十五話 聖女は立ち去れ呪いの魔女姫はいまだいるがそれがどうした?
お久しぶりです。更新です。
長かった聖女騒動も結末です。
あの騒動を魔法協会に連絡した。そのことなども手伝って王女様は変えることになった。呪いを解呪すると言っておきながら帰るのか。そんな文句が来るかと思ったがあまり来なかった。日本人の事なかれ主義。まあ。そんなもんだよな。
そんな考えが根付いている国民性が動いたのだろう。
あとは手近にあった呪いを悪化させたことがあるらしい。そんな噂が流れたのもあるのだろう。ついでに言えば呪いの解呪を受けた人たちもかなり文句があった。
そのことが呪い解呪に失敗という騒動を皮切りに評判になる。
日本人の安定した手の平返しの性質。
それも手伝い王女様は丁重にかつ問題なく立ち去られた。
呆れられていたのも手伝ったのだろう。
別れのパレードは寂しいものであり誰もいなく平凡な日常へと会った感じ。
それを見て王女様は絶句しているようすだった。
遠くから見ていた俺はただ唖然としている王女様を見ていた。
「今までにない価値観に衝撃を受けているんだろうな」
「と、言うかあんたたちの世界の住民の考え方ってよくわからないわ」
オレの言葉にアリスがそういえばうなずくローイ。
「あー。日本人って集団行動主義なところがあるからな。
可もなく不可もなくみんな同じで行動するというのがそういう考え方だ。
出る杭は打たれるなんてことわざがあるくらいだからな」
「どういう意味ですか?」
オレの言葉にフールが尋ねる。
「突出した才能を持つやつを敵視するんだよ。
アメリカ……俺達とは違う国なんだけれどな。そこだと頭が良かったら年齢は関係なくどんどんと上の学校に通えるんだよ。
まあ。そこまでの天才なんてそうそう出てこないんだけれどな。
けれど日本人と言うのはよく言えば全体の能力を上げる。悪く言えば平均を好むんだよ」
そう俺は言う。
異分子を嫌うともいうだろう。
日本人は基本的なレールを好む。幼稚園に通い小学校に通い中学へ進学。その後、高校を出て大学、あるいは専門学校に通う。そして就職が基本だ。
高校に通わずに仕事をするということでは大半の会社が受け入れを拒否する。それだけじゃなく高校を卒業していたとしても大学や専門学校に通っていない。
そんな人間を下に見て見下すやつも大勢いる。
みんな似たようなことをして似たような行動をとる。
そういった集団行動を美徳としているのだ。
まあ。難しい理屈を除けば、
「わかりやすく言うと流されやすいんだよ。
流れができたらみんなそちらへと行く。正確な情報は二の次」
「いや。情報は大切だろ」
「一般大衆なんてそんなもんさ。当事者だけが問題なんだよ」
俺はそういってため息をつく。
流行りだからと言って人気のアイドルやゲームを好む。
「高校とか中学の部活なんて最も良い例だぞ。その当時の人気漫画がどんな内容化によって部活の人気が影響が出る」
王子様みたいなやつがテニスをしていた時はテニスが人気だった。碁に憑かれた少年が才能を発揮していけば碁が人気になった。不良がバスケをやればバスケが人気。女子高生がお茶を飲めば軽音楽部が人気になる。それが国民性である。
「特に異世界の問題だ。
被害者にしてみたら正確な情報が必要。
けれど被害者じゃない他人事ならばその情報は面白いかどうかが重要だ」
「それでよいの?」
俺の言葉に咎めるように言うアリス。
耳が痛いが、
「そういう気質だからこそまだ暴動が起きていないんだよ。
それを油断しなかったらそれこそ呪われて異世界に来ていた。
それで暴動が起きかねなかったぞ」
その言葉に黙る。
「まあ。町が丸ごとということやなあなあで終わらせられる。そんな呪いのやつもいるからまだよいんだよ。それに下手につついて怒りを破裂させたら厄介だ」
俺達は呪われている被害者だ。
けれどもその被害者を守る法律も権利も俺たちに何もない。
俺達にはこの世界では守ってくれる国も権利も住民として数えられてもいない。
過去の経歴もなく常識もないのだ。
経緯がないことを考えればそれを否定できないのも事実だ。
「俺達はあくまで善意で行かされているんだよ。
万が一にでも呪われた俺たちが牙をむけば厄介。
けれどもいつ、だれが乱暴な手段を使うかはわからない」
現に何度かそういう騒動があった。
悪意か狂気かそれとも善意か?
