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ゴメラ VS モンスターバスター  作者: はなぶさ 源ちゃん
第2部 モンスターバスター VS 最凶竜
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50/140

2 勢ぞろい

※ 瀬利亜「本日は作者の手が滑って?番外編も更新しています♪」

「ただいま、帰りました~♪」

ちーちゃんこと神那岐千早が石川邸に戻るなり、私に向かって飛び込んできた。

最近ちーちゃんの『愛情表現』が増えてきているような気がする。

 今まで近くに母親もおらず、兄弟や友達らしい友達もいなかったのだから、甘えられる相手もいなかったのだろう。

 そんなわけで、「例の事件」で母親である水音さんが月の半分は実家である神社暮らしになったことはいろんな意味で歓迎すべきことだった。

 あの「グータラで手のかかる父親(水音さんにとっては旦那)」が生活態度を改めてくれることで、ちーちゃんがものすごく安心したのが手に取るように分かったのだ。


 「その子がルーリーくんですね♪」

目をきらきらさせながらちーちゃんがルーリーくんに近づいて行く。

「光の皇帝竜の化身」ルーリーくんは見た目は一〇歳くらいの金髪碧眼の少年だ。ちーちゃんは一四歳だから外見年齢はかなり上だが、小柄なので、身長が同じくらいだ。


「ルーリーくん、よろしくおねがいします。」

ニコニコしながらちーちゃんが差し出した右手をルーリーくんはフンと言った感じで払いのけた。

 ルーリーくん、なにしてんの!あ、ちーちゃんが反泣き顔になってる!


「二人とも何してるの…。」

呆れ顔で私は近づいて行く。

「なんだよ!『対魔神剣・神那岐の太刀』の使い手と言うからどんなスゴイ奴が来るかと思ったらただのちびっこじゃないか!!」


「光のエネルギー剣」と「神那岐の太刀」の威力の話をしたので、すねているのは間違いない。こういう時には…。


「うわー、ルーリーくん、女の子を泣かすんだ?『人々の守り手・光の皇帝竜の化身』がそんな意地悪をするんだ??」

 意地悪気にルーリーくんを見ると、あっという間にルーリーくんの顔色が赤くなった。

「わ、悪かったよ!」

きまり悪げにちーちゃんに向かうとぺこぺこ頭を下げた。


おそらく光の皇帝竜が完全に消滅したので、心も体も完全にゼロからやり直しになったのだろう。今のルーリーくんは善良ではあるが、見た目通りの子供だ。無理はさせられないだろう。


ちーちゃんは、謝られたらすぐに機嫌を直してニコニコしながらルーリーくんと握手をしていた。性格が素朴・素直で優しいので、住んでいた村では今までいじめられた経験が皆無に近いようだ。戦闘には抜群に強いが、メンタル面の訓練をきちんと考えた方がよさそうだ。


「あらあ、二人とも仲良くなったのね♪」

打ち合わせの済んだ水音さんがアルさんと並んで二人のいる中庭にやってきた。うーむ、大人の女性の魅力というのは侮れない。巫女姿のスレンダー美女(実際に巫女だが)とゆったりとした服装に魔女帽子をかぶった豊満美女(実際に魔女)を見て、ルーリーくんが少し赤くなってもじもじしている。

光の皇帝竜の化身でも人間の形を取っているときれいな女性には魅かれるものなのだというのはなかなか興味深い。


「では、実験をしてみましょう。まず、ルーリーくんおねがいね♡」

アルさんに微笑まれて、顔を赤らめながらルーリーくんが張り切って光のエネルギーソードを出す。おお!かなり大きくなった!!

昨日が彫刻刀サイズだったが、今日は……三徳包丁サイズだ!!

ちーちゃんと激闘を繰り広げた強者怪人「ブレイド・デス」はアーミーナイフで神那岐の太刀と渡り合っていたから、このサイズなら何とかなるかもしれない!!

……使い手が達人クラスであればだが……。

もちろんルーリーくんの場合は少なくとも闇の皇帝竜に対しては『問題外』であるのは間違いないが…。あと、『一年位徹底的に鍛えれば』剣も腕もそれなりに使いものなる可能性はありそうだという感じだろうか。


「では、次はちーちゃんね。従属竜のエネルギーから推定される『闇の皇帝竜のエネルギー』に神那岐の太刀を反応させてみてね。」

アルさんが空中に闇の皇帝竜のぼんやりしたシルエットを浮かび上がらせた。

細かいシルエットははっきりしないが、闇のエネルギーの強さははっきりと感じられる。

アルさん以外のその場にいた全員の顔が真っ青になったくらいだ。

真剣な顔でちーちゃんが刀を鞘から抜くと、神那岐の太刀は真っ白い光を放ちながら刀身を大きく伸ばしていった。太陽よりまぶしいくらいの輝きを見せながら、神那岐の太刀は刀身だけで五メートルくらいの長さになった。


…すみません、私、こんなもので斬りつけられたら、あっという間に三枚に下ろされてしまいます。神那岐の太刀の威力は使い手の技量・霊力に大きく依存することからちーちゃんの成長がすさまじいことはわかり、それはいいのだが…。

同時に相手の「闇の力の大きさに比例」して剣の破壊力が桁違いに大きくなるのだ。つまり、「闇の皇帝竜の力の大きさ」はこの剣の反応から見て今までやりあったどの怪物(『地球ロボ』も含めて)よりも大きいことを示していた。




