↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
町ごと召喚で呪われ 呪われて美少女になった俺は高校生男子です  作者: 茶山 紅
第八の呪い 呪いだらけの呪われた日常はいつも通りに呪われている
PR
68/106

第二話 呪いよりも迷惑な性格をしている兄


「まあ、その兄の妄想で俺は迷惑がかかっているんです。

 この姿、どうにかなりませんかね」

「えっと……あなたの呪いではないんですよね」

「はい。おそらくです。

 俺の呪いは、味覚の異常だと思います」

「味覚の異常?」

 隆司さんの言葉に俺は聞き返す。

「はい。砂糖をなめたら苦く感じたんです。で、コーヒーをブラックで飲んだらすっぱかったです。で、酢をなめたらからかったんです。七味をなめたら甘かったんです」

 うーむ。それは、それは……。

「また、大変ですね」

 つまり、コーヒーに砂糖を入れたら酸っぱくって苦い。酢の物を食べたら辛い。カレーを食べたら甘い。うーん。地味な嫌がらせだな。と、あきれる。

「いや、実害はそれほどに重要じゃないから……。

 この呪いの方が問題なので」

 食事というのは人生で大切な重要な部分だろう。

 それよりも、問題なのか……。

「そうですね。自分ではなく他者の姿を変える。と、いう呪いはたしかにありますね。

 けれど、その場合はなにかしらの接点があるはずなんです。

 とにかく、家の近くに行きましょう。

 この場合、お兄さんの呪いの可能性があります」

「どうか、お願いします」

 その言葉で俺たちは、隆司さんの家へと向かう。

 隆司さんの家は小さな一軒家だった。

「立派なおうちですね」

 と、俺はつぶやく。

 わりとかなりでかい家である。

 俺の家も庭付き一戸建てと最近の住宅事情から考えると豊かな家なのだが、ここはかなりでかいおうちだ。それを、考えると随分と大きい。

「いやー。

 父が金持ちでしてね。

 そのせいで、兄貴はあんな感じで」

 と、隆司さんは言う。

「あんな感じもなにも知らないんですけれど」

 と、ローイが言う。

「……見ればわかります」

 そういうとドアを開ける。

「ただいま帰りましたわ。ご主人さまにゃん」

 と、いう言葉が隆司さんの口から飛び出る。

『『…………』』

 沈黙が周囲を支配する。

「すみません。家に入るとどうも行動まで影響が出るんですにゃん」

 と、いう言葉が出る。

 語尾も呪いの影響なのか……。

「スルーしてほしいですにゃん。お客様」

「わかった。わかった」

 涙が出てきそうな気分だ。と、俺は目頭を押さえながら言ったのだった。


 思わず熱くなる目頭。

 俺も俺で苦労しているが、隆司さんも隆司さんで苦労しているようだ。

「風呂に入るときなんか……。

 まだ、恋人もいないのににゃん」

「気持ちはわかります。俺だって恋人ができたことがないのに……野郎からラブレターを山のようにもらうんですよ。

 恋人を奪われたと逆上した女性から包丁を突きつけられたこともあるし」

「うう。君も苦労しているんだニャ。

 お客様。慰めてあげるにゃん」

「いや、その慰めはいらない。と、いうかこの家を出て、腹を割って話したいね」

 ひょっとしたら、世代とか年齢とかを超えて友情が生まれるかもしれない。

 そう思っていると、

「みーちゃん。どこに行っていたんだよ」

 と、現れてきたその男。

 その男を見た瞬間、

「どりゃああああ!」

 フィリの懇親の右ストレートが顔面に命中した。

「ひでぶ!」

 と、吹っ飛び漫画みたいにきりもみ回転をしながら吹っ飛んでいく男。

 そのまま、壁に激突する。

 まるで漫画で主人公の拳を食らって吹っ飛ぶザコ連中みたいだった。

「へー。異世界でもオークっているのね」

「うう。オレ、オークって嫌いなんだ。

 生理的に受け付けられん」

「いや、あれ、人間のはずだろ。

 ……一応」

 アリスとフィリの言葉に俺はそうツッコミを入れる。

 とはいえ、衝動的に殴ったのは気持ちはわからないではない。

 まず太っている。ぶっとりとした体重はおそらく平均男性の二倍近くはあるだろう。でっぷりと太っており身に着けている服。……アニメキャラクターがプリントされている服はあまりにも太っているので、原形をとどめていないほど伸びている。

