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町ごと召喚で呪われ 呪われて美少女になった俺は高校生男子です  作者: 茶山 紅
第十の呪い 呪われた街と傾国の美女と悲恋の乙女
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第五話 恋と変は字が似ている。呪い(のろい)とお呪い(おまじない)は字が同じ


「ヨシキ!」

 聞き覚えがある声。それと同時に駆け寄ってきたのは、

「フルー!」

 フルーだった。

 そのままオレの方へと駆けよって来る。そして、

「あっ!」

 ずごしゃぁぁぁぁぁぁ!

 盛大にすっころんで顔面を地面にこすりつけるように滑ってやってくる。

 うーん。

 ある意味、期待を裏切らないやつかもしれないとちょっと感動してしまいそうになった。

 あまりの状況にナンパをしてきた男たちも絶句している。

「ヨシキさん。大丈夫ですか」

「いや。お互い様だろ。この場合」

 誘拐されていたオレが言うのもなんだが大丈夫かとフルーを心配したくなる。

 正直、一瞬だがそれはこっちのセリフといいそうになった。

 辛うじてお互い様だとツッコミを入れるにとどまったことを褒めてほしい。

  そんな中で、

「大丈夫です。怪我をすることなんていつもの事なんです」

 そういって立ち上がるフルーだがそれを見てちょっと絶句した。

 頭から大量の血を流れており正直、怖い。

 その光景にナンパしてきた男たちも悲鳴を上げて逃げ出した。

「根性のない野郎どもだ。

 女が怪我をして血を流しているなら手当しろよ。

 それができないくせに女にもてようなんて小学生からやり直せ」

「ショーガクセーってなんですか?」

 思わず罵声を浴びせればきょとんとフルーが言う。

「あー。六歳から十二歳までの子供が学問を学ぶ場所だ。

 オレたちの故郷だとよほどのことがない限りみんな通っている」

「おー。つまり五歳児からやり直せと」

「要約すればそうだな」

 もちろん思春期の男の子はついつい好きなというか気になる異性を虐めてしまうということもある。その心境をわからないというほど心まで女になった覚えはないのでそれに関しては特に文句はない。

 ちょっと悪口を言ってしまうとかからかってしまう。

 そんな程度の事ならばオレは黙って見守るぐらいはする。

 けれども頭から血を流しているとなれば違うだろう。

 少なくとも治療をして怪我しちゃったというならばともかくだ。たとえ、それが気になる異性じゃないにしても心配ぐらいしろよ。

 そう思っている中で、

「フルー! お前は勝手に行くな!」

「あ。兄さん。ああ。愛しの運命の人。僕の婚約者」

「だからそれ町の外で言わない方が良いと」

「もう手をくれだろう」

「けれど問題よ。恋人は私なんだからね。フルーも私の恋人」

 そういってローイに吉成。そして薫とフィリにアリスがいた。

 とりあえず俺が思ったことそれは、

「お前ら、ツッコミどころは一つにしてくれ」

 だった。


 どうにか服を購入して人並みのそしてオレが好むメンズにも見えなくもない服になる。まあ。男物の服だと尻も胸も大きくて入らない。

 そのためにどうやっても女性用になる。なので厳密に言えばボーイッシュというか男装しているみたいになる。

 我ながらこれはこれで色っぽく見えてしまう。

 そしてようやっとのまともな食事。理想の乙女が食べるようなものではなく日本男児の高校生が欲しがるような肉料理を食べる。

「あー。美味い。まあ。元の街の方が美味だけれどな」

「確かに野菜などはそちらの品種の方が美味だな」

 俺の言葉にフィリがうなずく。

 まあ。その理由はわかっている。

 品種改良の結果だ。

 地道にというか長い年月をかけて美味しい野菜を作ることを目的に改良を施していった野菜や肉などの類。

 それは食にこだわる人間の強欲さが生み出したのだと思う。

 特に日本人はそういうのではすごいといえるかもしれない。

 ちなみに日本のスイカをエジプトで販売したらあまりの甘さに驚かれたことがあるらしい。なんでもエジプトではスイカは水分摂取が目的。

 そのために味は二の次だったそうである。

 まあ。エジプト。行ったことはないが砂漠の国だというイメージだ。砂漠で野菜を育てるのは大変だから日本の環境で育てるのと求める質は違うのだろう。

 ちなみに日本のスイカを食べてあまりの甘さとみずみずしさに大金を出したそうだ。

 閑話休題。

 さらに肉なども家畜として安定支給。そのために品種改良で美味しい肉を取るためだけに育てている。労力として育てている牛や年老いた鶏と違い若鳥や元気な牛の肉などは今よりも美味だろう。

