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ゴメラ VS モンスターバスター  作者: はなぶさ 源ちゃん
番外編 『 悪役令嬢とモンスターバスター その1 』
44/140

モンスターバスターは悪役令嬢になれるか? その3

(前回までのあらすじ)


「私は歴史を変える(にゃ)!!」

人類を破滅から救うためにトラミは決意した。


無機質で常に情を排した判断をする『タイムパトロール』の目をかいくぐり、

兄・トラエモンの犠牲を乗り越えて、未来の世界の猫型ヒューマノイド・トラミはお手製のタイムマシンで過去へ飛び立っていった!!


世界を救うカギとなる「無敵のシードラゴン」「大怪獣ゴメラを瞬殺する女」の異名を持つ、セリア・ストーンリバーを助けるためにトラミはタイムマシンをかって、700年前の世界に飛び立っていった。


果たして、闇の忍者軍団総帥、世界最悪の魔女の妨害を乗り切り、トラミはセリアと共にチハーヤ姫を救い、世界をも救うことができるであろうか!?


(※ この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件・前回までのあらすじとは一切無関係です。)


おいおい、続いちゃったよ…。

しかも、気のせいかどんどん状況が悪化している気がするんですが…。


現在『セリアちゃんの未来対策会議』が校舎の地下の秘密部屋で開かれている。


アルテア先生を議長に、(セリア)、チハーヤ姫、トラミちゃん、自来也さん、そしてコーイチ王子にミツール王子まで参加されている。

……これは絶対に『婚約破棄』の流れだな。ま、いいんだけど…。


「では、会議を開催します。」

にっこりとアルテアさんが宣言すると、さっとミツール王子が手を挙げた。

指名を受けると、すっと立ち上がる。

「申し訳ない!!セリアさん!!」

私に向かって深々と頭を下げる。アルテアさんから先ほどまでの事情を全て聞かれているのだろう。非常にすがすがしい表情をされている。


「ある程度、アルテアさんからお話が行っていると思いますが、私はアルテアさんとの結婚を真剣に考えております。婚約者であるあなたを結果的にないがしろにするような行動を取ってしまいましたが、『自分にもあなたにも嘘をついて』さらにあなたに失礼な行動を取るよりはと、この結論に至りました。どんな罰でも償いでもするつもりでおります。

本当に申し訳ないことをしました。」

「顔を上げてください。ミツール王子。」

私はにっこり笑ってミツール王子に言った。


「人間、心から愛し合える相手と夫婦になれた方が関係する人達全員が幸せになれると思います。

 今回はそれがあなたと私ではなく、あなたとアルテアさんだっただけの話です。私はきちんと愛し合える相手を自分で見つけますので、ご心配なさらないで下さい。

 それと、罰も償いも必要ありませんので、ミツール王子とアルテアさんのご結婚をお祝いさせていただければ嬉しいです。」

「セリアさん、すまない!そしてありがとう!」

私がミツール王子に頭を下げると室内がざわついた。


「セリアさん!さすがですう!かっこいいです!!」

「さすが、姫の旦那様にふさわしい!!」

「セリアちゃん、ありがとう!!絶対にしあわせになるね♡」

「セリアはん、さすが過ぎや!!世界で一番男前や!!」

「おかしいにゃ!うそ発見器は今まで一回も作動してないにゃ!!」


…いくつか頭を抱えそうな発言があったが、とりあえず放置しておこう。

というかトラミちゃん、そんなものを使うな!!そして、使ったことを公言するな!


「というわけで、ミツール王子とセリアちゃんは婚約は破棄。そして、その後、ミツール王子と私の婚約を時間差で発表するという形を取りたいと思います。

 もちろん、セリアちゃんと公爵家が不名誉な状況にならないように『最大限の配慮』をすると同時にミツール王子のお立場にも同時に配慮する必要があります。」


 そのとき、コーちゃん…もとい、コーイチ王子が挙手・発言をした。

「セリアはんが、選択されるなら…という前提なんやけど、もし、セリアはんがニッポンへ行きはるんやったら、『ニッポンのとある高貴な方』との婚約が『政治的に重要』になったので、今回の婚約破棄&新たなW婚約の流れになりました…という説明なら無難やと思います。ニッポンは遠い国なので、詳しい状況は国民もわからへんやろし。」


 待て、コーちゃん!私が行く前提での話をいきなり出すな!!なまじ説得力がある分、非常に(たち)が悪いぞ!!いくら可愛らしいとはいえ、同性との結婚の肚がそうそう固められるか!!