 汗をたっぷりと書いており、ほのかに汗臭い。不衛生とでもいうべきか、あまり清潔にしていない。人というよりも豚と表現したくなるような醜さがある。

 余談だが、オークとは豚の魔獣らしい。人間に近い外見をしているが、性欲と食欲と睡眠欲という三大欲求に直結しており理性はない。

 そのために、欲情すれば相手の種族、性別、年齢問わずに襲い掛かる。そして、腹が減れば相手が生きていようが、自分が先ほどまでそういうことをしていた相手だろうが食べる。そして、満足すればねる。と、いうはた迷惑な害獣らしい。

 まだ、ゲームや漫画で出てくるオークのほうが知性があるような気がする。

「で、あれはなんですか?」

 と、フルーが訪ねる。

「一応、私のお兄ちゃんだニャん」

「ええ? タカシはオーク族だったのか?

 異世界のオーク族は知性があるんだな」

「いや、あれが人間。一応、人間。

 同じ人間として、人間と認めたくないけれど……。

 生物学上では俺たちの世界では一応、人類」

 ローイの発言に俺はツッコミを入れる。

 ぼろくそにけなされている中、隆司さんの兄はいまだに気絶していた。


「まあ、部屋を見たらどんな兄なのか理解できたよ」

 と、俺はため息交じりに言う。

 倒れていた隆司さんの兄。本名、加賀野総司さんの部屋。

 そこは、美少女アニメのフィギュアにポスター、アニメグッズ、それらが所せましと置いてある。まあ、それは個人の自由といえば自由なのだろうが……。

 その中には、どう考えても正規の商品ではない二次創作。と、思われるきわどいものもある。異様に胸元やら尻を強調して裸当然の服装を着ていたりする。

「お兄ちゃんは五年前に大学受験に失敗してからしてからずっとアニメを見ているんだよ。

 学校にもいかないで、ネットとかで好きなアニメを見ているんだよ。

 けれど、たまにアニメの品を購入したりするにゃん」

「大体、わかった」

 わかりやすいな。と、俺はあきれる。

 おそらく絵にかいたようなオタクの引きこもりニートなんだろう。

「あの、だいがくじゅけんとは何ですか?」

「あー」

 フルーの質問に俺は考える。

「俺たちの世界では、まず九年間は老若男女問わずに経歴も問わずに学校に通うことができる。と、いうか国が学校に通うように! と、いう義務を与えている」

 ちなみに勘違いされているが、この義務は子供の義務ではない。保護者である大人の義務となっている。断じて、子供の義務ではないのだ。

 とにかく、その九年間の義務教育を行うと次に高校進学というのが出てくる。

「で、その義務教育を終えると高等な知識をえるための学校に行く。

 ただし、そこには学力を調べることになる。頭が良ければ、頭がよい人用の高校へと進学するんだ。基本的には、同じようなことを並ぶが試験内容が難しければ、教えるところは難しいことを教える。また、専門知識に特化している学校もあるな。

 俺が通っているのもその高校だ」

「わざわざ、試験をして学ぶのか?」

 と、フィリがあきれたように言う。

「まあな。いろいろと、あるんだよ。薫みたいに女子しか通えない学校。あるいは、男子しか通えない学校と、それぞれに特色がある。で、その高校を卒業して就職する人間もいるが、大学や専門学校へと進学するやつもいる。

 専門学校というのは、専門分野に特化し学校だ。例えば、服職人とかになるためには、お前たちの世界じゃ弟子入りするだろ。けれど、俺たちの世界じゃ弟子入りを認める職人とかも少ない。だから、基礎知識を教えたりするための修行用の場所があるんだよ」

