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プロローグ
「解読できたのですか……?」
上目遣いでこちらを伺う可憐な少女。その瞳は僅かに潤み、長い睫毛が震えている。まさしく物語のヒロインと呼ぶに相応しい。
「一応、……はい」
「すごい! 内容を教えてはいただけませんか?」
「えっと……」
なんて説明すればいい。たった今読み終えたこの聖書によると――私は、悪役令嬢が主役の世界で、最終的に断罪される運命の「元ヒロイン」らしい。
今後の羅針盤となるはずだったゲーム知識が、音を立てて崩れ去る。その崩壊の音を聞きながら、慎重に次の言葉を紡いだ。