「どうした、ダクーガ。怪我でもしたのか?」

偵察に行っていたはずの従属竜が予定より早く戻ってきたうえ、状態が悪そうなのを見てレジウスは声を掛けた。

「いえ、分身体がやられただけです。少し休めば調子が戻ります。」

「おいおい、『光の皇帝竜の化身』は放っておいてもいいと言ったはずだぞ。天敵を仕留めたい気持ちはわからないでもないが、『新たな星舟』が動き出せば我らに敵は存在しなくなる。そもそも、全盛期の化身ならまだしも「回復途上の化身」は私自身にとっても全く脅威にはならない。変なリスクを負わずに休んだら、本来の任務に戻れ。」

苦笑しながらレジウスが言うと、従属竜の化身・ダクーガは首を振った。


「仕留める寸前だったところを別の奴に不意を突かれたのです!しかも、声からすると若い女です!奴は絶対に許せません!!」

「『声からすると女?』一体何があったのだね?」

レジウスが興味深そうに言い、タブレットでいろいろ調整していたドクターも聞き耳を立てる。

「金属製の武器で頭を殴りつけた上で、そのまま俺の頭を叩き潰したのです!」

「ほお、分身とは言え、お前さんの頭を叩き潰すとはどんな相手だ。ちょっと『見せてもらって』構わないか?」

レジウスがダクーガに魔術をかけると、ダクーガの視覚と聴覚が捉えた映像と音声が再現される。


「シードラゴン・アダマントキック!!」 

グシャ!!

(これは足に履く武器でダクーガの頭に蹴りつけた後、そのまま頭を潰したわけか…。)

レジウスが敵の戦いぶりに感心しているとドクターが危うくタブレットを取り落としそうになりながら叫んだ!!


「シードラゴンマスク!!いきなり邪魔してきおったのか?!」

「ドクター、知っているのか?」

「はい、私が以前所属していた組織を潰した敵対組織の最強メンバーの一人で私の宿敵です!!奴はなんとしても倒さねばなりません!!!」

「落ち着けドクター。お前さんの提供してくれた技術のおかげで、『星舟』はさらに攻撃力・防御力共に大きくアップした。あれを動かせば余計な相手と戦わなくても『世界を取り戻す』ことは十分可能だ。強敵ならかえって相手にしない方がいい。少なくともいまの段階ではな。

それより、『星舟』の調整を急ごう。」

「わかりました。レジウス様。」

ドクターはしぶしぶうなずいた。


「しかし、レジウスさま。先ほどからずっと作業されてますが、お疲れではないですか?」

助手ロボット・ミーナがお茶を用意して現れた。

「畑は違うが、もともとはドクターと同じ技術職だからな。何時間取り扱っても疲れなどはしない。『竜の力』で体力も大幅に強化してあることだしな。」

「わかりました。お茶が済んだらとっとと再開しますか。」

ドクターも機嫌を直して、お茶を飲み始めた。


しかし、談笑するレジウス、ドクター、ミーナをよそにダクーガだけはあらぬ方向を昏い瞳で睨みつけていた。




「どうしたの?ルーリーくん、食べないの?」

お茶の時間になってみんなが中庭でクッキーとお茶を楽しむ中、ぶすっとうつむいているルーリーに遥ちゃんが声を掛けた。

「…だって、再生されてから必死にやろうとしたのに、僕なんか全然足手まといみたいなんだもん…。」

悔しそうなルーリーの言葉に遥ちゃんは少し考えた後、にっこりと笑った。

「でもね、こうしてルーリーくんが来てくれなかったら私たちはとんでもない危機が近づいていることにすら気づかなかったわけじゃない。それだけでもルーリーくんが来てくれた意味は十分あるわよ。それに、戦うことだけができることではないから。そこもゆっくり考えてみて。」

遥ちゃんが優しく語ってくれたおかげでルーリーくんの表情が少し優しくなった。

あの気遣いは正直すごいと思うな。

「勢いはスゴイ」とか、「かなり荒っぽいけど何とかまとめる」とかいろいろ言われる私は遥ちゃんの気遣いからもっともっとたくさん学ばないといけないと感じる。


「何、その子?お客さん?!」

不意にルーリーくんの後ろに長身の赤髪の女性が姿を現す。旅に出ていたはずの異世界の勇者・バネッサ・日下部・オブライエンだ。


「あれ、バネちゃん、もう帰ったの??」

「あの『セクハラ勇者』にはもう我慢ならん!!勇者ならではの視点は確かにすごく参考になるけど、人のお尻をなんだと思っていやがる!!!」

私の言葉にバネちゃんは憤懣やるかたないとぷりぷりしていた。

ある程度は「セクハラあり」と予想はしていたものの基本鷹揚で我慢強いバネちゃんがここまで怒るというのは相当なものだ。アルさんにもきちんと説明して、二人で『勇者対策』を立てねばなるまい。


「そうか、お前さん竜の化身なんだ。カッコいいなあ!!」

バネちゃんはすぐにルーリーくんが気に入ったようだ。そして、気が付くと剣の特訓をするという話になっている。バネちゃんは子供、特に男の子とすぐに仲良くなるなあ。

この辺は私と『似たもの同士』なのかもしれない。


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