異世界勇者召喚と悪役令嬢 1
『伝説のボン・ダンス』をなんとか完成させ、
チハーヤは何とかセリアと同点で決勝を迎えた。
それを見て、さすがのセリアも認識を改める。
「よろしい、あなたを私のライバルと認めましょう!!」
最初にステージに入った、セリアは得意の三回転半にダブルルッソ、最後はビールマンスピンで華麗に決めてくる。
技術点、表現点ともに大会新記録を記録するセリアにチハーヤは動揺を隠せない。
「守りに入っていては私にはとても勝てないわよ!あなたのすべてをぶつけていらっしゃい!」
チハーヤは女性陣初の四回転ジャンプに成功することはできるか?!そしてイナバウアーを採り入れつつも(笑)、アルテアの助言でさらに水芸を採り入れようとするチハーヤ!
『東洋のおもてなしの心』が今、炸裂する!!
(※ この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件・「ド〇〇〇ん」とは一切無関係です。)
「ふー、もうずいぶん寒くなってきたわね。」
寮の自室の扉を開けた途端、不思議なものが目に入ってきた。
背の低いテーブルの下、足の部分を布団?が取り囲み、布団の部分にチハーヤちゃんとトラミちゃんがひざから下を入れて、正座の体勢で、座っているのだ。
二人ともぽやーっとした雰囲気で実に気持ちよさそうである。
なぜか、テーブルの上にはニホン製のかごが置いてあり、中にはニホン産と思しきオレンジ通称「ミカン」が入っている。
「セリアさん、おかえりなさーい♪」
「セリアさん、おかえりにゃー♪」
二人とも嬉しそうに声を上げてはくれるのだが、体をピクリとも動かさない。
私の中に「危険信号」が走った。この「謎の物体」が非常に危険なものであると私の『深い記憶』が囁いている。
なにより、二人の態度がその危険さを充分に示していた。
タバコや麻薬同様、一見したところ危険はないが、その危険が明らかになった時には手遅れになるという性質だと、私の直観が囁いている。
「セリアさん、一緒に入りましょうよ。あったかいですよ♪」
「一緒に入るにゃ♪そしてミカンを食べるにゃ♪」
二人から非常に危険な誘惑の声がする。なんということだ!!
彼女たちはすでにこの「謎の物体に完全に取り込まれて」しまっているようだ!
これはヤバイ!「この物体の実態を見極めて」彼女たちを救わねば!!
一〇分後当然のように謎の物体「コタツ」に取り込まれている私がいた。(笑)
恐るべし!コタツ!ああ、気持ちいいわあ♪
そして、まもなく三人ともけだるい暖かさの中、ゆっくりと眠りに落ちていった。
周囲の喧騒に最初に目を覚ましたのは私であった。
????? ここはどこかの王宮の間だろうか?
少し先の玉座と思しき所に王様らしき人が座っており、その隣の席の女性は王妃様のようだ。周りに重臣らしき人達も何名かおり、私たちを遠巻きにして、騎士らしき人達や魔法使いや神官と思しき人達もいる。
みんなそろって、私たちを驚くような不思議なものを見るような視線で見ているのが印象的だ。…変な夢だなあ……いやいや、この感じる視線は絶対現実だから!!
私ががばっと立ち上がると同時に、王様らしき人が大声を上げる。
「異世界から勇者を呼び出すはずではなかったのか?!単なる小娘を三人呼び出すとは完全な失敗ではないか!!」
なんだかくそ偉そうな王様が悪態をついている。
その声に真っ先に反応したのは私と同じくらいの年齢の魔法使い風の女性だ。おどおどした感じの顔がさらに真っ青に変わった。
「…ぎ、儀式自体は間違っていないはずなのですが…。」
完全に半泣きになりながらなんとか説明しようとしている。
なんとなく状況は見えてきたが、さてどうしたものか…。とりあえず、話をしようとした時、妙な気配がして、轟音ともに王宮の壁が破られた。
「弱小王国軍は我らに負け続けて、ついに異世界からの勇者に頼るまでに落ちぶれたか!情けないものよの!」
高さ五メートルくらいの六本腕の漆黒の魔道人形と、その左肩の上に黒ローブの女性が乗っていた。ゴーレムは金属質らしく、さらに六本の腕それぞれに剣や槍などを構えている。
とっさに近寄ってきた騎士たちを蹴散らかすと、こともあろうにようやく目を覚ました、チハーヤちゃんやトラミちゃんの方に向かってきた!