 その発言にトラミちゃんが挙手したのには全員あっけにとられた。「未来からの予言の書?」を持ち込んでいるとはいえ、トラミちゃんは直接の関係者ではないのだ。

「コーイチさん、その発言にはどういう意図があるにゃ?『国外追放された貧乏貴族の三男と結婚』とこの書に書かれている人物は『コーイチ・オルニシキ』、つまりお前さんのことだにゃ!!」

「なんやてーー!!!」

「「なんだって!!」」

……とんでもない爆弾発言で部屋はかつてない緊張に包まれた。


 まず、アルテアさんとミツール王子は最初は驚いたものの、すぐに落ち着きを取り戻した。そして、明らかに『理解を示す目』あたかも『事情はわかった!ぜんぜん問題なし!応援するから♪』とアルテアさんは私に目で訴えている。

 いやいや、誤解だからね?!


 そして、チハーヤ姫と自来也さんは明らかにコーちゃん…コーイチ王子を「敵対的な視線」で睨んでいる。…おーい、誤解だ…と言っても立場上無理か。うーむ、どうしたもんだろう。


 コーちゃんは口をぱくぱくさせながら、私を見ている。「誤解だ!俺はなにもたくらんでない!!」と明らかに目で訴えている。…まあ、待ちなさい。話が進めば誤解もとけるから。解いた後、チハーヤちゃんとどうするかという根本的な問題は残るが、それはとりあえず後回しだ。


 そして、トラミちゃんは相変わらず不審そうな目でコーちゃんを睨んでいる。その「予言の書」がよほど信頼できるのでしょうね。

「とりあえず、ミツール王子とセリアさんとの婚約破棄を順調に進めておいて、『海外に行って人目がなくなった時』セリアさんを略奪婚しようとたくらんでるのではにゃいですか??」

 トラミちゃんがびしっとコーちゃんを指さすと、コーちゃんが固まった。

いやいや、コーちゃんは二〇〇%そんなことは企んでないから!略奪しようにも『物理的に無理』というのもあるが、好意があるなら『もっとストレートに伝えてくる』から。

 『ヤツがそれで何回も玉砕』したのを私見てますんで。…毎回自分の地位や名誉を一切使わず、自分自身の魅力だけを使おうとしたのは天晴ではあるけれど…。

 まあ、助け舟というわけではないけれど、確かめることがあるので、私は挙手した。


「コーイチ王子の件はひとまずおいておいて、確かめたいことがあります。

トラミちゃん、その『予言の書』についていろいろ伺いたいことがあります。

 それは最初は『魔法で書かれた書』だと思っていましたが、『精巧過ぎる絵』は魔法技術というより『科学技術』を使ってますよね?

 そして、あなたがその書に書かれていることを『既存の事実』と捉えておられること、あなた自身が非常に精巧な『魔法技術と科学技術の合作』である、人造人間(ホムンクルス)であることから『ある事実』が推測されます。トラミちゃん、あなたは『どこからいらした』のですか?」


 極めて冷静に話すと、トラミちゃんは固まった。そして、私の言葉に触発されたように

 他の人達もトラミちゃんの挙動を見守っている。

 アルテアさんはおそらく気づいているのだろう。私ににっこり微笑んでいる。

「…そ、それはだにゃ…。」

「『未来から来た』ことを私たちに告げたら何か都合が悪いのですか?」

 私の言葉にトラミちゃんはしばらく完全に固まっていたが、やがて観念したのかぼそりぼそりとしゃべり始めた。



 私の七〇〇年後の子孫は周りと比べてずっと貧乏だったそうだ。

 そこの一人娘は貧乏だけど心優しく、そんな娘のところに「廃棄寸前の出来損ない」の猫娘型人造人間のトラミちゃんはもらわれてきたそうだ。その娘・マルシアはトラミちゃんを妹のようにかわいがり、両親もとても大切にしてくれていた。

 そんなご両親とマルシアちゃんのために何かできないかと思っていたところで、棚の奥から「日記」をトラミちゃんは見つけたのだそうだ。

 先祖である『公爵家の一人娘の不祥事』をなんとかすれば、マルシアちゃんとご両親はもっと豊かになれるのではないかと思い、止めるマルシアちゃんを振り切って、七〇〇年前のこの世界にトラミちゃんはタイムマシンという時を越える機械を使ってここまでやってきたのだ。


 全員しんみりした目でトラミちゃんを見つめていた。トラミちゃんを天然面白娘だと思っていた自分自身が少し恥ずかしくなってしまった。


 チハーヤちゃんが目をうるうるさせながらトラミちゃんの両手をがっしりと握る。

「大丈夫です!!我が家のお婿さんになっていただいたら、セリアさんはもちろんのこと、子孫も絶対に経済的に不自由はさせません!!」

「本当かにゃ!!」

 トラミちゃん、完全に乗り気になってるよ!いやいや、子孫がそもそもできないよね?!


