第16戦 裏切り
翌日の事でした。西の国セイランとの会談をするとの旨を聞きました。
「会談には誰が向かうのですか?」
「国使が3名です。恐らく彼らなら大丈夫だと思います。」
ロゼッタ姫の回答にコーネリアと顔を見合わせました。
「コーネリア……」
「はい、私も同行させていただけませんか?」
姫様はポカンとしていました。しかしすぐに我に返りました。
「信用できないと?」
「出来ません。」
姫様の鋭い眼光に私も鋭い眼光で返します。
「あの3人は昔からこの国の外交に務めを果たして来た方々です。それはメアリー指揮官もわかっているはずです。」
「分かっていますとも、しかし、彼らは流されやすく今の有事前では危ういと言えます。現に先の戦争は外交のすれ違いから戦火への導火線を付けてしまった。本来であれば戦犯にも等しい大罪なのです。」
「……確かに先の戦争はそうです。ですがそれ以外での功績も多くあります!どうか信用してくれませんか?」
「……わかりました。その代わり。姫様も立ち会いに入ってくれませんか?恐らく姫様がいる事で場の空気も引き締まるはずですから。」
「……わかりました。では、その手筈で参りましょう。」
そのまま姫様は部屋を出ていきました。
「本来なら不敬ですよ。」
「私とロゼッタ姫だから出来るのです。信頼しているのですよ。ロゼッタ姫は……」
私は姫様は信頼しています。しかし、王家の中では誰も信用はしていません。
「誰が裏切り者なのかまだ検討はつかないのですか?」
「いえ、分かってはいます。ですが証拠はないのです。」
「証拠がなければ立件はできませんもんね。そしてその中の1人が……」
「はい、国使の中にいます。」
私の掴んだ情報から何名かリストアップした中にいた人物……それは政治の中枢にいた。王妃に関しては恐らくかなり洗脳されてる可能性があります。国王はまだの様だけど時間の問題でしょう。
「姫様にこの事はまだ伏せておきますか?」
「そうですね。あの方は顔に出やすいですから……という事で、コーネリアやりますよ」
「はぁ……またやるのですね……」
会合当日……
「今日は姫様もご同行ですか……」
「何か不満でも?」
私が外交に行くのはもともと好ましく思われてませんでしたが……ここまでとは……
姫様と外交官3名でと王様に言われたから仕方なくとの感じでした。王妃の方は姫様が行くには早いと言われてましたが……そこは社会勉強との王様の一言で納得されました……が
「全く、子供の遊びじゃないんですからね!」
「わかっております。」
歓迎はされてなさそうです。とはいえ、ここまできた以上は引き返せません。そして会談場所は国境の街コースタです。
「姫様は口出しをしないで下さいね。」
「わかっております……今回はあくまでも見学ですから。」
更に釘を刺されましたが……メアリー様に頼まれた以上やる事はやらせていただきます。
「それでは参りますよ。」
そうして姫様たちは待機室から出て、会議室に入ります。
「これはこれは……今回はロゼッタ姫まで来るとはね。」
「姫様には退屈かもしれませんよ?」
一国の姫に対して非礼に近い発言だ。だが、外交官は誰も指摘しなかった。
「構いません、社会勉強の一環ですので。」
姫様は笑って返していました。そして各々席に着き会談が始まると一方的な話になりました。
「今回はそちらからの招待ですが、こちらは何もやましい事はないですよ。」
「我々もそうだと思っております。しかし、王がもしかしたら我々には知らない技術を得たかもと言われ、その真意を聞いて来いと……言われたものですから。」
1人の外交官はチラッとロゼッタ姫を見てそう言いました。
(どうやらここには私の見方はいない様ですね。)
完全に余所者扱い……しかし話は進んでいく。世間話から入るのは定石、そこから核心に入り込んでいく。今回はメアリー様たちがこの前一掃した外国人たちの移民からだった。そこで使われていた新しい武器。その話からの流れで今の武力の話へと繋げた。
「という物らしいですが、これをまぁ解析するとなかなか巧妙でしてね……」
「なるほど、どこかの国はもうそれを大量生産に入っているという事で……」
「ええ、我々も協力していかねばならないと……」
「なるほど、有益な情報ありがとうございます、して、今現物はあるのですか?」
「ええ、こちらに……」
そういうと外交官の1人が懐に入れてた武器を机に置きました。
「これが……ですか。」
その時姫様は相手を見ていた。その表情は明らかに初見のものではなかった。
「ほー、ここの穴から弾丸を飛ばすのですかね?」
「その様です。」
「確かに武器としては弓よりも簡単に使えそうですな。」
「あの!」
ロゼッタ姫は声を出していました。
「姫様、口出しは……」
「いやいや、どうなさいましたか?姫様」
自国の外交官が止める中、発言を許したのは相手の国だった。
「あの、なぜ使い方を知っていたのですか?」
その発言にその場にいる全員の顔がギョッとした。しかし自国の外交官が口を開いた。
「それはですね、あらかじめどの様な内容を話すかは書面にて……」
「でしたらなぜあの武器の持ち方をしてるのですか?私や父上はまず、穴の空いてるところを持ちました。ですが、彼は引き金の部分を最初に持ちかつ顔を穴に近づける際には引き金から指を離しました。そこまで細かく書いてはいなかったはずです。」
「はぁ……口を出さなければ良かったのにね」
「!?」
その瞬間相手の外交官は武器を正規の持ち方をし、引き金に指をかけていた。
「良い事を教えてあげましょう。姫様、これは拳銃という武器でしてね。もう我が国では大量生産しておりますよ。」
「そんなことを言って……よかったのですか?こちらは私を含め4人、数の利はこちらですよ?」
「何をいってるのですか?ロゼッタ姫?6対1です。」
そういうと、自国の外交官は静かに歩き始めた。
「どういうことですか!?」
「見ての通りです。いずれこの国は崩壊します。乗っ取られるなら強い国に就く方がいいに決まってます。」
「私をここで殺せば父たちはどう思うでしょうね。」
「外交失敗で皆殺し、それで戦争発展、蹂躙の流れです。元より小国のくせに資源大国など許せなかったのですよ!」
「はぁ……みなさんと同じ意見なのですか?」
「……産まれた国を侮辱されるのは嫌な気分になりますが……それでも生きていくため、そして同じ国になるのならそれもやむなしです。」
他2人も同じ意見で首を縦に振りました。そして拳銃が3つ私の方へ向きました。
「さようなら姫様、あなたのおかげで勝ち戦を仕掛けられます。」
しかしその時ふと扉をノックする音がしました。そして許可もなく1人のメイドが入ってきます。
「皆様、お食事の準備ができました。」
「そんな物もういらん!そして君もこの現場を見た以上生きては帰れんよ。」
「いいえ、帰りますよ。姫様を連れてですがね!」
そして顔を上げた時姫様は驚き他の6人は何も気づいていなかった。
「行きますよ!姫様!」
「コーネリア!?」
「なっ!」
その直後姫様はコーネリアに抱えられそのまま二階の窓から飛び出しました。一瞬の出来事、そして姫様とコーネリアを狙う3人とそれを呆然と見送る我が国の元外交官……その後ろには……
「さようなら……反逆者さん!」
私は普通の食事用のナイフで裏切り者3名の首を切りました。そして異変に気付いた他3名も次の瞬間には血の海に沈んで貰いました。しかしこれで西の国との戦争は確定となったのです。




