表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴメラ VS モンスターバスター  作者: はなぶさ 源ちゃん
第2部 モンスターバスター VS 最凶竜
51/140

3 再戦

 「はい、これ使ってね♪」

 ルーリーくんがアルさんから手袋を渡されて、きょとんとしている。

 「それを手にはめたらエネルギー剣の威力が大幅アップするわよ♪」


 喜んで苦労しながら手袋をはめたルーリーくんは早速エネルギー剣を出現させる。

 効果あり!三徳包丁から一気にシェフの牛刀サイズ(約五割増し)に大きく増えた。

 少年はこうして日々成長するのだね…。自分で言ってて少々悲しくなるが、相変わらず実戦では使い物になりそうにない…。本人は喜んでいるので、温かい目で見守りながら『応援団に徹してもらおう』と心に決めた。

 しかし、ここで『自信満々』になってしまったルーリーくんがまさかあんな行動を取るとは本当に想定範囲外だった。



 昼ごはんの支度を始めようとして、ルーリーくんの姿が見えなくなっているのに気付いた。嫌な予感がして、『こっそり』取り付けていた発信機を見ると海岸に向かって高速で動いているではないか??

 ばかな!ルーリーくんがこんなに高速で動けるわけがない!とにかくすぐに発信機の後を追うためにちょうど到着したばかりのこうちゃんに助けを求めた。

 最大時速五〇〇キロの『スーパーリムジン』を光ちゃんに運転してもらって、念のためにちーちゃんと一緒に乗り込んで、で後を追いかけた。




 数十キロ離れた海岸に到着すると、背中から真っ白い蝙蝠のような翼を生やしたルーリーくんが長さ30センチ程度のエネルギーソードを持って、膝をついていた。

 高速移動はどうやら空を飛んだらしい。少しずつ力を取り戻しているようだ。

 そして、ルーリーくんはあちこち傷だらけになって、粗く息をしている。

 その目の前には全長10メートルを超す黒い巨竜が背中の翼を羽ばたかせながら、勝ち誇っていた。体格といい、オーラの強烈さといい、先日の従属竜の本体のようだ。

 はっきりとは聞こえないが、ルーリーくんのことをあざ笑っているようだ。

 非常にむかつくので、背中の魔法のリュックにしまってあった、アダマントの下駄を投げつける!

 お!見事に顔面に命中!!

 あのデカブツは扱うエネルギーはでかいけど、ニブチンだなあ。

 怒り狂う目でこちらを見てくれたので、作戦通り、ルーリーくんから注意を反らしてくれた。本当に扱いやすいわ。



 「小娘が!!また邪魔をしやがって!!今度は貴様も八つ裂きに…。」

 私の姿が見えなくなって、きょろきょろしている。どうみても話が通じる相手ではないが、さて、どうしようか…。


 「愚かなり!!」

 シードラゴンスーツに着替え終わって、海岸沿いの松の木の上から黒竜に向かって指差す!

 「その(ほう)、二度にもわたって、小さき竜をいたぶり、(なぶり)り殺しにせんとする姿勢、許し難し!!シードラゴンマスク!ただいま推参!!」

 あっけにとられている黒竜に向けて私は言い放つ。

 「あなたでは私に万が一にも勝ち目はないわ。とっとと尻尾を巻いて退散しなさい!」



 ルーリーくんがあっけにとられてるようなんで、わいはそっと引き寄せる。

千早はんは神那岐の太刀を腰に下げて、いつでも居合切りに入れる体制や。

 「…やみくもに突っこむのはただの蛮勇や。行くときと引き時は冷静に見極めなあかん。」

 「…あの竜、姉ちゃんと同じくらい強いエネルギーを持ってる!姉ちゃん大丈夫なの?」

 ルーリーくんが心配そうに言うとるんで、丁寧に答える。


 「大丈夫や。あの竜はどうみても『素人の動き』をしとる。戦闘センスが抜群で歴戦の強者の瀬利亜はんとでは全然勝負にならへん。

 千早はんもよう見ときや!わいらの位置まで計算に入れて、相手の動きを見ながら流れをつかむうまさはものごっつ参考になるで!