「子孫のことが心配なら、大丈夫。いざという時は『期間限定』でどちらかを魔法で男性に変わってもらって、子供が出来たら戻せばいいのよ。血のつながった子供がいてくれた方が夫婦のきずなも深まりやすいしね。まあ、女の子しかできないけど。」

 アルテアさん、余計な助け舟を出さなくていいから!!


「その話はひとまずおいておいて、どうして『コーイチ王子とともに私が国外追放』にその書でなっているのかが非常に疑問です。その件をアルテアさん、調べることはできませんか?」

 事態が混乱した時は『絡んだひも』をほどくのが常道だ。推測に推測を重ねると出てくる結論は確実にぶっ飛んだものになる。モンスターバスターチームとしていくつもの事件を解決してきた私たちにとって現場の証拠を丁寧に調べることが基本になる…ああ、自分でばらしちゃったよおい…。


「そうね、では、情報を取ってみます。」

アルテアさんが「予言の書」を受け取り、水晶球を取り出すと透視を始めた。

 …数分後、ため息交じりにアルテアさんは口を開いた。

「この本、『無限ループ』してるわ。」

「それは、どういうことですか?」

 私の問いにアルテアさんは困った顔で答えた。

「おそらく、トラミちゃんの持ってきたこの本をあなたが保存し、それを子孫がそのまま持っていたのね。そして、トラミちゃんはこの本に書かれたことを事実だと誤解したの。実際は『七〇〇年の時間旅行を繰り返した』この本の内容が事実かどうかは検証するすべはないわけね。」

 アルテアさん以外の全員が固まり、トラミちゃんは…気絶した。


 みんなの介抱の甲斐あって、間もなくトラミちゃんは意識を取戻した。だが、自分のしたことが全く無意味かもしれないことに酷く落ち込んでいた。みんなはなぐさめようもなく、無言になっていたのだが…て、待てよ!?


 私はあることに気づき、懐の魔法の収納ポケットから「携帯用宝石箱」を取り出した。

「セリアはん、その宝石箱は数日前、『西の果ての国の魔王を粉砕』したとき、手に入れたやつやね。」

 モンスターバスターで任務を遂行している際は、いわゆる冒険者と違って宝物収集は行わないものだ。ただ、この意味ありげに隠してあった宝石箱は魔王城探索に役に立つかと思って取っておいたのだが、本当にただの宝石箱だとわかってがっかりしたものだった。

 ちなみに魔王は私の蹴り一発で気絶してしまい、残りの幹部もそれを見てあっさり降参してしまった。

 物語上の魔王はやたら打たれ強いが、『実際に戦った経験』だと、『自称魔王』はやたら蹴りや殴りに耐性がないように感じる。おっと、話が逸れた。


「これをトラミちゃんが持ち帰ったら、問題は解決するんじゃない♪」

 私の言葉に全員が感嘆の声を上げた。



 こうして、トラミちゃんは無事に未来の世界に帰っていった。

 私に「未来の予言の書」を押し付けていったが、それは良しとしよう。


 ミツール王子と私の婚約解消、そして、ミツール王子とアルテアさんの婚約は『神託があったから』で押し通すことにした。関係者全員が「神託があったから止むを得ません」と完全に納得した表情で押し通したので、周りの人達は首を捻りながらもしぶしぶ納得した。下手に理由付けしようとすると話がこじれる。問題は一つ一つ丁寧に解決するものだ!


 「未来の予言の書」の内容は無視することで全員の意見が決まった。そして、それぞれ自分たちの意志で自分たちのしたいことをすることにした。

 というわけで、チハーヤ姫は私と同じクラス、隣の部屋で相変わらずアプローチをかけてくれる。間違いなく『今までで最強の難敵』だ。「かわいいは無敵だ!」という『名セリフ』が心に痛い。


コーちゃんとは今まで通り「腐れ縁の仲間」だ。任務以外でもいろいろなことを相談し合っている。



 そして、今日も……。

「セリアさん、助けてほしいにゃ!!今度は『バーサーカータイプ人造人間・ジャイアーン』がマルシアちゃんに因縁をつけてくるにゃ!!」

 いや、過去の人間に助けを求めてどうする!!!歴史の改変がどうこうは気にしなくていいのか!!そもそも、しばしば、この部屋に入り浸ってチハーヤちゃんと遊び倒して、マルシアちゃんに連れ戻されるという体たらくはなんとかならんのか!?

(その度にマルシアちゃんは丁寧に謝ってくれる。いい()だ)

 机の引き出しから泣いて訴えるトラミちゃんを見ながら私は頭を抱えた。



< 続かないでください!!BYセリア >



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