どれにしても下手をすればこの街は滅んでいた。
けれどそれは今も話は変わらない。
俺達が存在しているのは辛うじての善意と義務感だ。
「戦争になったら間違いなく負けるのはこっちだからな」
異世界から来たのだ。
俺達を全滅させれば反発する国も遺族も誰もいない。
そういう意味では俺達の命はとても危ないのだ。
さながら崖っぷちの状態なのだ。
「まあ。平和ボケさせておいた方が良いさ。
日本人は怒るとなりふり構わなくなるから」
俺はそういう。
「どっちなんだ?」
「振れ幅が極端なんだよ。
何しろ日本がしていた戦争。
最終的には爆弾を抱えて自爆突貫するという作戦を本気で作って本気で実行したぐらいだからな」
「はぁ?」
「さすがに降参間際じゃなかったからしなかったけれどな。
けれど下手をしていたら最後の一人までそれをやっていたな。
何しろ一般人ですら捕まるぐらいならば爆弾を抱えて敵の前で自爆しろ。
そう教え込んでいたらしいからな」
もちろんそれを実行するのを嫌がったものも大勢いる。
とはいえ、そうやって死んだ日本人もたくさんいるという。
日本人というんは基本的に我慢強く打たれ強いと言われている。
けれどもその代わりに一度、やると決めたらとことん極める。
復讐の鬼となったら文字通り人間としての道を踏み外すだろう。
そのことを言えばアリスやローイにフルーにフィリは本気で引いた眼で見てきた。
その後、その国からは何にも言わなくなった。
「まあ。何もしないという保証はないわね」
そうため息交じりに言うのはアリスだ。
「断言したな」
「だってあたしがいるんだもの。
……正直な話、この街を出ていくべきかもしれないほどよ」
苦々しく言うアリスだが、
「そうでもないぞ」
俺はそういって帰ってきた自室でコーヒーを入れながら言う。
「どういうことだ?」
ローイがそう尋ねるので、
「アリスがいる。アリスには帰ってきてほしいというのがあの国の本音だろう。
だからあの国がこの街が滅びるような危険な真似はできない。
むしろこの街が丸ごと滅びるような危険な行動をする何かを見つけたら止めようとする。そうするだろうな。
まさか聖女ならば大丈夫とかそう思い込んでとんでもない爆弾をぶっ放したりはしない限り……。しないよな?」
思わず後半から自身が亡くなって尋ねてしまったが無理がないだろう。
「まあ。大丈夫と思いたいわね。
一応、今回のことで魔法協会の信用ができる役員が向かったわ。
そのせいかでそんなことをしようとしていたら止めに入るそうよ。
あの国は良くも悪くも思考が統一されている。
秘密裏とかそんなのはないわ。
隠し事をするのはやましいこと。やましいことは悪いこと。
だから堂々としておきましょう。
そう思っているのよ」
「サプライズパーティーというのを知らないのかね?」
つか、よく今まで大丈夫だったな。その国。
アリスの言葉に心底呆れかえる。
サプライズパーティーとして当日まで秘密にした誕生日。あるいはプロポーズ記念のパーティー。それで心の底からお祝いをして愉快になる。
秘密だけれどもそれは楽しい秘密だ。
それに、国をしているうえで秘密にするということはある。
つか、人生を円滑に生きるならば大なり小なり秘密を抱えるだろう。
かわいいものならばまだ幼い子供にサンタクロースはいないという秘密を言わない。そういうものだ。それに子供がサンタクロースにどんなプレゼントを要求したのか。
それもまた楽しい秘密といえるだろう。
けれどもそれもないのだろうか?
