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俺の親友が異世界で最強枠になっちゃった話  作者: カトウアキ
第2章 白虎編

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13/23

13話 VSストーンゴーレム

 俺達は謎の白っぽい影を追い、いくつもの道が入り組んだ通路を進んでいく。


 何度か曲がったとことで、石製の下り階段が現れた。下にいくにつれて明かりが届かなくなっているため、足元に気をつけながら恐る恐る階段を踏んでいく。


 何段進んでも先が見えない恐怖と、早く叶多を見つけないとという焦燥感が、俺達の思考を激しく鈍らせる。


「壁をつたって歩かないと、ろくに階段も降りれないじゃない。明かりくらいつけなさいよね」


 先の見えない不安に駆られ、必死に見栄を張るルメリア。


「しょうがないだろ。……ていうか、もうちょっと静かに歩けないのかよ。聞かなきゃいけない音も聞き逃しちゃうかもしれないだろ」


「うっ、うるさいわね」


 反省の色は見られないが、若干声のボリュームを落として叫んだルメリア。


「それにしても……この階段、どこまで続いてるのかしら。段々寒くなっていってる気がするし、空気も悪いわ」


 声色をいつものトーンに戻したルメリアは、この状況を(いぶか)しむように言った。


 ルメリアの言う通り、そろそろどこか別の場所に着いても良い頃合いだろう。

 しかしいつまで経っても、道は下に続くだけだ。


「やっぱりなにかおかしい……ってもしかして──!」


「な、なんだよ」


 何かに気づいたルメリアは、その場で大きく溜息をつくと、「幻惑魔法、解除!」と小さく叫んだ。その音は何度か空間を反響し、やがて消える。


「……幻惑魔法? いつ幻惑にかけられたんだよ」


 安心したように口を緩ませたルメリアは、俺の言葉を軽くあしらい、自分自身を納得させるように言った。


「なんでもっと早く気づかなかったのかしらね。階段がずっと続いてたわけじゃなくて、私たちが同じ所をループしてただけだったのよね」


「ん、どういうことだ? 俺達がループしてるって?」


「ユウにしては察しが悪いじゃないの。そのままの意味よ。要は、階段に幻惑魔法が仕掛けられていて、私たちはまんまと時間稼ぎに引っ掛かったって話」


 イライラしているのか言葉の節々からトゲトゲしさを感じるが、いちいち気にしていても仕方ない。


 ルメリアの言葉を理解した俺は、歩くのを再開しながら「じゃあさ」と言い、言葉を続ける。


「幻惑魔法が解けたってことは、そろそろ終わりが見えてもおかしくないよな。でも、まだ続きそうだなぁ」


「この階段にはたしかに幻惑魔法が仕込んであったわ。解除したときに、明らかな手応えを感じたもの。きっともうす……ぐ……」


 語尾が失速し、なんのことやらと目を凝らすと、ついに。


「「──あった!!」」


 まだ互いの顔ははっきり見えないが、その顔はきっと喜んでいたに違いない。

 俺達は遠くに見えた小さな光明を目指し、ペースを上げた。


×××××××


 階段の先に広がっていたのは更に巨大な採掘場で、ありとあらゆる色に輝く鉱石が壁や地面、天井に埋まっていた。


 そして──。

 

 俺達より何倍も大きい体躯をした鉱石の集合体の魔物が、この坑道の迷い人である俺達を見るや否や、途轍もない怒号を上げ、立ち上がった。


 唐突すぎる事態に思考が追いつかないが、鉱石の魔物は歩くたびに地面を揺らしながらこちらへ着実に歩み寄ってくる。


「え、ちょちょちょちょちょちょっと待って」


 とりあえず一旦戻るか、と階段の方を振り返るが、もう遅い。階段はどこかへ消え去り、あったのはただの土でできた壁だけだった。


「え、ちょちょちょちょちょちょっとどうしよう来ちゃうって」


「──ッ!! あれはストーンゴーレムよ! こうなったら戦うしかないわ! ユウは下がってて!」


 鞘から剣を素早く抜いたルメリアは、腰を軽く落とし、剣先を魔物──ストーンゴーレムの右腕あたりに向ける。


 気合の入った声と共に走り出したルメリアは、ゴーレムとの距離が剣の間合いに入った瞬間、右腕の関節目掛けて剣を走らせる。


 しかし剣は弾かれ、衝撃で右腕ごと上に持っていかれる。動く鉱石の塊はそれを逃してはくれず、振りかざした左腕はルメリアの左脇腹あたりを捉える。


「──防御魔法!」


 間一髪のところで防御魔法を展開でき、攻撃を防ぐ──ことはできなかった。


 ゴーレムの腕は、ルメリアに触れる直前に見えない壁に阻まれ直接触れることはなかったが、勢いを殺すことはできず、ルメリアは思いっきり吹っ飛ばされ壁に激突する。


「……まだよ!」


 衝撃をいくらか吸収したためか、ルメリアはすぐに立ち上がった。


 「強化魔法!」と叫びながら地面を蹴ったルメリアは、先程とは違い薄い赤色のオーラのようなものを纏い、強化魔法の影響だろうが、素人目線でも強化されているのが一目で分かる。