 とはいえ、食べるために育てている牛や馬に鶏。自然な環境下で育てられているときもストレスや環境が悪かったりして味がおじたりすることもある。

 そのために肉に関しては一概に何とも言えないのであろう。

 まあ。今はそんな贅沢も言わない。

 肉にかぶりつく味わいに満足したい。

 とはいえ、説明をするのはやめない。

「まあ。そういったわけだ」

「思った以上に大変だったんですね。

 けれど大丈夫ですよ。殺されたり目玉をくりぬかれたりしたわけじゃないんですから」

「そうされながら愛をささやかれたくはないな。

 ホラーゲームなのか恋愛ゲームなのかわからないし。

 ヤンデレバットエンドルートじゃねえか……。

 いや。誘拐された時点でヤンデレ系列な気がするけれど」

 あいにくと恋愛ゲームをしたわけじゃないがある程度ならば話を聞く。

 惚れた相手を誘拐監禁した時点でアウトだろう。

 なので大丈夫じゃない。そもそもだ。

「相手が惚れているのは理想の女性なんだからよ。

 俺じゃないんだよ」

 そうオレはため息交じりに言う。

 その言葉に誰もが否定しない。

「だが、お前が思っている以上に厄介な問題だぞ」

 そういったのはローイである。

 その言葉にオレは嫌な予感を覚えたのだった。


 オレを誘拐したアホのアルバルト=ロー=ヴェンルッス。貴族の中でも高いくらいを持つ公爵家だったのだ。

「公爵って貴族の中でも偉いの?」

 そう薫が聞くが無理もない。

 現代日本人にとって貴族の爵位なんて覚える必要なんて基本としてない。呼んでいる本でも出てくる単語で爵位によって上下があるというぐらいしかオレもわからない。

 だが、この世界では信じられないと言いたげな質問だったらしい。

「おまえたちの世界がどんなのか知るのが怖いな。

 まあ。簡単に説明しよう。

 まず貴族の中で最もえらいのが王族だ。それはわかるな」

「まあ。そのくらいは」

 ローイの言葉に俺はうなずく。

 さすがに王族が偉いということぐらいはわかる。ちなみに王族ではなく皇族という呼び方があるがそこは重要ではない。

「まあ。その程度の知識はあったか。

 そしてまず下が騎士だ。まあ。これは軍に所属して騎士団に入り二年以上勤めたらという形で一代限りだから本物の貴族じゃない。なんちゃって貴族だな。

 貴族の跡取りじゃないやつが主にそうやって貴族としての立場を守る。

 自分の爵位をもってという形でだな。国に使えるならば爵位がないと問題なんだ」

 世知辛い説明だな。そう思った。

 その後、準男爵という更に上の地位があるがそこまではなんちゃって貴族。貴族(笑)という立場だそうだ。本格的に貴族を名乗れるのは男爵からだ。

 その後、子爵、伯爵となる。ちなみに伯爵の上に辺境伯という立場があるがあれは特殊な事例である。辺境伯はかなり王都から離れた場所でありかなり自由があり爵位は低いが実力は実はさらに上という形である。

