁって、どう考えたって忍者は”変態”なんだから仕方ない。大人しく諦めなさいな。
さぁ、繋がってるのも確認したし、いったん帰るよ。―――英雄クンはどーすんだい?」
「あ、俺も一回戻らないと……。乗ってったエアピそのままだし」
あのまま置きっぱなしだと、早々に砂に埋もれてしまいそうだ……。戻ったら一度ガンフに見て貰った方が良いかもしれないなぁ。
「ああ、そうだ! 賢者さん。砂嵐の中の塔に住んでるってホントなんですか?」
シェーラが本当に思い出した、みたいな感じで言い出した。
「どっかの超能力少年みたいだろ? ―――てのは冗談だが。
あの辺も昔はジャングルに近い深い森だったんだけどさ。まぁ、ある意味私のせい、なんだろうねぇ……」
やれやれとこれまた溜息と共に零す。
「エリザベス様の契約精霊は火霊系ですものね……。数も多いですし」
ユイリも同調する。―――のだが、魔法に疎い俺ではいまいち繋がらない。それは質問者のシェーラも同じだった様だ。
「何でかれーけいだと、ジャングルが砂漠になっちゃうの???」
その質問に、魔女は目に見えてゲンナリした顔をして見せて、
「―――ユイリ、任せた。」
と説明を放棄する。さっきまでは機嫌良くしゃべってくれてたのに……? 一方、突然説明役を振られたユイリは慌てて返事をした。
「え、は、はいっ!
ええと、エリザベス様は精霊魔法の火霊系術者……所謂、火の精霊と契約している精霊魔法使いです。
一般的な精霊魔法の術者の契約精霊数は、2~3万程度ですが、上級者ともなると5万を超えてきます。中でも著名な”獄炎の魔道士”スタンさんで8万越えといった所です。
ですが、エリザベス様は更にその上、契約数10万オーバーです。
流石にこの数の精霊を連れていると、惑星全体の精霊のバランスを崩してしまうんですね。
常に移動していたりすると、それ程でも無いんですが、一カ所に長く定住するとどうしても影響が出てしまいます。
エリザベス様の場合、火の精霊と最も相性の悪い水の精霊が、周辺から居なくなってしまうので草木は枯れ、水も涸れ、雨も極端に少なくなる……。そして、今現在の状況になった、という感じでしょうか?
要するに、エリザベス様は火を扱えば宇宙一ですよ、と覚えて頂ければ宜しいかと」
えーと……。ま、間違っちゃいないけど。何だか随分あさってな方向の結論が出て来た様な?
「ぷぷぷ……ユイリ、アンタは面白いねぇ? ホント、忍者とは思えないよ」
魔女は吹き出し、質問者のシェーラは?マークを浮かべ、端で聞いていたアイシャは腕組みして首を傾げている。
「あ、あれ? えっと……何かおかしかったでしょうか?」
きょとんとしている彼女の肩を後ろから押す様にして魔女は扉へと戻っていく。
「ははは、おかしかないヨ。さぁ、帰るぞ~、二人とも」
「あ、はい。―――じゃあ、また後でな」
未だに?の張り付いた様な表情の二人をその場に残し、俺達はまた扉をくぐり、塔へ戻る。
「よーし、これで美味い飯にありつく算段は付いたね。
絶対に声かけるんだよ? でないと―――呪うからな」
真っ黒い笑みを浮かべながら魔女に脅され、俺はうんうんと必死で頷く。宇宙三大賢者に呪われるなんて正直御免被りたい。万が一呪うってのが冗談だったとしても、ヒドイ悪戯とかはされそうだし……。
「はぁ……ほんっとーに、去月に断られたら、無理ですからね? 俺の所為だとか、言わないで下さいよ?」
ダメ元でも、念だけは押しておかないと。確かに言い出したのは俺だけど、俺の一存だけで決められるモノでなし。
「わーってるわーってる。……ってぇ、英雄クン、アンタ、ここのクッキー全部喰っちまったのかい?!」
「あれ……もう無いですか? じゃあ、はい、食べました」
そういや結構食べたなー。
「アンタ、食い物の恨みは怖いって聞いた事無いのかい?」
それはもう、鬼の形相で魔女が睨め付けてくる……。
「わぁッ、だ、ダメですよ、エリザベス様、呪っちゃダメ! また焼いてきますから!!」