 ちなみに、あれくらいの相手なら今の千早はん一人で十分退治できそうやな。」

 わての言葉に二人はかたずを飲んで、セリアはんと黒竜の戦いを見やっとる。




 気の流れから見て、炎を吐きそうだったので、軽くステップを踏んで躱し、相手の懐に入り込む。

 「シードラゴン・エルボー!!」

 要は肘鉄なのだが、冒頭にシードラゴンを付けると『気持ち威力がアップするような気がする』のだ。時々、漫画やアニメを見て、技名をパク……もとい、新技の参考にならないかと見ている。

 私の左肘鉄を食らって、黒竜はもんどりうって倒れ込む。こいつ、図体はでかいけど、全然戦いなれていないうえに、心身ともに思ったよりひ弱だ。


 とっとと、降参させて「闇の皇帝竜の居場所や状態」を聞きだしにかかってよさそうだ。

 黒竜がそれでも、何とか立ち上がって襲い掛かってきたので、カウンターをくらわすことにする。

 「シードラゴン・ドリルスクリューパンチ!!!」

 ドリルとスクリューはダブるようだが、なんだか『威力が上がるような気がする』ので、そのままの技名で右スクリューパンチを顔面に叩き込む。

 黒竜は頭を半分砂浜にうずめんばかりに突っこんで、気絶!…までは行かないか…。

 しかし、頭がもうろうとしながら完全に戦意を喪失している。

 降伏勧告が効けばいいんだが…。と思いつつ、歩を進めようとした時、沖合から凍るような視線を感じる!!


 これは、ヤバイ!こいつは何者だ??!!

 今までで最大の危険信号が私の全身を逆立てた。




 「すまんな、ドクター。ダクーガを『回収』してくる。」

 俺は背中に黒い翼を広げると、ドクターに伝えた。

 まったく、竜の血族はプライドばかり高くて厄介なことだ。

 様子がおかしいと思って水晶球で追尾したら予想通り日本へ向かっていた。

 あのちび竜とそして、シードラゴンマスクとやりあうつもりらしい。

 分身体が一撃でのされたことから何も学んでいないらしい。

 しかも、立て続けの命令違反だ。

 一番情報を漏らしてはいけないような相手にわざわざ喧嘩を売りに行こうとするとはまともな情報判断もできていない。

 開戦前ならとっとと連れ戻して謹慎くらいで済ませてもいいが、万が一負けるようであれば、余分な情報を漏らさないうちに即始末した方がよさそうだ。



 半竜形態は魔法で風よけをすることもあり、思ったよりも移動速度が速い。おかげでダクーガが戦い始めるのを何とか見ることが出来た。

 弱い、弱すぎる!…いや、シードラゴンマスクが異常に強いのか?!

 身体操作の巧さはダクーガとは…いや、我が帝国にもあそこまで見事な動きをする者は見たことがない!

 それにしても、あの流れるような銀色の髪は……。

 魅入られるように私は戦いの現場に近づいて行った。



 背中から漆黒の翼を生やした男が音もなく滑空しながらこちらに近づいてくる。

 気配から察するに『闇の皇帝竜の化身』のはずだが、やつの冷徹な視線はあきらかにあの男が「そんなものではない」ことを告げている。


 狂気と憎しみ・悲しみに心を埋め尽くされた『破壊の化身・闇の皇帝竜』は目につくものを口から吐く炎で焼き尽くし、また、羽から生み出される魔力のこもった竜巻は地上を廃墟と変えていったそうだ。

 あの男の目は狂気になど囚われてはいない!あくまで冷静に私を値踏みしている。それでは、あの男は一体!?



 「みんな聞いて!!」


 視界の隅で黒竜が「あの男から逃げていく」のが目に入ったが、そんなことを気にしている場合ではない。

 速やかに最優先の行動を取らねばなるまい。

 なにしろ、あの男は明らかに『私を目指して飛んできている』のだから!!


 「光ちゃん!特によく聞いて!『全員、一秒でも早く撤退!!』

 殿(しんがり)は私が努めるから、一秒でも早く私以外の全員をリムジンで退避させて!!

 この場に残ったら『一〇〇%間違いなく、私たちは全滅』するわ!!」 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