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メ-ル彼女は、異世界から。  作者: 天川 奏
異世界パラレルワールド
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異世界人 【10】

 落ちた先は、想像した通りの森の中だった。

 そこで俺は横向きに倒れる。薄暗い。

 空を見ようと体を仰向けにするが、どのくらいの高さなのか予想ができないくらいの木が生い茂っていて、あまり見えない。

 重なりあった葉っぱの間から漏れるまっすぐで細い太陽に、目を細めた。

 起き上がろうと手を動かすと、ヒリヒリとした痛みがあった。


 「った……」


 痛みに耐えながら上半身を起こすと、自分の体を見回す。

 服が破れていたり、腕や頬の所々にも擦り傷があった。

 上から落ちてきたときに、木の枝に引っ掛かりでもしたのだろう。

 もう一度上を見るが、穏やかに揺れる木々は、何事もなかったかのようだ。


 「この森、どこだ……」


 異世界の森なのか、俺が元いた世界の森かすらもわからない。

 いくら周りを見回したって、全く見たことのない場所なのだが。

 これだけはわかった。

 俺は空間移動に成功したのだ。

 何とか立ち上がると、体に力を入れる。傷口には影響しなかった。

 いつも通り飛ぶ体制をとると、体を浮かせた。

 飛んで、空から周りを見渡してみようと考えた。

 ……が、そうも簡単にはいかない。

 自分が飛べる限界の高さよりも、木の方がずっと高かった。


 「くそ……」


 地面に足をつけて、アイリとリサのことを考える。

 今考えると、リサには空間移動をするという事を伝えてきたが、アイリには何も言っていない。

 学校はたぶん、まだ空間移動の授業中だろう。

 俺が勝手に空間移動を使ってしまって、向こうではどうなっているだろうか。

 俺の事は仕方ないと放っておいて、授業を続けているかもしれない。

 そんなことより今は、この森でどうするかだ。

 もう一度目を閉じて自分の家の部屋のベッドを想像して、念じてみる。


 「……おいおい、マジか」


 全く飛べなかった。

 一番初めと同じようにやってみているはずなのだが、何回やっても、目の前にある緑ばかりの景色は変わらない。

 先生の説明をよく聞いておけばよかったかな、と今さら思う。

 だがとりあえず今はお腹が減った。さっきから腹の虫がぎゅるぎゅる鳴っている。

 果物でも実っていないのだろうか、と、適当に道に沿って歩き始めた。

 もしかして空間移動に失敗したのも、お腹が減っていたせいかもしれない。

 いや、きっとそうだろう。


 上を見ながら歩いたって、果物らしきものは一つも実っていない。

 そこら辺に落ちていた木の枝を拾った俺は、蝮やらがいないかどうか、その枝で地面をつつきながら歩いた。

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