 この世界でも理解されるように、俺は服職人というので例える。実際のところ、服職人だけではなく声優や小説家、あるいは料理人や菓子職人。専門分野で学ぶ学校というのがある。まあ、総じて技術を学ぶというか一つの職業に特化し学校だ。

「で、大学というのは知識を学ぶやつだな。

 学者とか研究者が教えたりして専門分野を知識として蓄えるところだ。まあ、大学に通ってかならず学者になるわけじゃないけれどな。医者といった資格が必要な仕事になるのにも、大学を通っているのが条件だったりする。

 で、大学に入学するための試験は高校進学よりも難しい」

 まあ、俺は大学受験をまだしたことがない。

 とはいえ、高校受験と違い大学受験は難易度が高いということぐらいはわかる。

「で、その大学受験で失敗して挫折。

 その結果、家の自分の部屋に入って現実を見なくなることがあるんだよ」

 おそらくその結果だろう。

「で、部屋にこもってろくに動かずに食べまくっていたから……」

 あれだけ太ったのだろう。と、俺はため息をついた。とはいえ、これは重症だ。


 昔の写真を見せてもらったが、真っ当そうだ。

 とはいえ、こうなったのは大学受験を失敗した三年前だそうだ。

 つまり、呪いとは関係がない。

「言っておきますが、俺たちは呪いをとくことはできますが、それ以外のことはどうしようもありませんからね」

「解ってますニャ。文句は言いませんニャン」

 と、悲しくなるような語尾で媚びるように言う隆司さん。

「そういえば、ご両親は?」

「親戚の法事にいっていましたにゃん。

 帰ってきていたら、びっくりしていただろうにゃん」

「そりゃ、また」

 まあ、親戚の法事といっても親戚の度合いで行く人数が変わるからな。と、俺は思いながらその顔も知らない隆司さんのご両親の心境を思う。

 法事から帰ってきたら、住んでいた家が街ごと消滅しているのだ。

 かわいい(?)息子が二人も行方不明になるのだ。おそらく、あちらでは死んだものと扱われているかもしれない。

「とにかく、呪いを完全に説くこともできない可能性もあります。

 あくまで呪いを弱めるしかないんです。

 呪いの大本をどうにかしたいんですが、この呪いは複雑というか……。

 町全体にあるので」

 と、俺は外を見る。

 外では、下半身がナメクジになった子供と顔が蛙になった子供と上半身が蛇になった子供が遊んでいる。三すくみの友情である。

 それぞれ、大なり小なり人は呪われているのだ。

 とはいえ、呪いが本格的に困っている人は少ない。

 それぞれが、最初は戸惑ったが自力での対応をしている。

 困っているのが自分だけではない。と、いうこともあるのだろう。

 とはいえ、フルーによると徐々に呪いが悪化していくはずだそうだ。

「とにかく、呪いを緩和するにも誰が呪われているかを知るべきです」

 と、フルーが言う。

 そこに、

「そんなあなたに、ついにアリスちゃんの力が発見よ!」

 と、物珍しそうにアニメキャラクターグッズを見ていたアリスが口を開いた。

「なんだ?」

「ふふふ。ヨシキの仮面はいろいろと細工をしたのよ。

 その中に、呪いによる魔力を色で認識することができるのよ」

 と、言った。

「魔力を色で認識?」

「はい。その人にかけられている呪いと同じ呪いならその色は繋がって見えるのよ」

「ようするに、見えない魔力が色付きで見えるということか?」

 と、アリスの言葉にしばらく考えて俺は言う。

 よく聞くオーラとかそういうのかもしれない。そう思いながら、それの始動の仕方をきき、始動させる。その瞬間に世界が変わった。

「なんか、占い師のオーラがどうのこうのといっているけれどさ。

 本当に見えていたら、こんな世界なんだろうな」

 と、俺はつぶやいた。

 よく占い師(当人たちは否定するかもしれない)が、私は人のオーラが見えるのです。と、いうのだが、そんな感じだった。それぞれに、半透明のような靄のようなものが周囲を漂わせていたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。