オンライン 【5】
俺、本物の魔導士と付き合っちゃったの!?
『メールの返信も、文字で打つのではなくて、喋ると機械が勝手に送ってくれます。魔導師が使っている通信手段ですね。』
「へぇ~……」
いや、リアル過ぎてリアル感が掴めねぇ。
『あ、そうだ! これからは彼氏さんなんですから、呼び捨てで呼ぶね!』
と送られてきたのだが。
俺は相変わらず、魔導士ちゃんって呼ぶのか。
『でわ、そろそろ晩御飯の時間なので』
『おぅ、もうそんな時間か』
時計の短い針は、七のところを指している。
『またねです!』
と短く送られてきた言葉に『じゃあな』と返信して、スマホをソファーの上へ置いた。
「またねです……」
送られてきた返信を、口に出して繰り返す。
「でも、あれだな」
二十一才にしては、凄い元気いっぱいなんだな。
脳内で勝手に彼女の模型を作る。
……可愛いな。
「流石は俺の彼女だ。ふひっ」
て馬鹿か俺は。
ついに非リアを卒業したぞ!
見よ‼
と言っても、魔導士とか、あれは本物なのか?
こんな世界に魔導士なんて居るのか?
「晩御飯か……」
最近は、というか、ほとんどがインスタントか母さんの送ってくれた物やらで済ませている。
朝、昼、晩と。
俺は座っていたソファーから腰を浮かせた。
「久しぶりに、自分でも作ってみるか」
と思ったからだ。
冷蔵庫を開けて中身を確認。
………見なかったことにしよう。
続いて、食料棚を見る。
インスタントのうどん、インスタントのそば、インスタントの白米。
暫くして俺の家のキッチンには、ヤカンに水をいれる音と、それを沸騰させる音が響いた。
そして結局は、インスタントの晩御飯になったのであった。
自分で作った(水を沸かすという重要な作業)久しぶりじゃないインスタントに、お腹をいっぱいにさせて、俺は眠りについた。