 その後、侯爵の次が公爵だという。

 つまり王族以外の貴族の中で最上位が公爵だということだ。

「王族が国内で結婚。

 あるいは王族が王位を継がずに新しい貴族になる。

 そうなると公爵家という爵位が与えられる。

 つまり遠縁かはさておいて王族に連なる家柄だ。

 つまり王様の親戚だということだ」

「うわぁ」

 出てきた言葉にさすがにオレはやばいと判断した。

 これが日本ならば天皇の親戚だということだ。

 まあ。日本の場合は天皇はあくまで国の象徴であり政治などの決定権はない。それでもやることなすことなどに責務などがある。

 ついでに言うと定年退職もなく生涯という形だ。

 それでも嫁入りとか別に結婚とかいうのもあるというわけだ。

 けれども天皇の一族と婚姻を結ぶとなると当然、騒ぎになるというわけだ。

 そういったことをしている家柄ということだ。

「確かヴェンルッス家はヴァサタリア王国の現国王の従兄弟が当主をしているはずだ」

「つまりあいつは国王の従兄弟の息子だから……」

 ローイの言葉にどういう関係なのか考えるがちょっとすぐに出てこない。

 まあ。普通の一般家庭だと従兄弟の息子なんてさほど重要じゃないもんな。

 親戚という形でさほど重要じゃない。

 だが、それは一般庶民だ。王族などの血縁にものをいうような立場。それを考えると、

「すげー面倒だ」

 思わず頭を抱えてしまったのだった。


 つまり思った以上に地位と権力がある家柄出身者ということだ。

 それを考えると面倒という言葉で終わる。

「それでヴェンルッス家というのはどんな家なんだ?」

 そう尋ねたのはフィリだ。

「家柄が厄介というのはわかったが貴族が全てが全て問題があるというわけじゃない。地位と権力に見合う誇りがある家柄もある。

 だがそれと同時に義務があるんだよ。

 貴族が貴族というだけで尊ばれるわけじゃないんだ。

 王族は国を守る責務がある」

「あれが?」

 脳裏に浮かぶ聖王女様とやらを思い出してオレは思わずつぶやく。

「まあ。基本的な話だ。

 そりゃ問題がある連中というのはどうやってもいる。

 人間とはそういうもんだからな。

 武道家だってそうだ。

 ただ鍛錬を続ける者もいれば地位と権力に財力に魅入られるものもいる。

 多種多様といるのだから何とも言えない」

「まあ。理屈はわかるな」

 オレはフィリの言葉に同意する。

 オレの世界だって政治家の汚職事件。賄賂。そういった事件は多いし芸能人の麻薬やら浮気やらそういった騒動が醜聞として世に広まることは少なくない。

 けれどもすべての芸能人が麻薬をしているのではない。更に政治家の中には賄賂や汚職なんてしていないまっとうな政治家もいるのだ。

 貴族というのは遊んで暮らしているイメージをしているのもいるだろう。けれども実際のところは違うらしい。

「貴族というのは基本的に爵位を持つ。

 だから領地を管理するのが仕事だ。

 領地を持たない貴族もいるが基本として貴族の責務はある。

 家柄や地位を持つかわりにそれ相応のぶんがある。

 貴族が尊ばれるのはひとえに領民を骨の一かけら、血の一滴まで守るためだ。

 領地がないにしても貴族としてそういった責務を果たすべきなんだ」

 そうローイが言う。

「フルーに嫌味をいうのもその責務?」

 とがめるように言う薫。

 まあ。それに関してはいろいろと複雑といえる心境というか問題だろう。

 何しろフルーは世界を滅ぼしかねない存在だ。

 それを危険と考えて抹消するという考えも国のため。人のためだと言われたら反論ができないのもまた事実だ。

 オレは愚策だと思うがそういう考えを思いつくことは無理がないとしか言えない。

「そこは今は重要じゃない。

 とにかくだ。家の考え方を知りたい。

 正直、息子の可愛さにどんな無茶や無理難題。

 犯罪だろうがそれを平然とする。

 それも家柄が下の相手ならばそれを平然と道具扱いする。

 そんな相手だとしたらその家と全面戦争になりかねない」

 もちろん負けるつもりはない。

 そもそもオレは女として生涯を送るつもりはまったくない。

 オレは出来ることならば絶世の美女とは言わないが十人並の容姿をした気立ての良い欠点もあるが痘痕も靨と感じられるようなお嫁さんと結婚したいのだ。

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