「はっはっは!私は魔王七将軍の一人、ゴーレムマスターシャイアだ!まずはお前さん方の切り札の勇者とやらを粉砕してやるわ!」
「シードラゴン・かかと落し!!」
モンスターバスターとしての正装に着替える暇がないので、宙に舞いあがると、気を込めてゴーレムの頭にそのまま右足でかかと落しを叩き込む。
ゴーレムは轟音と共に頭から肩まで床にめり込んで機能停止した。
続いて、シャイアとかを睨むと、ぎょっとした顔でとっさにチハーヤ姫の方に向かった。
ちっ!人質にでも取るつもりか?!
その瞬間黒い人影が短刀をシャイアの首に突き付けていた。
「姫に対する狼藉!許せぬ!」
どこに潜んでいたのか、自来也さんが涼しい顔で現れた。
さすがは忍者マスター!
自来也さんはあっという間にシャイアを「亀甲縛り」にして動けなくしてしまった。
…自来也さん、そのしばり方はヤバくないか?!
シャイアは「く、殺せ!」とかわめいているが、とりあえず放置する。
まわりの視線が私に対するものを含めて「怖いものを見る視線」に明らかに変わっている…。最大の理由は騎士団を蹴散らすような怪物ゴーレムを私がかかと落し一発で床にめり込ませたことにあるのだが…それは置いておこう。
「はっはっは!コタツの中で皆様を『警備』していたら、いつの間にかこんな状況になっていて、びっくりしました!」
それは、警備でなくて、『眠っていた』と言うんだよね!?しかも、猫がコタツで丸くなるのならまだしも、忍者がコタツで丸くなってたらシャレにならないよね!?
さらに、入る前にコタツを覗いてみたけどあなたの姿はどこにも見えなかったよ?!
突っこみどころが満載過ぎる自来也さんの行動に半ば唖然としていた私だが、さらにもう一つヤバいことに気付いた。
えっと、私は学校から戻ったそのままの姿なので、一応公爵令嬢としての衣装、つまり、スカートでコタツに入ったのであった。ということは…自来也さんに…私がスカートのすそを押さえながら珍しく(自覚はあります…ちくしょう…)恥ずかしがっていると、勘のいい自来也さんは気付いたようだ。
「ご安心ください。私は女性には一切興味はありませんから。」
いやいや、いきなりとんでもないカミングアウトだよ!!
「さらに申し上げれば、好きになった相手一途ですので、万が一、いえ、億が一セリア様がチハーヤ様以外の男性を好きになられた場合でも手を出したりとかありえませんから、ご安心ください。間違ってもコーイチ様あたりに手出しはする予定はありません。
ちなみにそれもあって、国主からチハーヤ様の警護を私に完全に任せていただいてます。」
……そうだったのか…。知って納得の意外な事実である。
「カミングアウトを受けた時は『コーイチさんVS自来也さん』の『薄い本』を作ろうかと思ったのに、その可能性はにゃさそうだにゃ。少し残念にゃ。」
…トラミちゃん、あんた何の話をしてるんだ!!
(※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件・本編の「ゴメラVS モンスターバスター」とは一切無関係です。 )
いやいや、なんでくどいくらいに注釈が出てくるの?!そのネタはこれくらいにして、本編に戻らないと!!
私が少し玉座の方に近づくと、王様?達はびくっとして後ずさった。
「で、どうして私たちを召喚したのか、詳しい事情を聞かせていただきましょうか?」
私は鋭い視線で周りを牽制しながら、王様に切り出した。
トラミ「というわけで、『大好評につき』、こちらの番外編も続くことになったにゃ♪」
セリア「…単に、第2部がややシリアス気味なので、作者が思い切り『ネタ』を盛り込んだ話を書きたくなっただけみたいよ…」
トラミ「ええ!!私とセリアさんが人気投票でトップを争っているというはにゃしはガセだったのにゃ??」
セリア「そんな情報どこから仕入れたの?!」
トラミ「ほら、この「未来日記」にゃ♪」
セリア「…えー、おあとがよろしいようで……」