まあ。これらはよい。
けれど国家になると秘密にしておいた方が良いこともあるはずだ。
他国に知られれば厄介なことになるもの。反乱などが起きたときや他国からの侵略で王族が逃げるための隠し通路。
それらも堂々と語っているのだろうか?
本気で疑うが上げ足を取っているだけかもしれない。
それらを考えて俺は黙っておく。
「まあ。とにかく諜報員もいるしな。
むしろバラバラに行動するよりも一緒の方が大丈夫だろ」
アリスがいるなら街ごとフールを殺すようなことは出来ない。
そう思えばちょっといたデメリットだ。そう俺は肩をすくめて言ったのだった。
「しかし、これでまた街がにぎやかになるな。
良くも悪くも」
「どういうこと?」
俺の言葉に薫が首をかしげる。
「あの国が常にあんな感じならば普通に考えれば王女様はすべての呪いをどうにかする。そんなことをしていたと考えられるだろう。
けれど実際はしなかった。
その理由を調べるだろうな。
もしかしたら近いうちにこの街に大量の外からの住民がくるかもしれないな」
「もしかしてまた他国の王族とかが来るの?」
俺の言葉に薫が言うが、
「それはないだろ。曲がりなりにも王族。
そうそう簡単に来るのは普通はない。護衛とかも来るだろうが他国の王族が複数も小さな町に来た場合、厄介な騒動になる。
そうなればさすがに中立の魔法協会も止めるさ。
いや。むしろそうした場合の方が魔法協会としてはやりやすい。
こちらの失敗と都合でこの世界に呪いをかけてしまった人たち。その人たちに大量の大国の人が来ていらない騒動を起こす。
そうすれば彼らはこの世界に対してよくない印象を行う。
彼らに対して礼儀をわきまえないことはいけない。そう言えるからな。
まさか世界中の国々が仲良く手を取り合って仲良しこよしとは言わないだろ」
俺はそうつぶやく。
どんな世界だろうがすべての国が仲良く手を取り合っているわけがないのだ。国の規模や歴史や財力、土地などが緻密にかかわっていて友好的な国と敵対的な国。上の立場の国、下の立場の国。表向きは仲良しだが裏では引きずり落そうとしている国。
表向きは対等だが実際は属国のように扱われている国。そういった事情は俺の世界でもあった。日本だってアメリカに良いようにされているところがある。
沖縄なんぞただでさえ狭い範囲なのによい場所はアメリカの軍事基地。しかもそのアメリカの軍人が高頻度でトラブルを起こしているという始末だ。
近場の北朝鮮は拉致問題を引き起こし中国はサブカルチャーのアニメや漫画といった作品をパクリまくる。かといって日本は食糧自給をほぼほぼ他国に頼っているのも事実。
日本が自活できているのなんでアニメや漫画といった娯楽作品だけだろう。娯楽作品は国土が狭いうえに資源が少ない日本でも無尽蔵に湧き出てくる貴重な資産である。
……話がずれた。
「まあな。戦こそ起きていないがいつ、戦が起きてもおかしくない国というのはある。小競り合い程度ならば珍しくない国もある。
だからこそどこの国も重宝に……ああ。なるほど」
俺のころ場にローイが気づいたようだ。
それは良いことだ。
「おそらく他国の諜報員が単なる旅人や行商人のふりをしてどんどんと来るだろうな。
まあ。ふりをしているおはいえ商売はきちんとしてくれるだろう。
それに実害がなければ勝手にしてくれればよい。
むしろそれで問題を勝手に解決してくれるならば文句はないんだよ」
むしろ諜報員ならば目立たないことが第一条件だ。ただ、問題なのは、
「アリスの存在とフルーだな。
フルーをどうにかしようとする諜報員がいないとは言えないのが問題だ」
俺はそうため息をつきながら言う。
まったくもって厄介な問題が沸き上がってくる。
呪われているのだろうか? そう考えたが冷静になれば元から呪われていたのだった。