 颯爽とゴーレムとの距離を詰めていき、慌てたゴーレムは体重を乗せた右腕でルメリアに殴りかかる。

 それに対して剣で応戦した赤髪の剣士は、ゴーレムに負けず劣らずの力で食い止め、剣先から火花が散る。


 力の差は互角に見えるが、強化魔法のおかげで軍配は赤髪の剣士に上がったみたいだった。


 後ろに弾かれたゴーレムは、そのままバランスを崩て仰向けに転倒。


 飛び込んだ赤髪の剣士は、剣を両手に持ち直すと、剣先を下に向け、すかさずゴーレムの胸あたりにある赤色の鉱石目掛けて突き刺した。砕け散る鉱石の音がして、その後一瞬の静寂が訪れる。


「──やったか!?」


「ええ、これで大丈──」


 深々と刺さった剣を抜きながら言った、その直後。

 突如としてゴーレムの身体がうねうねと奇怪な動きを始め、上に乗るルメリアを激しく揺らした。


 耐えかねたルメリアはすぐに剣を引き抜き、俺の側まで飛び退る。


「……こいつ、本当にストーンゴーレムなの……? こんな挙動、見たことないわ」


 荒い呼吸を少しずつ整え、ゆっくり話すルメリア。


「そんなこと俺が知るかよ。けど、胸のとこにあった鉱石はたしかに貫いたはずだよな。あれが心臓みたいな役割を果たしてたとすれば……暴走……してるのか……あるいは……爆発……」


 自分で言っておいてなんだが、もし仮に爆発でもしたら、袋の鼠の俺達は爆発に巻き込まれて即死だ。


 そんなことあってはならない。というか、あったらお終いだ。


「ばばばばばば爆発!? ストーンゴーレムにそんな自爆テロみたいな攻撃存在しないわよ! 不安になること言わないでよね!」


「とにかくどっちにしろ危ないって! なんでもいい、魔法で穴でもなんでも掘って脱出するぞ!」


「無茶言わないで、そんな魔法知らないわ! あわわわわわわ、ど、どうしよう……」


 そうこう言い合っている内に、姿形を取り戻したストーンゴーレム。しかし先程までのゴーレムとは違い、漆黒の禍々しいオーラを全身に纏い、ルメリアの刺した傷も完全に癒えていた。


 漆黒ゴーレムの真っ赤に染まった双眼が、ルメリアを捉える。


 瞬間。激しい地響きが俺達の平衡感覚を狂わせ、同時に、眼前まで瞬間移動していた漆黒ゴーレムが、両手を大きく広げ、俺達をまとめて潰しにかかってきた。

 

 すぐ横で風を切る音がしたが、寸前のところでルメリアが俺を抱え、素早く回避した。


「ありがとうルメリア。潰されるところだった……!」


「礼なら生きて帰ってから聞かせてよね! あなた弱いんだから……ほら──次、くる!」


 再び瞬間移動してきた漆黒ゴーレムが、同じ攻撃を仕掛けてくる。


 今度は少しだけ余裕を持って回避できたが、俺を抱えて移動する分、ルメリアの負担は想像以上みたいだった。


「……ユウ! なんでも、いいから……魔法を……!」


 強化魔法が切れたのか、一気に息を切らすルメリア。


「魔法ったって……強化魔法!」


 なにも起こらない。


「防御魔法!」


 しかしなにも起こらない。


「拘束魔法!」


 手をかざすが、なにも起こらない。


「──ユウ、もう一回くるわよ! 構えて!」


 再び俺を抱えたルメリアだったが、今度こそ反応に遅れてしまった。

 しかしルメリアの防御魔法の発動がなんとか間に合い、漆黒ゴーレムの手は俺達のすぐ隣で止ま──ることはなく、一瞬速度を抑えた程度で、勢いは止まらなかった。


 漆黒ゴーレムの手のひらが俺達に触れようとした──その刹那。


 馴染みのある人の叫び声が上から響くと同時に、漆黒ゴーレムは前触れもなく地面にめり込んだ。


 俺達が逃げるしかない相手を地中に葬った張本人は、くしゃくしゃな顔で頭上から登場すると、両手を広げて俺達に向かって走ってくる。

 その両手はゴーレムなどとは違い、泣きたくなるほどに優しかった。


「──悠君、ルメリアさん! ……待たせて、ごめんね……!」

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